1・3・4 空中線電力が5kW未満のレーダー
空中線電力が5kW未満のレーダーは無線設備規則の第48条第4項の「前項の規定を適用することが困難又は不合理であるため総務大臣が別に告示するもの」の一つであって、無線機器検定規則では第4種レーダーと呼ばれているものの一つであるが、平成8年4月、このレーダーは技術基準適合証明を受けたものか、又は型式検定に合格したもの(ただし、電波の質に影響を及ぼす外部の転換装置のないものに限る。)でよいと改正された。郵政省告示第329号(昭和55年5月24日)の中の第1項が、このレーダーに関することについて述べているが、ここでは告示本文でなく、この空中線電力が5kw未満のレーダーの技術的条件を箇条書の形で示す。
(1)電源電圧が定格電圧の±10パーセント以内において変動した場合でも、安定に動作するものであること。
(2)通常起こりうる温度若しくは湿度の変化又は振動があった場合において、支障なく動作するものであること。
(3)指示器は次の条件に合致するものであること。
イ. 表示面における不要の表示であって雨雪によるもの及び海面によるものを減少させる装置を有すること。
ロ. 船首方向を表示させることができること(極座標による表示方式のものの場合に限る)
(4)次の分解能を有すること。
イ. 方位角5度以内で、等距離にある二つの目標を区別して表示できること。
ロ. 同一方位にあり、かつ、相互に150メートル離れた二つの目標を、最小の距離レンジにおいて区別して表示できること。
ハ. 目標を自動的に追尾し、その目標の移動に関する情報を表示し、及び目標が一定の距離に至った場合は警報を発する機能(以下「自動レーダープロッティング機能」という。)を有するものは、次のとおりであること。
(1)自動レーダープロッティング機能を有することにより、レーダーの他の機能に障害を与えないこと。
(2)自動レーダープロッティング機能による表示は、必要に応じ消去できること。
(3)自動レーダープロッティング機能に障害を生ずることにより、レーダーの他の機能に障害を与えないこと。
(4) (1)から(3)までの条件のほか、なるべく別に告示する技術的条件に適合すること。
(5)次の分解能を有すること。
イ. 方位角10度以内で等距離にある二つの目標を区別して表示することができること。
ロ. 同一の方位にあり、かつ、相互に150メートル離れた二つの目標を、最小の距離レンジにおいて区別して表示することができること。
(6)次の精度を有すること。
イ. 表示器の表示面の周辺に表示される目標の方位を5度以内の誤差で測定できること。ただし、船舶が移動している状態において、静止している目標又は陸地を指示器の表示面に固定して表示することのできる装置を使用している場合はこの限りでない。
ロ. 距離環上に目標を表示して、又は可変距離マーカーを使用して目標との間の距離を測定する場合においては、当該距離を現に使用している距離レンジの値の10パーセント又は150メートルのいずれか大きい値以内の誤差で測定できること。
(7)指示器の表示面に近接した位置において電源の開閉その他の操作ができるものであること。
(8)4分以内に完全に動作することができるものであること。
(9)なるべく小型、かつ、軽量であり、小型船舶において使用するのに適したものであること。
(10)空中線が海面から5メートルの高さにある場合において、1,852メートルの距離における有効反射面積10平方メートルの浮標を明確に表示することができるものであること。
(11)その船舶が横に10度傾斜した場合においても前項の目標が表示されるものであること。
なお、告示には周波数が32.5GHz〜35.2GHzの、いわゆるミリ波レーダーの要件もあるが、適用例がほとんどないので省略をする。
1・3・5 電波法におけるレーダーの種別の変遷
航海用レーダーの変遷については1・1・1節で述べたが、それに伴って電波法ではレーダーの種別に一部変化があった。それを以下の表に示す。
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SOLAS条約適用船のレーダー (IMOの勧告に準拠) |
(仝 左) 自動レーダープロッティング機能付き |
船舶安全法のみの適用船のレーダー |
任意に船舶に搭載されるレーダー |
空中線電力が5kw未満の小形レーダー |
ミリ波レーダー |
昭50.11 〜 昭55.5 |
第1種 |
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第3種の1(1) |
第3種 |
第3種の2(1) |
第3種の3(1) |
昭55.5 〜 昭59.2 |
第1種 (RA)(3) |
(昭58.2に自動レーダープロッティング機能の技術的条件が規定された。)(2) |
第2種 (RC) |
第3種 (RD) |
第4種の1 (RE) |
第4種の2 (RE) |
昭59.3 〜 平成14.6 |
第1種 |
自動レーダープロッティング機能付き 第1種 (RAA) |
第2種 (RC) |
第3種 (RD) |
第4種の1 (RE) |
第4種の2 (RE) |
表示面の有効直径 |
>34cm (RAL) |
25〜34cm (RAM) |
18〜25cm (RAS) |
平成14.7 以降 |
設備規則48 第2項のレーダー |
設備規則48条第3項のレーダー (RC) |
(RD) |
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自動レーダープロッティング機能を有するもの |
手動レーダープロッティング機能を有するもの (RAA) |
>34cm (RAL) |
25〜34cm (RAM) |
18〜25cm (RAS) |
模擬操船機能を有するもの (RAA) |
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注(1)第3種の1などの「の1」は仮称である。
(2)別に自動レーダープロッティング機能を付加する装置(RP)がある。
(3)型式検定番号の記号 |
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