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平成15年度 船舶電気装備技術講座(GMDSS・レーダー、基礎理論編)

 事業名 船舶の電気装備に関する技術指導等
 団体名 日本船舶電装協会 注目度注目度5


6・3・2 レーダーの最小探知距離
 レーダーの最小探知距離とは, PPI画面の上で自船からの距離を測定し得る最小の距離のことで, (1)自船レーダーのパルス幅(パルスの長さ), (2)PPI用ブラウン管の最小輝点, (3)アンテナの垂直方向指向性(特にアンテナが高い位置に取り付けられた場合)等で決まることになる。また, 海が荒れているときは海面反射が強くなり, その雑音のために小物標からの反射が隠されて最小探知距離が遠くなることに注意しなければならない。
(1)自船レーダーのパルス幅(パルスの長さ)
 パルス幅とは, 発信パルスが続く時間のことであるが, アンテナからパルス状の電波が発信されると, 発信が続いている時間すなわちパルス幅に相当する長さの電波が空中を伝搬して行くことになる。例えばパルス幅が0.25(=1/4)μsであれば, 3×108(m/s)×0.25(μs)=75(m)の長さの電波が飛んで行くことになる。そのレーダーの波長が3cmであれば, この電波が空中を飛んで行くようすは, 一両の長さが3cmの車両を連結して, 先頭から後尾までの長さが75mあるという列車が空中を飛んで行くようであるのでパルス・トレーン(pulse train)といっている。アンテナの下には自船の船体があり, その船体から75mの半分すなわち37.5mの距離以内にある物標からの反射波は, 自船の船体からの反射波とつながってしまうかち識別できないことになる。このように最小探知距離の大部分は, パルス幅の時間に電波が空中で占める長さの半分の距離で決まる。
(2)PPI用ブラウン管の最小輝点
 PPI用ブラウン管の最小輝点は無限に小さくすることは不可能で, 一定の大きさを持っているから, 画面半径を何海里の表示範囲(レンジという。)とするかによって, その輝点が占める距離が決まる。表6・2は, ブラウン管の直径が7吋及び12吋についての輝点の大きさと種々のレンジに対する輝点が占める距離を示す表である。
 
表6・2 ブラウン管の直径による種々のレンジに対する輝点が占める距離の表
ブラウン
管直径吋 
有効半径(mm)
1スイープの長さ 
輝点
(mm) 
各レンジに対する輝点が占める距離(m)    
1海里 2海里 4海里 8海里 20海里
7吋 76.2 0.5 12 24 48 96 240
12吋 127 0.9 13 26 52 104 260
 
 表6・2で分かるように, パルス幅0.25μsのレーダーでは, レンジが4海里以上になると,最小探知距離は輝点によって決まるようになる。
(3)アンテナの垂直方向指向性(特にアンテナが高い位置に取り付けられた場合)
 図6・9にアンテナの垂直方向指向性によって最小探知距離が決まるようすを示す。
 
図6・9 垂直方向指向性による最小探知距離
 
 レーダーの距離分解能とは, 自船から見て同一方向にある2つの物標が前後に並んで存在するとき, これらの物標が距離的にどのくらい離れていれば, PPI映像の上で2つの輝点として分離して識別できるかという能力である。これは主として, パルス幅によって決まる。前項(6・3・2項)の(1)で述べたように, アンテナから出た電波はパルス幅で定まる長さのパルストレーンとなって飛んで行くので, 2物標の前後の距離がそのパルストレーンの長さの半分以下であると, 両者からの反射波はつながって分離できないが, パルストレーンの長さの半分以上であれば反射波は分離して2つの物標であると見分けられるからである。すなわち, もしパルス幅が0.25μsであれば, パルス幅による距離分解能は37.5mである。図6・10参照。
 次にPPI用ブラウン管の最小輝点によっても左右されることは, 前項(6.3.2項)の(2)における説明と全く同じである。
 
図6・10 レーダーの距離分解能の説明







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