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3・3・5 アンテナの延長と短縮
 図3・14に携帯型無線機に使用されるむち(ホイップ)アンテナとその指向性を示す。水平面内で等方性(無指向性)となる1/4波長接地型アンテナである。中波や短波帯ではアンテナの長さを1/4波長にするとアンテナが長くなるので短くしたい場合がある。アンテナはインダクタンスLe, 電気容量Ce及び抵抗Reの直列共振回路と等価となることを図3・10により説明した。
 
図3・14 むち(ホイップ)アンテナと指向性
 
 アンテナ回路にコイルやコンデンサーを挿入することにより共振周波数を変化させることができる。
 
図3・15アンテナの電気的延長と短縮
 
 図3・15(a)のように延長コイルLlを挿入すると合成インダクタンス(Le+Ll)が大きくなるので共振周波数が低くなり, アンテナを電気的に延長したことになる。(b)のように短縮コンデンサCsを挿入すると合成容量Ce・Cs/(Ce+Cs)が小さくなるので共振周波数が高くなり, 電気的にアンテナ長を短縮したことになる。
 アンテナが短くて共振がとれない場合は延長コイル, 逆にアンテナが長過ぎる場合は短縮コンデンサをアンテナの一部に挿入することにより電気的にアンテナ長を変化できるので能率よく電波を発射することができるようになる。
 中波放送用垂直アンテナの頂上に容量環と呼ぶ環状のアンテナを乗せるとアンテナ上部の電流が増加して水平方向の放射電力が増加することからサービス区域を増加できる。アンテナの電流分布を変化させると共振周波数や指向性を電気的に変化できるのでアンテナの能率が向上する。
 







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