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1・12 直流, 交流, 瞬時電流, 周波数
 電圧及び電流の大きさや流れる方向が時間とともに変化する有様によって次のように分類する。
 図1・17(a)のように電圧又は電流の大きさ及びその方向が時間に対して変化しないで一定の値を保っている電気の流れを直流といい乾電池の電気はこれに属する。
 図1・17(b)のように電圧又は電流の方向は+側に一定であるが, 大きさが図中(1)又は(2)のように周期的に脈を打っている。これを正しくいえば脈流であるが, 一般にはこれを整流された直流といっている。
 
図1・17 直流波形
注:整流とは, 本来後述の交流を整流器又は発電機の整流子を通して直流に変換した波形をいう。
 
 脈流は図1・17(b)における(1)のように大きいもの, 又は(2)のように細かいものなどの差はあるが一応直流である。半導体整流器, 水銀整流器をへた電気及び直流発電機の電気はこれに属する。
(1)単相交流・周波数・周期
 
図1・18 単相交流波形
 
 図1・18のように電圧又は電流の大きさ及び方向が時間に対して+から−へとある一定の波形をもって変化する電気の流れを単相交流という。
 60ヘルツを例示すれば図1・18において0秒から波が始まって1/60秒間に波が+から−へと1回変化している波を1周波といい, これを1周期T〔s〕という。
 すなわち周波数は1秒間に繰り返す周波の数で表し記号はf, 単位にヘルツ〔単位記号Hz〕を用い, 周波の変化に要する時間を周期といい, 記号Tで表し時間単位は秒〔s〕である。よって,
 
 
図1・18の波形を上式で計算すれば
 
 
となる。
注:船舶の交流では60〔Hz〕を採用している場合が多い。陸上では関西方面が60〔Hz〕, 関東方面が50〔Hz〕である。
(2)三相交流
 
図1・19 三相交流波形
 
 図1・19のようにI, II, IIIの単相交流波形はそれぞれ時間に対し
 
 
の角度の遅れをもって電圧又は電流が流れているとみてさしつかえない。すなわち図1・19(b)のI, II, IIIの腕の先端が図のように反時計廻りに回転し, その先端の軌跡を投影すれば図1・19(a)のようになる。このように三つの波からできている交流を三相交流といい, 周期T〔s〕, 周波数f〔Hz〕に関しては単相交流の場合と全く同様に考えてよい。このほかに二相, 六相の交流もあるが, ここでは省略する。
 〔応用〕単相交流は小型電動機, 扇風機, 電灯等の電源に使用するが, 電動機, 大型厨房器等には主として二相交流が使用される。
 静かな池の面に投石すれば, 最初大きな波紋ができ, 時のたつにつれそれは消滅する。
 このような現象を過渡的現象(過渡現象)という。電気回路においてもこの現象はあって, 電源を加えた瞬間電流は図1・20のように, 最初は大で時間の経過とともに消滅する現象である。これを電流の過渡現象といっているが, 電圧の場合にも同様におこりうる。
 その大きさ及び経過時間は回路を構成する要素によって違ってくる。
 
図1・20 瞬時電流波形
 
(1)周波数 周波数の定義については1・12・2(1)で説明したが, 周波数がどのような範囲に使用されているか, 極く簡単に分類してみれば次のようである。
(a)商用周波数 日常の電気機器(電気アイロン, テレビ電源等。)に使用されている交流電源の周波数で, 50〔Hz〕又は60〔Hz〕をいう。
(b)可聴周波数 人間の耳に音として聴き取ることのできる音の周波数で, 一般に16〔Hz〕から20,000〔Hz〕くらいまでである。
(c)電波機器などの周波数
 電波航法機器, 無線電話などそれぞれの機器によって周波数が決っているがこれらを総合して10〔KHz〕から10〔GHz〕の範囲内の周波数を使用している。
注:Hzの頭に用いた記号について次のように定められている。
      
記号
名称
倍数
 
k
キロ
103=1,000
 
M
メガ
106=1,000,000
 
G
ギガ
109=1,000,000,000
(2)波長
 交流の周波数が高くなって, 電波が大気中に放射されると波長がとりあげられ, 例えば, 長波, 中波, 短波, 超短波などが無線電話機, ラジオ, テレビジョンなどに使用される。
 電波の波長λ〔m〕と周波数f〔Hz〕との関係を次に示す。
 
 
 
ただし, 真空又は大気中とする。3×108〔m/s〕は電波の速度である。
電波の呼び方を示せば次のようになる。
電波法や国際規格で決められている電波の区分を下表に示す。
 
周波数区分 周波数範囲 波長範囲 波長による名称
ELF
(extremely low frequency)
3〜3,000Hz 105〜102km  
VLF
(Very low frequency)
3〜30kHz 100〜10km ミリアメートル波
LF
(low frequency)
30〜300kHz 10〜1km キロメートル波
MF
(medium frequency)
300〜3,000kHz 1,000〜100m ヘクトメートル波
HF
(high frequency)
3〜30MHz 100〜10m デカメートル波
VHF
(very high frequency)
30〜300MHz 10〜1m メートル波
UHF
(ultra high frequency)
300〜3,000MHz 100〜10cm デシメートル波
SHF
(super high frequency)
3〜30GHz 10〜1cm センチメートル波
EHF
(extremely high frequency)
 
30〜300GHz 10〜1mm ミリメートル波
300〜3,000GHz 1〜0.1mm デシミリメートル波
注:波長のmの頭に用いた記号は次のように定められている。
    記号 名称 単位の倍数
  G ギガ 単位×109
  M メガ 単位×106
  k キロ 単位×103
  h ヘクト 単位×102
  da デカ 単位×10
  d デシ 単位×10-1
  c センチ 単位×10-2
  m ミリ 単位×10-3
 
(1)磁石の由来と性質を述べよ。
(2)磁界における磁力線について説明せよ。
(3)磁極に対するクーロンの法則を述べよ。
(4)ウェーバ単位は何を意味するか。
(5)電気力線について述べよ。
(6)電荷に対するクーロンの法則を述べよ。
(7)電荷の単位は何か述べよ。
(8)ヘリウム(He)原子について述べよ。
(9)電子の運動について説明せよ。
(10)自由電子とはどんな電子か述べよ。
(11)イオンについて説明せよ。
(12)熱電子と光電子について説明せよ。
(13)不導体はどんな性質を有するか説明せよ。
(14)真性半導体の電気伝導はどのようにして行われるか説明せよ。
(15)電圧, 電流, 抵抗の三つの関係を式で表し, かつ, この法則は何と呼ぶかを述べよ。
(16)周波数, 周期について説明しかつ周波数と波長の関係を示せ。







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