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12.3 試験・検査
 船内に光ファイバケーブルを布設し, 端末処理や接続を終了した後, 光伝送損失を測定して, 装備状況の確認を行う。
 光伝送損失の測定試験は次の方法による。
(a)標準測定方法(光源及び光パワーメータを使用)
(b)簡易測定方法(装置の光源の利用)
 
 船内に光ファイバケーブルを布設し, 端末処理及び接続工事を終了した後,
(1)光ファイバケーブルに異常な外力や曲げが加わらず, 適切に布設されているか,
(2)端末処理及び接続部の処理が, 光学的にも, 機械的にも適切に行われているか,
を確認する。
 適切な工事が行われていない場合(主として接続部)には光伝送損失が増加するので, 通常光伝送損失測定試験によってこれを確認している。
 
 試験を簡素化するため, 光ファイバケーブルと両端接続部の光伝送損失をまとめて測定する。
 この場合の光伝送損失は, 光ファイバケーブルの光伝送損失と両端末処理部及び接続部の光接続損失の和である。
 船内に布設した後の光ファイバケーブルの光伝送損失は, 布設工事そのものによる光伝送損失の増加はほとんど無視できるので, 布設前の〔単位長当たりの光伝送損失×ケーブル長〕から推定でき, 更に光コネクタ接続の光接続損失も, 一箇所当たりの平均的な光接続損失から推定できる。したがって, 適切な工事の場合の光伝送損失が推定できるので, この値を大幅に超えた場合は, 詳細に調査する必要がある。
 端末処理部と接続部の光学的及び機械的接続状況を調べるため, 光コネクタの着脱を繰返して, 光接続損失を測定する。機械的な欠陥があれば, 光コネクタの光接続損失値の変化も大きいので, この方法で検出できる。また,光コネクタを着脱することで接続部の機械的性能の確認もできる。
 メーカーの工場で端末処理を行った光ファイバケーブルについては, メーカーの試験データを用い, 造船所での接続部の光学的, 機械的チェックは省略できる。
 なお,船内に光ファイバケーブルを布設したあと, 端末処理を行う前に, この光ファイバケーブルの光伝送損失を裸ファイバアダプタを用いて測定しておけば, 光ファイバケーブルを布設した状態及び両端末処理部の光伝送損失を別々に測定でき, 検査の精度は向上する。測定しておれば, 参考値として提出する。
(1)標準光伝送損失測定試験
(a)使用測定器
(1)光源
(2)光パワーメータ
 (光源及びパワーメータの代わりに, これらを一体化した簡易型計器(光パワーテスタ)の光源部及び受光部を使用してもよい)
(3)励振器(ダミーファイバ等)
 (全プラスチック光ファイバは, 励振器を省略してもよい)
(4)測定器用光ファイバコード
(b)測定方法
 標準測定方法は図13.2に示すとおりで, まず, 光源と励振器を光パワーメータに接続して入射光(P1)を測定する。
 次に, 光源と励振器を被試験光ファイバケーブルの一端に続し, 他端に光パワーメータを接続して, 光ファイバケーブルからの出射光(P2)を測定する。
 被試験光ファイバケーブルと両端の端末処理, 接続を含めた光の伝送損失Lは,
〔P1-P2〕
で求められる。
 
図12.2 標準測定方法
 
入射光(P1)の測定
 
 
出射光(P2)の測定
(注)1 被試験光ファイバケーブルが2心以上のときは, 折返して接続してもよい。
   2 光テスタを使用するとき, 光源は光テスタの発光部, 光パワーメータは光テスタの受光部とする。
 
(c)光伝送損失の許容範囲
 測定した光伝送損失Lは, 次の損失の合計値以内でなければならない。ただし, 単位長当りの光伝送損失はメーカーの仕様書に記載の値, 各端末処理部の損失については平均光損失の2倍とする。
 L≦(光ファイバケーブルの単位長当りの伝送損失×長さ)
+(各端末処理及び接続部の光損失の合計)
(d)光コネクタ着脱試験
 光コネクタ接続部の確認のため, (b)あるいは(2)(b)の測定を行うときに, 光コネクタの着脱試験を行う。
 光コネクタの着脱を3回繰り返し, その都度光伝送損失を測定し, 測定した光伝送損失Lは,(c)の規定値以内でなければならない。
 なお, メーカーの工場で端末処理, 接続を行った光ファイバケーブルについては, 船内でのこの試験は省略できる。
(2)簡易光伝送損失測定試験
 ある程度の測定誤差を許容した測定方法を以下に示す。この測定方法は, 光通信装置側の光源を使用することにより, 実際の光伝送状態に近い形で光伝送路の損失が測定できる。
(a)使用測定器
(1)光パワーメータ
(2)測定器用光ファイバコード
 これらの測定器は布設した光ファイバケーブルの特性に合致したものを使用すること。
(b)測定方法は, 図12.3に示す。
(c)光伝送損失については, (1)(c)に同じ。
(d)光コネクタ着脱試験については, (1)(d)に同じ。
 
図12.3 簡易測定方法
 
(光ファイバケーブルヘの入射光P1の測定)
 
 
(光ファイバケーブルヘの出射光P2の測定)







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