6. 貝やサンゴと人との関わり
人間は古くから、貝の肉を食べ、貝殻やサンゴなどを加工して道具や身の回りを飾る装身具などに加工して使用するなど、豊かな海からくらしの糧(かて)を得て暮らしてきました。
弥生時代になると、北部九州に勢力をもつ集落の首長(しゅちょう)たちは、南海産の貝であるゴホウラ貝やイモ貝の腕輪を一種の威信具として身につけていたようです。これらの貝を求めて九州から奄美や沖縄にやってきた弥生人たちは、先進地九州の文物をもたらすとともに、貝を通じた九州と南の島々の交流が行われました。これを「貝の道」と呼んでいます。
弥生時代相当期には、読谷村木綿原遺跡から、九州の影響と見られる箱式石棺墓が発見された。石棺墓に葬られた人の目を覆い隠すように、シャコ貝が被せられるなど、沖縄では現在でも御嶽などには、サンゴのかけらを敷き清めることや、民家の軒先にスイジ貝をぶら下げて魔よけとするなど海から生まれた貝やサンゴには霊力のようなものがあると信じられている。
沖縄の人々は、昔から海の彼方には、理想郷であるニライ・カナイがあると信じられています。海は豊かさとともに、海で遭難することもあるので「海やかりゆし」と祈りを捧げるなど畏敬の念を持っています。
○本図録前半の「貝」の部分は以下の文献を参考にしました。
「学研の図録 貝」
「沖縄・海の貝 陸の貝」
「沖縄海中生物図鑑」
「特別展 沖縄の貝類−海からのおくりもの」
○本図録後半の「サンゴ」については、『サンゴのはなし〜おきなわの造礁サンゴたち〜』
(沖縄県文化環境部自然保護課2002年発行)をもとに作成し、写真の一部につきましても著者である西平守孝教授の了解を得て掲載させて頂きました。
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