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5. 情報要件(Information Requirements)[NK]
 情報要件とは、船舶配置を定義する上で必要な項目、その幾何学的表現及び関連特性をデータとして交換するために必要な情報についての規定である。情報要件は、機能単位(Unit of Functionality)、アプリケーションオブジェクト(Application Objects)及びアプリケーションアサーション(Application Assertions)によって構成される。アプリケーションアサーションでは、個々のアプリケーションオブジェクトに関する記述とアプリケーションオブジェクト間の関係づけを行う。これらの情報要件は、本アプリケーションプロトコルのキーワードにより定義される。
 このAP内で規定されるUoFsは2つのカテゴリーに分かれる。1つはShip AP間で共通なShip Common Model (SCM) であり、他の1つは、本AP特有の部分を記述する空間配置(Spatial Arrangements)である。図5-1を示す。
 図中、"Product Definition Framework"で示されたUoFのグループはShip Common Modelの主要部分を提供し、ものの関係付け、それらの特性の定義付け、shipAP内での表記法の共通コンセプトを提供するものである。
 "Product Structure"で示されたUoFのグループは主に空間、組立あるいは仕組みなどによって1つの製品を異なった階層で構造化する方法を提供するものである。
 "Support Resources"で示されたUoFのグループはこのShipAPで利用される全てのISO 10303 part 40 series resourcesを提供するものである。
 "Utilities"で示されたUoFのグループはこのShipAPで利用される全てのconfiguration management、location concepts、external references、ship measureおよびship general characteristics の情報を提供するものである。
 "Spatial Arrangements"で示されたUoFのグループはshipの空間配置を定義するのに必要な仕様情報全てを提供するものである。
(注)1. 情報要件はApplication Activity Model Diagramで分析された業務データにより定義することが出来る。
2. マッピング表を作成することにより、総合リソース及びアプリケーション構造が本アプリケーションプロトコルの情報要件に合致するための使用方法を示すことが可能である。
 
図5-1 AP215のUoFs
 
 機能単位とは、データの特性やそのデータの持つ役割を考慮に入れ、提案された基本単位である。船舶配置に関わるアプリケーションプロトコルでは、次の機能単位(以下UoFと称す)を規定している。
 
・arrangement_relationships
・cargoes
・coatings
・compartment_design_definitions
・compartment_properties
・hull_class_applicability
・items
・loading_conditions
・location_concepts
・product_structures
・ship_general_characteristics
・compartment_requirements
・configuration_management
・damaged_stability
・definitions
・external_references
・ship_measures
・spaces
・surface_representations
・tonnage
・weights
 
・アプリケーションオブジェクトとは、独自のアプリケーション概念を具体化する、基本的な要素であり、そのデータ要素を記述している属性を含めるものである。本章では、船舶配置のアプリケーションプロトコルに関するアプリケーションオブジェクトについて解説する。
・AP215 IS文書では、188個のアプリケーションオブジェクトが宣言されている。各々のオブジェクトは5.1に列記した21個のUoFによって利用されることになる。
 
・次節に上記21個のUoFに関係するアプリケーションオブジェクトおよび関連データオブジェクトを解説する。なお下記オブジェクトの括弧内はAP215 ISの節番号を示す。
 
 
 arrangement_relationships Uofは、初期設計段階における区画配置の自動化を可能にする区画間の関係についての情報の定義、もしくは既にプロダクトモデルに含められた後に区画間の関係を示すものである。
 
5.2.1.1 アプリケーションオブジェクト
 arrangement_relationships UoF (4.1.1注))に現れる全てのアプリケーションオブジェクト(AO)およびデータを下記に示す。 (注)IS文書内項目番号を示す。以下同様)
・Adjacent_space_surface_area (4.2.2)
・Space_adjacency_relationship (4.2.146)
・Space_arrangement_relationship (4.2.147)
・Space_connection_relationship (4.2.148)
・Space_enclosing_relationship (4.2.149)
・Space_positional_relationship (4.2.150)
 
5.2.1.2 arrangement_relationships UoFの解説
(1)Adjacent_space_surface_area (4.2.2)
 Adjacent_space_surface_areaは、隣接したスペース間において双方に共通する境界面の面積を示す。
例:二つのCompartmentが深さ8ftの縦通隔壁により分けられており、それぞれのCompartmentが10ft、6ftの長さであった場合、Adjacent_space_areaは48ft2となる。
 Adjacent_space_surface_areaは、以下の属性を持つ。
- surface_area
 surface_areaは、隣接するスペース間において共通の境界面の面積を示す。
 
(2)Space_adjacency_relationship (4.2.146)
 Space_adjacency_relationshipは、Space_arrangemet_relationship (4.2.147) のタイプであり、共通の境界面を持つスペースを示す。これらのスペースは、互いからのアクセスが許可されている場合とされていない場合があり、また境界面上の全てが共有されている場合と部分的に共有されている場合とがある。以下の属性を持つ。
- adjacency_access
- adjacency_type
- adjacent_space_surface_area
 adjacency_accessは、二つの隣接するスペース間で人の通行を許可するか否かを示す。TRUEの値が入力された場合には、アクセスが可能なように設計されているものである。
 adjacency_typeは、2つのスペースが完全に隣接しているか、または部分的に隣接しているかどうかを示す。次の内の何れかである。
・complete: 二つのスペースが、ある面に対して全く共通する境界面を持つもの。
例:両方の境界面が、船長方向の面または船幅方向の面について共通している。
・partial: 境界面が完全には同一でないもの。
 adjacent_space_surface_areaは、隣接するスペース間において共通の境界面の面積を示す。
 
(3)Space_arrangement_relationship (4.2.147)
 Space_arrangement_relationshipはItem_relationship (4.2.110) のタイプであり、二つのスペース間の関係を示す。それぞれの関係を示す分類は、互いの間の関係を定義している。各々のSpace_arrangement_relationshipは、次の何れかとなる。
・Space_enclosing_relationship (4.2.149)
・Space_adjacency_relationship (4.2.146)
・Space_connection_relationship (4.2.148)
・Space_positional_relationship (4.2.150)
 Space_arrangement_relationshipは以下の属性を持つ。
- item_1
- Item_2
 item_1は、Item_relationshipから受け継がれる一番目のitem属性がSpaceのタイプであることを示している。
 Item_2は、Item_relationshipから引き継がれた二番目のitem属性がSpaceのタイプであることを示している。
 
(4)Space_connection_relationship (4.2.148)
 Space_connection_relationshipはSpace_arrangement_relationship (4.2.147) のタイプであり、何らかの方法で互いに結合されているスペースを示す。次の属性を持つ。
例)二つのタンクが、バラスト水の移動のために配管システムにより結合されている場合がある。
- connecting_system
 connecting_systemは、Systemを参照しているExternal_instance_referenceもしくはLabelを通じて2つのSpaceを結合するsystemを定義する。connecting_systemは、特定のSpace_connection_relationshipのために定める必要性はない。
 
(5)Space_enclosing_relationship (4.2.149)
 Space_enclosing_relationshipはSpace_arrangement_relationship (4.2.147) のタイプであり、他のスペースに含まれたスペースを定義する。二つのスペースが、1つまたはそれ以上の境界で分割されるか、もしくは境界の一部で分割される場合がある。次の属性を持つ。
例)メインエンジンルームに設置された潤滑油の貯蔵タンク。
- item_1
- item_2
 item_1は、item_2に囲まれたスペースを示す。
 item_2は、item_1を含んだスペースを示す。
 
(6)Space_positional_relationship (4.2.150)
 Space_positional_relationshipはSpace_arrangement_relationship (4.2.147) のタイプであり、他のスペースにより位置が決められるスペースを示す。ここでは、その関係から特定される面を定義する様々な位置関係のタイプがサポートされている。次の属性を持つ。
- relationship_type
 relationship_typeは、スペースの位置関係のタイプについての指標を示す。その関係は、二つのスペースを関係づける位相上の面に関して定義される。次の何れかである。
・above: item_1のスペースは、item_2のスペース上にある。
・aft_longitudinal_extent: item_1とitem_2のスペースにおける船尾側の境界面が、船長方向の同じ位置にある。
・below: item_1のスペースは、item_2の下にある。
・forward_longitudinal_extent: item_1とitem_2のスペースにおける船首側の境界面が、船長方向の同じ位置ある。
・matched_transverse: item_1とitem_2のスペースは、船長方向の同じ位置にあり、またC.L.に対して対称である。
・port_transverse_extent: item_1とitem_2のスペースにおける左舷側の境界面が、船幅方向の同じ位置にある。
・relative: 二つのスペースの位置が、相対的に固定されてある。
 starboard_transverse_extent: item_1とitem_2のスペースにおける右舷側の境界面が、船腹方向の同じ位置にある。







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