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第2節 第2回委員会議事概要
1 開催日時及び場所
日時 平成15年8月11日(月)1400〜1600
場所 日本財団ビル2階第1〜4会議室
 
2 議題
(1)第一回委員会議事概要(案)の承認
(2)NAV49の審議結果報告
イ 航路、通報及び関連事項(議題3)
ロ 避難水域(議題5)
ハ 海事保安の促進(議題12)
ニ AISバイナリー・メッセージの適用ガイダンス(議題18関連)
(3)マラッカ・シンガポール海峡周辺における海事の国際動向について
(4)その他
 
3 出席者(敬称略、括弧書きは代理)
(1)委員
今津 隼馬(委員長)、佐藤 修臣、柳川 三郎、松本 宏之、岡野 良成、
松村 泰材、宮坂 真人、岡田 卓三、吉田 良治、小坂 智規
(2)関係官庁等
石田 育男(岡 正義)、渡部 明宏(小池 貞利)、添田 慎二(伊藤 裕康)、
東原 健(辰巳 伸五)、中平 和俊(羽山登志哉)、佐々木 稔(平出 昭夫)、
川上 良(三宅 真二、北見 宗雄)、溝部 隆一、内海 宣幸
(3)事務局
津田 眞吾、松永 敬典、若林 邦芳、笠間 貴弘、川越 功一
 
4 配布資料
IR(03) 1-1 平成15年度第一回委員会議事概要(案)
IR(03) 1-2 NAV49の審議概要(全般)
IR(03) 1-3 NAV49海事保安の促進(議題12)
IR(03) 1-4 NAV49バイナリー・メッセージの適用ガイダンス(議題18)
IR(03) 1-5 白書 イスラム過激派組織 ジェマー・イスラミアの逮捕とテロリズムの脅威
 
5 議事概要(◎ 委員長、○ 委員、△ 関係官庁等、□ 事務局)
(1)第一回委員会議事概要(案)の承認
 事務局から、本(案)は第一回委員会終了後に各委員等に照会し、指摘があった箇所は修正を施したものである旨の説明があった後、特段の意見なく承認された。
(2)NAV49の審議結果報告
 関係官庁出席者及び事務局から、航路、通報及び関連事項(議題3)、避難水域(議題5)、海事保安の促進(議題12)、及びAISバイナリー・メッセージの適用ガイダンス(議題18関連)に関する審議概要について説明があった後、次のとおりの質疑応答があった。
(スペイン沖の航路)
○スペイン沖の航法に関し、新たにバラ積み危険物積載船用の航路を設定したとのことであるが、これに至る議論はどのようなものであったのか。また、今後沖合にTSSを設定する場合にこの形が一般的な形となるものなのか。
□スペインの当初提案では、バラ積み危険物積載船用の航路を南北方向1セットを既存の航路の沖合い側に新たに加え合計4本の航路を設定し、中央内側のバラ積み危険物積載船用とそれ以外の船用の航路2本をそれぞれ南航とする案であった。ワーキング・グループにおける審議の過程で右側通航という一般通則を尊重すべしとの意見が大勢を占めたため、中央2本の航路を分ける航路帯の幅を十分に取った上で、沿岸から沖合いに向け順に、(1)一般北航、(2)バルク危険物北航、(3)一般南航、(4)バルク危険物南航、の航路をそれぞれ設定することとしたもの。(添付資料参照
(避難水域)
◎避難水域のガイドラインに基づき、我が国の体制整備上何らかの計画を提出する必要があるのか?
□IMOに対して連絡窓口であるMASの名称等の情報を提出する必要がある。
(3)マラッカ・シンガポール海峡周辺における海事の国際動向について
 シンガポール事務所川越所長代理から最近の動向等につき説明があった後、次のとおり質疑応答があった。
○沿岸三カ国は、それぞれ領海の幅員を何海里で宣言しているのか?
□三カ国とも12海里としている。
◎三カ国が提案した航路帯の中に錨地を確保する点について、船主協会として何か問題があると考えるか?
○今のところ特段意見はないが、錨地に入る船舶による航路横断が付近海域の航行安全に影響すること等が明らかになった場合は、意見する必要があると考えられる。
◎当該海域が錨泊等の特別な用途に使用されるのであれば、VTSと同様に当該海域への出入域について何らかの管制が必要と考える。更に、当該海域に多数の船舶が定常的に錨泊するようになれば、海賊行為が当該船舶に行われる可能性が高くなることも考えられ、何らかの対策が必要になるかも知れない。
○マラッカ・シンガポール海峡における海難事例について大変興味深く聞かせてもらったが、これはロイズレポートからの情報か?或いは各国の海難審判当局等からのものか?
□ロイズレポートからの情報を取りまとめたものである。
△海賊の説明の際、海賊をいくつかに分類していたが、右は統一されたものがあるのか?
□一般に使用されている分類を使用した。
△マレーシアではAISの整備が進められているとのことであるが、AISの具体的な活用方法はどのように考えているのか?
□AISについては導入の初期段階にあり具体的な活用方法については今後の検討事項と考えられる。現状、マレーシアとシンガポールの間で通航船情報の交換を行っていることから、これら通航船情報の交換もAISの活用方法と一つと位置付けられることと考える。
△例えば、航行船舶の管制に活用するというアイディアはあるのか?
□右について検討中との情報はこれまでない。
◎AISの活用方法に代表されるように、マラッカ・シンガポール海峡の安全確保については三カ国が共同で検討すべき問題が多々あると思うが、右を検討する場はあるのか?またそれは定期的に開催されているのか?
□マラッカ・シンガポール海峡の航行安全問題と海洋汚染問題については、各国の専門家が出席して協議する沿岸三カ国専門家会合(TTEG)が年一回開催されており、IMOに提案文書を提出する場合など三カ国で意見を統一する必要がある場合は、この会合において適宜意見調整を行っている。
 
(4)その他
 事務局から、第三回目の委員会については、来年2月、COMSAR8が開催される前のいずれかの日に開催することとし、日時は追ってお知らせすることが提案され、了承された。
 
第3節 第3回委員会議事概要
1 開催日時及び場所
日時 平成16年2月13日(金)1400〜1630
場所 海事センタービル801・802号室
 
2 議題
(1)第2回委員会議事概要(案)の承認
(2)COMSAR8の対処方針審議
イ SAR関連(議題7、8、11)
ロ 技術的事項関連(議題3及び関連議題)
ハ 海事保安関連(議題13)
(3)AIS調査結果報告
イ パナマ運河・セントローレンス川におけるAISの活用状況調査
ロ ドイツにおけるAISの現状
ハ 英国での「AIS会議」の概要
(4)ノルウェー事情
(5)その他
 
3 出席者(敬称略、括弧書きは代理)
(1)委員
今津 隼馬(委員長)、佐藤 修臣、柳川 三郎、松本 宏之、岡田 卓三、
吉田 良治、小坂 智規、宮坂真人(小松 弘行)
(2)関係官庁等
佐伯 洋(斎藤 知千)、石田 育夫(岡 正義)、渡部 明宏(小池 貞利)、
添田 慎二(伊藤 裕康)、東原 健(辰巳 伸五)、中平 和俊(古谷 健太郎)、
佐々木 稔(平出 昭夫)、川上 良(鈴木 浩久、三宅 真二、福島 利政)、
溝部 隆一、小原 正則(宮本 武昌)、加藤 隆司(田中 航二郎)、
黒木 正(林 亮治)、内海 宣幸
(3)事務局
松浦 道夫、津田 眞吾、田淵 郁男、松永 敬典、若林 邦芳、笠間 貴弘、
堀田 陽介
 
4 配布資料
IR(03) 3-1 平成15年度第2回委員会議事概要(案)
IR(03) 3-2-1 COMSAR8の対処方針
IR(03) 3-2-2 LRIT対処方針
IR(03) 3-2-3 「海上で救助された者の取扱い」ガイドラインについて
IR(03) 3-3-1 パナマ運河・セントローレンス川におけるAISの活用状況調査
IR(03) 3-3-2 ドイツにおけるAISの現状
IR(03) 3-3-3 英国での「AIS会議」の概要
IR(03) 3-4 ノルウェー事情
 
5 議事概要(◎ 委員長、○ 委員、△ 関係官庁等、□ 事務局)
(1)第2回委員会議事概要(案)の承認
 事務局から、本(案)は第2回委員会終了後に各委員等に照会し、指摘があった箇所は修正を施したものである旨の説明があった後、特段の意見なく承認された。
 
(2)COMSAR8の対処方針審議
 関係官庁出席者から、SAR関連(議題7、8、11)、技術的事項関連(議題3及び関連議題)、海事保安関連(議題13)に関する審議概要について説明があった後、次のとおりの質疑応答があった。
(SAR関連)
◎救助された者の取扱いに関し、船長としては難民を救助した時の対応を考えると大変難しい問題であり、船長協会をはじめ本委員会としても関心ある事項なので、関連情報の収集をお願いしたい。
(技術的事項関連)
○保安警報の送信に関連し、実際に船長の立場をイメージすると、現状は相手が海賊の場合にはGMDSSを使い、テロの場合はインマルサットを使うこととなるが、現場で相手が海賊なのかテロなのか、どのように見分けるのか疑問がある。
△ご指摘の点は非常に難しい問題であり、襲って来た相手を見分けることは極めて困難なことと認識している。非常にデリケートな問題であり、それを含めて今次会合で議論されるものと考えている。
◎我が国としては保安警報の場合には航行中の海域に関わらず船舶の旗国に情報が直接届くという案を確認・支持するとのことであるが、船側からすると通報の手段が相手によって異なるため、現実に相手の見分けがつかない以上現実的でないとの指摘である。右に関し情報収集をお願いしたい。
(海事保安関連)
◎船位通報制度とLRIT(ロングレンジ・トラッキング)との共存について、船位通報制度の場合、システムがカバーするレンジはどのくらいか?LRITのレンジとの兼ね合いはどうなっているのか?
△船位通報制度がカバーするエリアは我が国のSAR海域であり、右は日本の沖合いを緯度、経度で仕切っており、沖合いに一律何マイルという形ではない。緯度、経度で仕切っているので、近いところと遠いところで若干差はあるが、最も遠い地点が約1700海里ということになっている。
◎今回の会合ではLRITのカバー範囲について検討されるということで、我が国としてはできるだけ範囲が広い方がいいが、いくつかの点について考慮すべき点を指摘するということか?
△原案では、SAR目的である場合にはLRIT情報を活用できることとなっているため、今の段階としては特段範囲を限るということは考えていないが、実際どのようにするかについては情報収集しようと考えている。
◎LRITのレンジについては今回が初めての提案か?
△レンジについてはこれまで100マイル、200マイルといった提案が出ているが、多数派としては200マイルである。EEZやSARエリアという案もあるが、EEZの場合だと我国は隣接国との間でEEZが確定していない場合には暫定的に中間点を採用していること、更に複数の国が近くに密集しているような国ではEEZは非常に狭いということもあり実効性に欠けることから、我々としてはEEZやSAR海域というのは適当でないと考えている。
◎一つ心配するのは日本国内で、AIS海域のみ航行する船舶についてはLRIT機能を免除するという話だが、日本の場合AISだけでは全海域カバーできないと思うが。
△現在の計画ではAISは限定的な海域であり、例えば湾内等の船舶交通の輻輳海域を重点に整備する計画である。
△欧州にはA1海域だけ航行する船舶、AIS海域だけ航行する船舶が存在する。よってAIS海域を航行する船舶の規定は欧州にしてみればメリットはあるが、我国には関係ない。
 
(3)AIS調査結果報告
 事務局からパナマ運河・セントローレンス川におけるAISの活用状況調査、ドイツにおけるAISの現状、英国での「AIS会議」の概要につきそれぞれ説明があった後、次のとおり質疑応答があった。
(パナマ運河・セントローレンス川におけるAISの活用状況調査)
◎パナマの場合、パイロットが自分でAISを持って乗船するとのことであるが、AISを搭載した船舶に乗船する場合でもパイロットはAISキットを使用するのか?
□パイロットはパナマ運河専用のソフトがインストールされたPCを携帯し乗船、ブリッジのAIS端子に接続してAIS情報を閲覧する。専用ソフトがあることで、パナマ運河においてAIS情報で提供されている気象情報などを船舶の位置情報などと同一画面で閲覧できる。
◎パナマ運河におけるAISを使った操船はパイロットに全面的に任せているということか。
□ご了解のとおり。パナマ運河という特別な海域であるからこそ実現できる排他的なシステムといえる。
(ドイツにおけるAISの現状)
○組織について教えて欲しい。パナマについては公社が見ており、セントローレンス川についてはカナダとアメリカのコーストガードが見ており、ドイツについては水路海事局という説明があった。これらは各々組織が異なっており、違った場合には航路管制であるとかAIS、こういった形のいろいろな視点があると思うが、違いについて目に付いたところがあれば教えてほしい。
□パナマについては、運河の運営全般をパナマ運河公社が実施しており、警備もパナマ公社が別途警備セクションを組織し運河内の警備、外部からのアクセスの監視等を行っている。ISPSコードに定めるPFSOも警備担当者を指名している。つまりパナマ運河内は警備から航行安全まで全て公社が行っており、警察等の他の組織が入る余地はない自己完結型の管理体制が敷かれている。
 セントローレンスについては、国の組織であるコーストガードと民間の運河管理公社が海域を分けてそれぞれ管理し相互に情報交換している。閘門の維持・管理及び運営は公社が行い通航船から通行料を徴収する一方、運河航行に際するセキュリティ確保・安全確保等に係る情報交換は法律に基づき体系的に実施しており米国との関係も深い。
 ドイツについては連邦が定める大きな方針に則り、それぞれの自治体が独自に施策を策定・運用している。例えば今回訪問したハンブルグのVTSは市の予算で運営しAISについても市の予算で整備したものであるが、本年中にはVTSの組織自体を独立法人化して、係船料及びAIS情報の提供により運用する予定であると聞いている。先ほどAIS情報の位置の誤情報を説明したが、スライド内で協議していた中の一人はBSHの技師だが、彼は技術的なアドバイスはするが運営には関わらない。自治体が独自に機器の購入を含め施設を整備しサービスを提供するという形である。
△3-3-1の31ページのAISとレーダー像ともう一つ丸い記号でベクトルのついているものはレーダー情報か?
□レーダーで得られた過去の船舶位置情報から、将来の針路や速力の予想を表示したもの。
◎このレーダー映像の形からすると、このレーダー情報を得たのは地上のレーダー局か?
□ご了解のとおり。ちなみに、セントローレンスの入り口海域では、元々各港の港湾局がレーダーを整備し運用していたもので、その後コーストガードがそれらのレーダー施設を自己の管轄下において維持・運用するようになったもの。そういう意味で船舶の交通量に応じてレーダーが配備されており、今般、当該レーダー情報とAIS情報とを統合してディスプレイ上で監視するシステムとしたもの。
(英国での「AIS会議」の概要)
◎AIS会議ではAISの出現によるCOLREG改正について発表があった由であるが、COLREG改正の検討とともに、AIS単独では使い物にはならない、だからどういった使い方を推奨するのか、全体としてどういう仕組みを考えるべきかという話し合いはAIS会議の中ではなかったか?
□3-3-3の6ページにあるように、発表者の一人はCOLREG規則7:衝突のおそれに関し、第3項「不十分なレーダー情報その他の不十分な情報」としてレーダー情報の中にも不十分な情報があることが指摘されているが、AISはそれを補完するのではないか、またそういう使い方をする方向でAISについて正面から検討されるべきではないかと具体的に指摘している。同様にAISの活用法について種々の指摘がなされた。
△ドイツのAISに関して2つ質問がある。カバレージの関係でドイツはEEZまでとしている。ドイツのEEZがどのくらいの距離か分からないが、現状VHFでEEZまで届いているのかということと、もう一点、(2)AIS基本設計の二 AISによる船舶動静自動監視のCで異常接近として定置網と漁船群とあるが、このようなことをやっているということは定置網のどこかにAISの発信機をつけていると理解するのかどうか、それと漁船にも搭載しているのかどうか分かれば教えていただきたい。
□一つ目のカバレージについてだが、ドイツの場合VHFのカバレッジである20〜30マイルでEEZを含め全てカバーされる範囲との説明であった。よってロングレンジ・トラッキングは必要ないとのこと。2つ目の漁船等についてだが、これは漁船に搭載うんぬんではなく、漁船がたくさんいるような海域を航行する際にアラートを出すよう設定するということである。
○AISの現状に関し、AISのバグみたいなものがあるとお聞きしたが、実際どれほどの頻度で何件位あるのか?
□ドイツ、カナダともオペレーターではこの種現象の発生頻度に関し統計は取っていないとのことであったが、日常茶飯事に発生しているとの説明であった。
○逆にそうした不正確な或いは全く違う情報が表示されると航海士としては判断に迷ってしまうのではないか?その辺が今後の課題かもしれない。その場合、AISによって不正確な或いは全く違う情報が入ってくるよりは、船名だけ出ればいい話だと思う。船長としてはAIS情報が重畳されたレーダー上に船名なりコールサインが出れば有効であるが、間違った情報が表示され、それがARPAと違う情報の場合にはどちらが正しいのか混乱し、結局AIS情報がないほうがいいと思う場合もある。今後機器が改良されればどんどん良くなっていくとは思うが、いろいろな情報が表示されてそれが間違っている場合は大きな問題を招く恐れがあると思う。
◎今の話と関係するかもしれないが、東京湾でもAIS情報を収集し始めた。機会があればそのデーターを見せていただければと考える。
◎この委員会では2年にわたりAISの調査を行ってきたが、次回委員会では今後の課題も含めてとりまとめるということで、今回の調査結果へのご質問等を含め次回再度議論することとしたい。
 
(4)ノルウェー事情
 元在ノルウェー日本大使館伊藤一等書記官からノルウェーの歴史、経済、文化全般について、及びノルウェーの運輸・海上保安事情につき説明があった。
 
(5)その他
 事務局から、第4回目の委員会については、3月18日(木)14時から日本財団ビル2階で開催を予定していることの説明があった。







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