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第3章 調査研究委員会
第1節 第1回委員会議事概要
1 開催日時及び場所
日時 平成15年6月25日(水)1400〜1615
場所 日本財団ビル2階第1〜4会議室
 
2 議題
(1)平成15年度委員会実施計画(案)の承認
(2)MSC77の審議概要(海上安全)報告
イ 海事保安(議題6)
ロ 海で救助された者の取扱い(議題10)
ハ 避難水域(議題8)
(3)NAV49の対処方針(案)の検討
イ 航路・通報(議題3)及び避難水域(議題5)
ロ AIS関連(議題4・18)
ハ VDR搭載(議題7)
ニ 海事保安(議題12)
(4)第一回調査結果報告
イ ドーバー海峡における航行安全に関する調査
ロ 海上セキュリティSSO研修受講報告
(5)その他
 
3 出席者(敬称略、括弧書きは代理)
(1)委員
今津 隼馬(委員長)、佐藤 修臣、柳川 三郎、松本 宏之、岡野 良成、
宮坂 真人、岡田 卓三、吉田 良治、小坂 智規
(2)関係官庁等
山根 隆行(斎藤 知千)、石田 育男(竹子 春弥)、渡部 明宏(松居 秀明)、
黒田 晃敏(福谷 幸資)、東原 健(近藤 悦広)、中平 和俊(羽山登志哉)、
道山 元、佐々木 稔(平出 昭夫)、小山 亮一(鈴木 浩久)、三宅 真二、
溝部 隆一、山田 吉彦
(3)事務局
徳野 勤、松永 敬典、若林 邦芳、笠間 貴弘
 
4 資料
IR(03) 1-1 平成15年度調査研究委員会名簿
IR(03) 1-2 2003年国際海事機関会議日程
IR(03) 1-3 平成15年度委員会実施計画(案)
IR(03) 1-4 MSC77の審議概要(海上安全)報告
IR(03) 1-5 遠距離識別追尾システム等の現状について
IR(03) 1-6 NAV49の対処方針(案)の検討
IR(03) 1-7 ドーバー海峡における航行安全に関する調査
IR(03) 1-8 海上セキュリティSSO研修受講報告
 
5 議事概要(◎ 委員長、○ 委員、△ 関係官庁等、□ 事務局)
(1)委員長選出等
 事務局から、各委員及び関係官庁出席者等の紹介を行った後、本年度委員会の委員長を、昨年度同様、東京商船大学今津教授にお願いしたい旨提案、出席者全員の承認を得て委員長が選出された。以後、議事次第に則り委員長に議長をお願いし議事が進行された。
(2)議題1: 平成14年度委員会実施計画(案)の承認
イ 事務局から委員会資料IR(03)1-3に基づき、IMOのMSC、NAV、COMSAR会議に出席しその動向を把握するとともに、昨年度に引き続き本年度も本委員会の調査研究対象をセキュリティを含む海上安全に視野を広げた上で、本委員会として関心ある事項について調査研究を積極的に行うことを説明した。
ロ 本件につき、以下の質疑応答の後、本計画案は承認された。
○海上セキュリティについて諸外国の現状を調査するとあるが、具体的にどこの国を考えているのか。米国が主導で欧州も独自に進めていると承知しているが。
□調査の中心は米国の動向と考えている。その他欧州の動きはロンドン事務所で、東南アジアはシンガポール事務所でフォローし、特異な動きがあれば逐次報告を受けまとめることとしたい。
◎調査項目については、その時々の関心事項を適宜の優先順位で選択し、積極的な情報収集を行ってほしい。
(3)議題2: MSC77の審議概要報告
イ 関係官庁及び事務局からIR(03)1-4、1-5により、MSC77における審議結果報告が行われた。
ロ その後、以下のとおりの質疑応答があった。
A 海事保安について
○海事保安に関するSOLAS改正事項は来年7月から適用されるということで、大手各船社は個別・具体的に準備を進めていると承知している。今回のセキュリティへの準備に関しては、要員の研修だとか警報装置の整備などといった新たな投資が必要であり、本来セキュリティについては船側が自覚を持って対処すべきとは理解するも、選択肢のない中で強制事項が数多く盛込まれており、押し付けられているとの印象がある。
 例えば、保安職員に関しても、資格制度でなく船社で責任を持ってそれぞれ実施しろということであれば、船社の自由裁量の中で、対応を自ら判断し必要な措置を講じ、必要に応じ投資すればいいという考え方もある。今の段階で国が本件についてどのような枠組みとするのか見えない段階で、各社は待てないということでそれぞれ苦労しているのが現状。
○海域とか国によって、セキュリティのランク付けをすることとなるのか?
□SOLAS条約では、締約国が1から3の段階でセキュリティレベルを決定することとなっており、右は海域、国で固定されたものではなく、その時々のセキュリティ事情で評価することとなっている。
○いわゆる伝統的なセーフティーに関して、安全性を担保するために、既に様々な規則が定められ設備の義務付けがなされているところ、セキュリティについても新たな負担を求めることについては慎重に対応すべきと考える。
○セキュリティに関する情報がどのようにして船社或いは船側で得られるかという点については、まさに気になるところであるが、右はこれまでなんら議論がされていない。MSC77では、来年の7月に向けて体制をどう整えるかに議論が集中し、船がどの時点でどのようなセキュリティ情報が得られるのか不明であり、疑問が残る。
◎船社・船等に対する情報の提供と共有に関し、米国はどのように考えているのかについて調査することは意義がある。
○改正SOLAS、ISPSコードで、船社や船がすべきことが細々定められたことで枠組みは出来たが、船長の立場とすれば、自分が向かおうとしている海域が安全なのか安全じゃないのか、これが知りたいわけで、テロリストの動きについて事前に教えてもらえるのか、もらえないのかが一番重要な点である。今の段階ではその点が曖昧で、結局、負担ばかり増え、まさに必要な事項の取組みが遅れていると感じている。まずは枠組みを作って、それから運用を考えるというやり方とも取れるが、民間の船にとってテロリストなどが進入してきたとき出来得ることは限られているわけで、その場合に国がどう護ってくれるかというのが問題。その点が忘れ去られて、保安計画だとか、CSO、SSOだとかに話が特化されており、またそれに便乗したセキュリティ関連機器メーカーとか情報提供会社がビジネスを展開しているとの印象である。
◎枠組みが決まり整備されつつあるなかで、今後これをどのようにして運用していくかが重要。国際社会として右にどう対応するのかについて慎重な検討が必要であり、IMOの議論の場でも右を投げかけていただきたい。
○セキュリティは国として考えるべきこととの意見をよく聞く。海上のセキュリティを考える場合、海上保安庁の役割が重要になってくると思うが、現時点で訓練等についてどのような取組みを行うこととしているのか、情報があれば教えてほしい。
□海上保安庁では、本件に対応するため特別な班を編成し、USCGとの間で情報交換をしながら海上セキュリティへの対応全般について検討を進めていると承知している。
○例えばセキュリティ情報の提供については海上保安庁がといった具合に、国としての保安への取組みの中での各機関の所掌を明確にしていただければ、船社としても向いていく方向がはっきりして、具体的な対応を取りやすい。現状では、この分野はここが対応するのではないかといった憶測で話が進んでおり、早い段階で切り割をしていただければ円滑に進むと思うので、その点よろしくお願いしたい。
◎本件については、さまざまな要望が出てきたところ、右を適切な機関につなげることを含めて適宜対応いただきたいと考える。
B 海で救助された者の取扱い
◎現在の議論の方向性でいけば、今回の検討のきっかけとなった事案の場合豪州が引き受けることとなるのか?
△インドネシアの領海内で発生した事案であるので、救助された者の取り扱いはインドネシアが一義的に責任を有することとなろう。
◎領海だからということか?
△SAR区域に着目している。
○本件は入管の取組みが極めて大きく影響すると考えるが、日本の現状はどうなっているのか?
△協議の過程で、入管としては今ある入管法の枠組みの中で適正に対応するとの回答であった。
○このような問題があると、船としても救助するのを躊躇するようになることが懸念される。
C 避難水域
 特になし。
(4)議題3: NAV49の対処方針(案)の検討
イ 関係官庁からIR(03)1-6によりNAV49対処方針(案)の説明があった。
ロ その後、以下のとおりの質疑応答があった後、本案で対処することで了解された。
A 航路指定関係
○デンマークの提案の中で、20ノットの速力制限についての理論的な根拠及び実効性の担保についてはどうなっているか。右については提出ペーパーで明らかになっているのか。
△新たにかかった橋を避航するための動作を1海里前から取ると3分かかることが検証の結果判明したことから20ノットとした、との記述がある。
B AIS関連
○バイナリーメッセージは最終的には何年までに決定することとなっているのか?
△はっきりした期限は把握していないが、いまの検討の進捗状況からして、まだまだ相当の時間を要すると見ている。
○本件については欧州が積極的に取り組んでいるが、わが国も検討を進めたほうがいのではないかと思う。
C VDR、海事保安について
 特になし。
(5)議題4: 第一回調査報告
イ ドーバー海峡における航行安全に関する調査
○ドーバー海峡の監視については、英国側と仏側で随分様子が違う。次回は仏側から調査してみたらどうか。英国側の説明との違いも出てくるかも知れないし、仏側の資料が不足していることもある。是非機会があれば調査願いたい。
○ドーバー海峡では、いわゆる「航路管制」は行われていないが、英・仏の両担当機関は航路を航行する船舶の詳細を十分把握しているとの印象。航路航行中に見合い関係になった時や追い越しする場合に、他の船の動静をドーバーMRCCなどに問えば、その船の船名、行き先などを即座に提供してくれて、その後の船・船間の通信を行う算段をしてくれる。それが非常に有効であった。また、ドーバー海峡を抜けてビスケー湾の北側に到達した際、船位通報のため管制等に連絡すると、船名を告げれば本船の情報が既に連絡されており、管制当局間での情報交換がなされているらしかった。このような例はアジアでは見られず印象的であった。
◎わが国でも一旦情報を提供すればそれが関係機関の間で共有されるシステムが構築される予定と承知しており、早期に整備されることを期待している。
ロ 海上セキュリティSSO研修受講報告
○日本の場合には、武器の取り扱いは法律で規制されているので、船の乗組員としては武器をどのように取り扱うかが関心時だと思う。ロイズの研修ではその点どのような説明であったか。
□講義の中の演習問題の一つとして、犯人から船に爆弾を仕掛けたとの情報が入った時の対応が取り上げられた。講師が一方的に答を与えるというよりは、研修生の中で議論させるというものであった。
○ロイズという民間会社がこの種セキュリティの研修を行うことについて、例えばロイズであれば英国はどのように対応しているのか。
□セキュリティに係る研修内容については本年9月にIMOからモデルコースが提案される予定であり、またSSOの資格についてはSTW小委員会で検討が始まるなど、世界基準作りの作業が行われている。各国はその動きを見ながら自国の認証システムを検討していくものと理解している。
 
(6)その他
 事務局から、第2回委員会を8月11日(月)1400から本会議室で行いたい旨提案があり、了承された。
 
添付資料 1
平成15年度海事の国際的動向に関する調査研究委員会
(海上安全)実施計画
平成15年
 
5月28日−6月6日〔MSC77〕
(第1回調査)
・ドーバー海峡における海上安全
・海上セキュリティSSO研修
 
6月25日 <第一回委員会>
・MSC77結果報告
・NAV49対処方針検討
・第1回調査結果報告
 
6月30日−7月4日〔NAV49〕
 
8月中旬 <第二回委員会>
・NAV49結果報告
・アセアン地域の動向調査報告(シンガポール事務所)
 
9月中旬 (第2回調査)
・AIS調査(セントローレンス河、パナマ運河)
 
平成16年
 
2月初旬 <第三回委員会>
・第2回調査結果報告
・COMSAR8対処方針検討
 
2月16日−20日 〔COMSAR8〕
 
3月 <第四回委員会>
・COMSAR8結果報告
・EUの動向調査報告(ロンドン事務所)
・平成16年度実施計画検討
 
添付資料 2
平成15年度調査テーマ
1 諸外国におけるAISの運用に関する調査
(1)国内法整備の状況
(2)関連陸上施設整備の状況
(3)AISの活用状況
 
2 欧州航行援助衛星システム(GALILEO)開発の進捗状況
 
3 海上セキュリティに関する調査
(1)諸外国における現状
(2)セキュリティ要員の教育・訓練
(3)船舶保安警報の運用
 
4 諸外国における避難水域に関するガイドラインの運用について
(1)ガイドラインの適用
(2)国内法の整備状況
 
5 サブスタンダード船への対応
(1)各国のPSCの実施体制(セキュリティ案件を含む)
(2)インセンティブ制度の現状
(3)IMOモデル検査スキーム
 
6 EUの海上安全・海洋環境保護政策
 
7 アセアン地域の海上安全・海洋環境分野における動向







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