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III 第8回 無線通信・捜索救助小委員会(COMSAR8)の審議概要
1 会議議題等
1-1 日程
(1)対処方針会議 平成16年2月15日(日)(在連合王国日本国大使館会議室)
(2)COMSAR8 平成16年2月16日(月)0930 〜 2月20日(金)1730
 
1-2 開催場所
 国際海事機関 本部
 
1-3 日本側参加者:12名
◎:本委員会所属者の出席者 ○:英国からの出席者
○在連合王国日本国大使館一等書記官(運輸担当) 植村 忠之
◎海上保安庁総務部情報通信企画課専門官 小池 貞利
◎海上保安庁警備救難部救難課国際救難係長 古谷健太郎
海上保安庁警備救難部警備課 林 亮治
独立行政法人海上技術安全研究所企画部研究統括副主幹 吉田 公一
○(社)日本造船研究協会 篠村 義夫
(社)日本造船研究協会 岡村 敏
(社)日本造船研究協会 柳瀬 啓
○(社)日本船主協会欧州地区事務局長 増田 恵
○全日本海員組合欧州事務局長 飯島 雄二
(社)日本海難防止協会国際室長 若林 邦芳
○(社)日本海難防止協会ロンドン連絡事務所長 山地 哲也
 
1-4 議題
(1)議題の採択
(2)他のIMO機関の決定
(3)GMDSS
(4)ITU海上無線通信事項
(5)衛星業務(Inmarsat,COSPASSARSAT)
(6)緊急無線通信:誤警報及び妨害
(7)捜索救助関連
(8)海上における人命救助の扱いに関するSOLAS及びSAR条約の見直し
(9)大型旅客船の安全
(10)海上無線通信システム及び技術の開発
(11)IAMSARマニュアルの改正
(12)2000HSCコードの見直しとDSCコード及び1994HSCコードの改正
(13)海事保安強化の措置
(14)原子力船安全証書の書式の改正
(15)COMSAR9の作業プログラム及び議題
(16)2005年議長及び副議長の選出
(17)その他の議題
(18)MSCへの報告
 
2 審議概要
(1)SAR関連
イ. 議題8 「海上で救助された者の取り扱い」について
(1)COMSAR8/8/1において提案されたガイドライン案が一部修正され承認された。主な修正点は以下のとおり。
A)前文が付加された。
B)案文中“Government”に統一する提案が日・仏・豪より出され、支持された。
C)第5章パラ5.3、5.4について、内容が技術的な内容であることからガイダンスから削除された。この内容はIAMSARマニュアルに含めることを次回ICAO/IMO合同作業部会にて審議することとなった。
D)第6章パラ6.5において、RCCの目的は調整にあることを明確化するため、文末に“coordination”が追加された。これは西提出の提案文書にも書かれている。
E)パラ6.13において被救助者が単に遭難の状態を脱したことを理由に、救助した船舶が直ちに“Place of safety”とはならないこと及び、救助した船舶が十分な居住設備を持ち、かつ収容する能力がある場合は、当該船舶を代替措置が整うまでの一時的な“Place of safety”とすることができることが明確化された。
F)ガイダンス案中の“ANNEX I”は単なる条約の引用であり、不必要であるとの意見から削除された。
G)ANNEX IIについては国際法上の海難救助に関する見解を示したものであり、船長、政府及びRCCの職員などにとって参考になる、との意見から若干修正されて残されることとなった。
(2)本ガイドラインにつきMSCの「回章」にするか「決議」にするか議論があり、その内容の重要性を鑑み、「決議」とすることが支持された。
 
ロ. 議題7 捜索救助関連(1979SAR会議・GMDSS導入事項)
(1)ICAO/IMO合同作業部会の報告において作成された勧告について、原案通り支持された。これらの内容はIAMSARマニュアルの改変でありAPPENDIX D,E,F,G,H,Iに内容が添付されている。
(2) CSOC(Coastal Station Operator Certificate)コースについては、次回MSCにおいて、第36回STW小委員会に承認を促す勧告を出しIMOのモデルコースとして承認を求めることとなった。
 これについてSTW小委員会はSTCW条約関連のモデルコースを取り扱っているものであり、CSOCは同小委員会で承認されるものではない旨サイプラスから意見があった。結論としてはモデルコースの認定はSTW小委員会の所掌事項であり、上記のように対処することとなった。
(3)ICAO/IMO合同作業部会については継続が承認され、次回の第11回はスウェーデンのヨーテボリで実施されることが予定されていたが、改めて日時・場所についてMSC78の前までに周知されることとなった。
(4)SAR基金については、その必要性が承認され、諮問グループのメンバーをICAO/IMO合同作業部会の委員長、ILFの代表、IMO代表及びICAO代表とし、予算上の問題からICAO/IMO合同作業部会またはCOMSAR委員会に併せて開催されることとなった。
(5)海上における医療サービスに関しては、医療専門家から構成される小グループが設立され、提出された勧告(医師の責任、低体温症に対する対処など)について議論が行われ、次回小委員会まで継続審議となった。
(6)米国よりRCC職員の研修・訓練について小委員会に対して紹介があった。
(7)カナダから第10回北大西洋RCC会議の結果について報告があった。
 
ハ. 議題6 緊急無線通信:誤警報及び妨害
 本件については今次会合へは文書の提出がなかったが、誤報の原因を解析して勧告案を創出するVoluntary Group of Expert(VGE)の設立がCOMSAR7にて提案されていることに鑑み、この目的のコレスポンデンス・グループ(幹事:ノルウェー)を設立して以下の作業を進めることとなった。
(1)以前のCGの検討結果を解析すること(COMSAR7/23 paragraph 6 及びannex 4)
(2)誤報に関する簡易な報告書様式案を作ること
(3)誤報に関するIMOの勧告等を見直し、重複及び抜けがないか調べること
 
ニ. 議題11 IAMSARマニュアルの改正
(1)IAMSARマニュアルの改正について、ICAO/IMO合同作業部会の報告(COMSAR 8/7)の中にある同マニュアル改正案について原案通り支持された(議題7(1)の通り)。
(2)COMSAR 8/11/1(伊提案)の改正案について、同改正の審議をICAO/IMO合同作業部会に移されることとなった。
(3)米提案文書COMSAR 8/11については、MSCに報告されMSCにて議論されることとなった。
 
(2)情報通信関連
イ. ロングレンジトラッキング
 議論は、収束をみることなく、COMSAR9への継続審議となった。従って、MSC78(平成16年5月)に米国から提出されている条約の改正案に対し、小委員会としての意見が反映されることはなくなったが、MSC78での条約改正案の審議は、米国からの正式な手順を踏んだ提案であるため、COMSARにおける審議とは別に予定通り行われる。
 (参考:使用可能な事業者として、インマルサットの他、アルゴス、オーブコム、イリジウム、グローバルスター、HF E-Mailが紹介された。)
 
ロ. 船舶保安警報(SSAS)
 インマルサットによるPriority3配信システムによるSSASの最寄の沿岸国MRCCへの送信は、各国の権限ある機関のリストがない以上、転送不能に陥る可能性が高いこと、また一部非友好国に配信された場合、旗国に転送されない可能性もあること等を指摘したところ、SSASは、基本的に船舶から直接に船舶の旗国に配信されるべきであるとの認識に至った。(なお、後日、インマルサットは、Priority3・SSASサービスの開始を凍結する旨発表している。従って、インマルサットによるSSASは、通常のインターネットE-Mailとして旗国に直接通報されるシステムだけが提供される。)
 また、海賊警報は沿岸国に、保安警報(テロ警報)は旗国に、それぞれ送信されるということになると、警報ボタンを2つ別々に設置する必要があるが、船舶側で海賊とテロを識別することは、現実的に不可能であるため、双方とも旗国に配信されるべきであることで各国の認識は一致した。
 さらに米国提案に基づき、各国のSSASの実施状況に関するデータベースを早急に設置することで合意した。その内容は以下のとおり。
 1. 旗国、2. 権限ある機関、3. 警報の最終送信先、4. 警報の項目内容、5. 警報メッセージフォーマット、6. 警報配信方法、7. テストメッセージの特徴
 
ハ. 新たな通信機器
 短波帯(HF)E-MAILなど新たな通信手段が利用可能となっていることが指摘され、有効性が確認された。将来、GMDSSの全面見直しの必要性が指摘されているが、その際には、有力な手段として活用されるものと思われる。
 
ニ. DSCの簡素化
 DSCは、誤発射率が100パーセントに近く、ほぼ役に立っていないことから、操作手順等を簡素化することで合意した。
 
ホ. CH16の聴取問題
 2006年以降もCH16の聴取義務付けを継続するか否かに関する問題に関し、SOLAS条約の対象船でない小型船舶等が依然としてCH16を遭難通信に使用していることから、更に当分の間、延長させることで合意した。
 
(3)セキュリティ関連ロングレンジ・アイデンティフィケーション・トラッキング(LRIT)
(1)16日全体会議
 議長から提出ペーパーの説明を促されるも、米等はWGで詳細に説明するとして簡単な紹介に終始した。結局、サイプラスのシャラランボス氏を議長とするWG3を立ち上げ、ロングレンジ・トラッキングとSSASについて検討する、TORはJ6ペーパーで指示することが確認された。
(2)16日WGでの検討
A)国際機関の設立の要否
 各国からLRITに関する提出ペーパーの概要が説明された後、議長からとりあえず各国等の本件へのコメントの求めたところ、国際機関の設立の要否が最初に検討されるべきとの意見が大勢を占め、右について議論がなされた。
イ コメントを要約するとポイントは大きく3つ。
a. 情報の管理はセキュリティの面からも国際機関にすべきとの意見が大勢を占めた。
b. 資金調達法について懸念が表明された。
c. 情報の取扱いについても規定すべきとの意見があった。
ロ 各国等のコメントの概要は次のとおり。
・国際的な機関を設立する必要があるか否かを先ず議論すべき(ICS)
・国際機関の設立と資金調達問題が重要。船社は払うとは思えない。(ノルウェー)
・LRITは各国にとって戦略的に重要なシステム・情報であり、右の管理は国際機関に委ねるべき(ICS)
・情報管理(セキュリティ)が重要であり、各国単位ではセキュリティを確保するのは難しい。(米)
・セキュリティの確保が不可欠であり国際機関が管理すべき(ノルウェー)
・各国がポーリングするというアイディアはどうなった?国際機関を作るとなると相当の時間を要する(日本)
・国際機関を設立しSOLAS締約国に均等にサービスを提供するということは、莫大な時間と労力を要することを理解すべき(議長)
・ 旗国、沿岸国、ポート・ステイトという複数の者が情報を必要とし、国際機関なしでは情報の供給が不可能。(ノルウェー)
・IMOが情報を管理し、締約国の求めに応じ情報を提供、課金するのはどうか(議長)
・IMOが管理すべき(マーシャル・アイランド、英)
・IMO憲章に照らしTORを逸脱していないか(ノルウェー)
・IMOに当該機関が創設する前にSOLASを改正できるのか?(日本)
・どうしてLRITの導入をそんなに急ぐのか?
 我々は何故LRITが必要なのか検討するのが先決。(ICS)
・トラッキング自体は重要であるが資金調達法の確立が困難(ノルウェー)
・米提案のSOLAS改正案は船への搭載についてのみ規定しているが、陸上については?(豪)
・米改正案は船に何かしろとしか述べていないが、情報の管理についても明確に規定すべき(ICS)
・権利・義務関係についても明確に規定すべき(議長)
ハ 議長は、国際機関の設立について、本日聴取した各国のコメントを整理した上で17日再度検討すると述べた。
B)LRITのシステムに関するコメント
 8/13/4の各項目について、それぞれ以下のとおり簡単な確認とコメントが出され、それらを含め17日改めて検討することとなった。
イ LRITでは、船舶へのポーリングと船舶自身からの情報の発信両方を考えている。(米)
ロ 仏が運用しているアルゴスというシステムは、船舶から位置情報を定期的に発信する機能があり、全世界をカバーするシステムとして広く活用されており、LRITにおける通信手段としても十分対応できる機能を有する。(仏)
ハ 現存船へは適用の留保をすべき(大勢)
ニ A3海域はインマルを持っているが、その他の海域を航行する船舶には新たな搭載を必要とするということか?(マレーシア)
ホ トラッキング・ディスタンスに関し、インマルはいずれの場合でもカバーする能力がある(英)
へ 通報内容は手動入力による弊害もあり8/13/4にいう4項目で十分(大勢)
ト 専らAIS海域を航行する船舶に関し、沿岸国がAIS基地局を整備しない場合どうなるのか?(ノルウェー)
チ AISとのインターフェイスに関し、現在AISは多くの問題を抱えており、この問題のある機器に接続することは不適当(ICS)
リ AISとのインターフェイスはオプションとしてOK(米)
(3)17日WG
 昨日に引き続き、8/13/4を参照しながら確認とコメントを聴取した。
A)使用する衛星システム(8/13/4 d,e関連)
イ 米国から、インマルサットが既に運用されておりLRITの方法として活用でき得る機能を有していることから、当面、認証手続きについては考えなくていいのではないか、との意見があり、大勢は右を支持し本件は一旦決着した。
ロ 遅れてWGに参加した仏から、LRITに使用する衛星としてインマルサットが現時点で要件を満たすからといって他の方法の参入を拒否するのは認められない旨、また衛星通信はそれぞれ弱点を有しており補完しあうべき旨、更にアルゴスは全世界をカバーしLRITの通信方法として有効に活用可能である旨の発言があった。
ハ これに対しISCは、LRITのシステムとして、及びユーザーの選択肢として柔軟性を持たせる必要があることから、アルゴスも参入させるべきと意見、他方ノルウェーは、システムとして情報経路が複数化するのが懸念されることから、当面はインマルサットでいいのではとの意見を表明した。
ニ 議長からは、新たな衛星の参入を認めることで、LRITシステムをより複雑にし、その実施を遅らせることになることへの懸念が表明された。
ホ これに対し仏からは、8/2/1では位置情報が入手できることが必要要件とされており、アルゴスは右を十分満たす性能を有している点、及びインマルはGPSに依存して位置を計測するが、GPSがダウンした時は情報が入手でいない、他方アルゴスはGPSがダウンしてもドップラー効果で位置情報を継続して送信できると述べた。
へ 午後からの議論では、LRITにおける衛星システムの認証手続きを検討するため、GMDSSに活用する移動衛星システムの評価と認証に関する回章MSC1077をベースに議論された。
B)LRITの活用方法
イ ICSは、WGからプレナリーへの報告において、次の3点を表明したい旨発言。
・いくつかの国はLRITの実施をコミットしていない事実
・LRITの影響評価が必要である点。
・急いでやる必要があるのかとの懸念がある点。システムの分析を通じて要望に沿ったシステムを構築すべき点。
 これに対し、パナマが賛成。
ロ 米国から、海事の分野のセキュリティは航空に比べ脆弱であると考えており、一度テロが行われたならば経済的影響も甚大である。LRITはセキュリティ確保の一手段として有効と考えている旨発言があった。
ハ ICFTUは、LRITにおいて、通報しない船や誤情報を発信する船舶はセキュリティに脅威を与え得る対象として認識できる点で有効であると述べた。
C)LRITの機能要件(8/2/1 Annex2)
イ ポルトガルから、A1、A2海域を航行する船舶に1.1.3でいうような秘匿した方法で送信する機能を持たせることは困難であり留保したい旨発言。
ロ 本件に関し議長は、A1海域を航行する船舶はAISでカバー、A1とA2は必要な機器を1年間の間に搭載する、A1〜A3はインマル搭載、A1〜A4の場合は、A4にある場合には搭載の必要がない、との整理であると説明。
ハ これに対し、各国は次のとおり発言。
・一年は短い。GMDSSでは相当の時間を取っている(ノルウェー)
・一般にA1海域はAISカバレッジよりも広い。沿岸国がAIS情報システムを構築していないからといって、もっぱらA1海域を航行する船舶がAIS以外の手段を持っていないことで責められるべきではない(マルタ)
・AIS情報は沿岸国が入手する。この情報は旗国に通報すればいい(IALA)
・AISは放送形式であり1.1.3の要件を満たさない。A4海域であるアラスカ周辺を航行する船舶についてLRITの義務を生じさせなくてもいいのか?(カナダ)
ニ 以上の意見を聴取した後、議長は次の案件の審議に移った。
D)SOLAS条約改正案
 COMSAR8/13 annexを参照しながらレビューした。各国等のコメント次のとおり。
イ パラグラフ2(AIS海域を主に航海する船舶への搭載)
 ICSはA1海域についても言及すべきと述べた。
ロ パラ4(トラッキング・レンジ)
 米国から、沿岸に接近すれば頻繁に通報を必要としたのは、沿岸部は船舶が輻輳し密度が高くなるため、正確なトラッキングに不可欠との考え方によると説明。これに対し議長からSOLAS第7規則との関係について問われ、直接関係ないと回答。
ハ パラ5(IMOが認める性能要件を満たすべし)
 議長から、性能要件を規則に入れないとガイドラインでしかなくなると指摘があった。
ニ パラ7(課金)
 議長は、LRITを活用する者が少数だった場合、情報入手に必要な料金は高くなることが考えられるとコメント。会議では、船舶については課金なし、情報を必要とする者が情報量に応じて支払う原則が確認された。
ホ パラ9(船位が継続して自動的に受信できる点)
 議長は、継続して入手する点は機能要件の2.2.4で明らかにされていると指摘。
へ パラ11
 ICSは、船側は誤発射を認識できないと指摘。
(4)18日WG
 17日までのWGでの検討をまとめたWGレポート及び議長が作成したSOLAS改正(案)の概要次のとおり。
A)WGレポートのポイント
イ LRITの搭載−A1海域はAISでカバー、A2海域は必要な機器の搭載が必要。A3は新たな搭載は必要ないであろう。A4は結論が出ず。
ロ 現存船の段階的導入については合意。
ハ トラキング距離・頻度は締約国が独自に決めIMOに報告すること。沿岸国に提供されるLRIT情報を沖合い何海里とするかについてWGでは議論しなかった。他方、沿岸国へのLRIT情報の提供に関するMSCの明確な決定を要請した。
ニ 国際機関については簡単に議論したのみで結論に至っていない。
ホ LRITに使用される衛星について情報提供され、IMOが承認するための衛星の機能要件を作る必要性が合意された。
へ LRIT情報はID、位置、日時のみとすることで合意した。
ト LRITシステムに関し、船舶は課金なし、情報入手した者が支払うことで合意した。
チ LRITはAISとインターフェイスを持たせるべきでないことで合意した。
リ LRIT情報はSAR活動のために提供されることが合意された。
B)SOLAS改正(案)
 議長(サイプラスのシャラランボス氏)が、米提出ペーパー及びWGでの議論をもとに、SOLASの規定振りにならって作成したもの。今回の作業の進展を示す物として作成したもので、今後の検討で変わりうると説明。項目は次のとおり。
イ 搭載義務関係(パラ1)
ロ LRITの機能要件(パラ3)
 ID・位置の自動送信、スイッチオフ、誤発信の自動感知機能、船側は課金なし等
ハ LRIT情報を入手できる者(パラ5)
・旗国−世界中どこにいても入手可能
・寄港国−船籍にかかわらず全ての船について、独自にトラッキング距離・受信間隔を定め入手可能
・沿岸国−船籍にかかわらず沿岸○海里内を航行する船舶について入手可能
ニ 締約国の義務−情報の使用・管理(パラ6)
ホ 誤発射等の取り扱い(パラ8)
(5)今次COMSARでの成果と今後
A)成果
イ LRIT情報は国際的な組織の管理下で運営されるべきとの意見が大勢を占めるも具体的なレイアウトは固まらず。
ロ AI海域は搭載義務なし、A2海域を航行する船舶は新たなLRIT用機器の搭載が必要との方向でとりあえず合意。
ハ 旗国、沿岸国、入港国がそれぞれ情報を入手できることが確認された。
ニ LRITに使用される衛星はINMARSATのみならず他のシステムも利用される可能性がでてきた。
B)今後
イ 情報を管理する機関の確定
ロ 使用する衛星等のシステムの選択−性能要件
ハ システム設計
(6)情報収集の結果
 本件の提出元である米国から情報収集したところ断片的なるも次のとおり。
イ 米国としては、LRITによる情報がそれぞれ各国で管理された場合、情報管理の面で不安があるため、国際機関での管理を提案している。
ロ 同時に、当該国際機関にAMVERを関係付け、AMVERのリニューアルをこのタイミングで実施したいと考えている。
ハ LRIT関係のSOLAS改正をMSC77で提案したのは、米国国内で、MTSAが議会で承認されたことから、行政サイドとしても積極的にアクションを取らなければ批判の対象となりかねないという事情がある。今回、どうもまとまりそうにない状況であるが、右について失望はしているが驚いてはいない。
ニ 当初、ポーリグのみを考えていたが、仏からアルゴスの活用も含めるべきとの意見もあり、ポーリング・発信の双方向を考慮した提案内容となった。







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