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II 第49回 航行安全小委員会(NAV49)の審議概要
1 審議概要(全般)
1-1 日程
(1)対処方針会議 6月29日(日)(在連合王国日本国大使館会議室)
(2)NAV48 6月30日(月)0930 〜 7月4日(金)1730
 
1-2 開催場所
 国際海事機関 本部
 
1-3 日本側参加者:12名
◎:本委員会所属者の出席者 ○:英国からの出席者
○在連合王国日本国大使館一等書記官 植村 忠之(運輸担当)
◎海上保安庁交通部安全課課長補佐 近藤 悦広
国土交通省港湾局建設課国際業務室専門官 鈴木 健之
独立行政法人海上技術安全研究所 高度運航システム研究グループ長 福戸 淳司
○(社)日本船主協会欧州地区事務局係長 中村 憲吾
◎東京商船大学教授 今津 隼馬
(社)日本造船研究協会 篠村 義夫
(社)日本造船研究協会 片山 瑞穂
(社)日本造船研究協会 岡村 敏
(財)日本舶用品検定協会技術部長 木村 佳男
○(社)日本海難防止協会ロンドン連絡事務所長 山地 哲也
◎(社)日本海難防止協会企画国際部国際室長 若林 邦芳
 
1-4 議題
(1)議題の採択
(2)他のIMO機関の決定
(3)航路、船舶通報及び関連事項
(4)AISのディスプレイ表示と使用用件
(5)避難水域
(6)錨、係留及び曳航装置
(7)現存貨物船へのVDR搭載のフィージビリティスタディ
(8)レーダーリフレクターに関する性能基準の改正
(9)レーダー設備に関する性能基準の見直し
(10)ITU関連
(11)巨大旅客船の効果的な航海計画
(12)海上保安を高めるための措置
(13)全世界的無線航法システム
(14)海難事故解析
(15)ばら積み貨物船の早期委付に関するガイドライン
(16)作業計画及びNAV50の仮議題
(17)2004年の議長及び副議長の選出
(18)その他の議題
(19)海上安全委員会への報告
 
1-5 審議内容
(1)航路、通報及び関連事項(議題3関連)
(1)オマーン湾Ra's al kuh沖の分離通航方式の制定(NAV 49/3/1, Corr.1)
 30日のプレナリーにおける審議では特段の意見なく、WG.1における審議において、提案された沿岸側の通航路に関する記述に若干の修正がなされたが、基本的に原案に大きな変更はないまま、4日のプレナリーにおいても特段の意見なく承認された。
(2)フィニステーレ岬(スペイン)沖の分離通航方式における危険物運搬船専用通航路の制定(NAV 49/3/2, NAV 49/J/4)
 30日のプレナリーにおける審議では特段の意見なく、WG.1における審議及び11日プレナリーにおいても特段の意見なく承認された。なお、今後、本分離通航方式は、第23回IMO総会において採択された後、6ヶ月後に施行されることとなる予定。
(3)Ra's al Khafji港(サウジアラビア)沖分離通航方式の制定(NAV 49/3/4)
 30日のプレナリーにおける審議では特段の意見なく、WG.1における審議及び4日のプレナリーにおいても特段の意見なく承認された。
(4)アドリア海における複数の分離通航方式及びその他複数の新たな航路指定の制定(NAV 49/3/7)
イ 30日プレナリーにおける審議
 本提案は、NAV47で合意が得られなかった原案に所要の修正を加えたものであるが、30日のプレナリーにおける審議では特段の意見はなった。
ロ WG.1における審議
 WGにおいて、提案されたラウンドアバウトによる分離通航方式は、位置的に適切ではなく、航行安全の目的を達成するためには、むしろ警戒水域を設定することが望ましいとともに、提案される分離通航方式は、大きな分離通航方式の一部ではなく、個々の分離通航方式として記述されるべきであるとの意見があった。これらの意見に基づき提案者が用意した修正が承認された。
ハ 4日プレナリーにおける審議
 プレナリーにおいては、特段の意見なく承認された。
(5)Korsoer とSprogoe(デンマーク)間の分離通航方式の改正(NAV 49/3/8,Corr.1)
 30日のプレナリーにおける審議では特段の意見なく、WG.1における審議及び4日のプレナリーにおいても特段の意見なく承認された。
(6)シンガポール海峡(主水道)の分離通航方式の改正(NAV 49/3/9, Corr.1)
イ プレナリーにおける審議
 30日のプレナリーにおいては特段の意見はなかった。
ロ WGにおける審議
 インドネシア、マレーシア及びシンガポールによる本提案は、緊急時の錨地、故障船舶の入渠前修理のための錨地及び沖荷役のための安全海域の設定を目的として、シンガポール海峡主水道における既存の分離通行帯の内側に所要の水域を確保しようとするものであるが、WGにおいては、シンガポール海峡の分離通航方式の航路指定方式(routing system)の一部として錨地を位置づける本分離通航方式の改正案には同意できないこととされたが、代案として、右分離通航方式の分離帯から錨地のスペースを解き放すための右分離帯の改正については承認することとされた。
 なお、OCIMFからは、本提案が受け入れられることによって、類似の錨地の不足を理由とした提案が一般化するとともに、船舶が通航路に侵入することとなり、航行の困難化と衝突の危険が増加するとの発言がなされた。更に、当該錨地がよく使用されることは、背景光の存在、低速での錨地への出入り、大角度での船舶の通航路への出入り等により、航行をより困難にするであろうとの発言がなされた。
ハ 4日プレナリーにおける審議(WG審議後)
 プレナリーにおいては、特段の意見なく承認された。
(7)ニュージーランド北島の北東岸沖の避航水域の制定(NAV 49/3)
イ 30日のプレナリーにおける審議では特段の意見なかった。WG.1における審議においては、強制避航水域の設定は本件が最初であることから、慎重な検討が必要との意見が数多く出され、慎重な検討が行われた。
ロ 4日のプレナリーにおいて、米国から、本件は強制避航水域の良いサンプルと評価するとともに、今後ともUNCLOSなどの国際法に照らし慎重に検討すべき旨のコメントがあった。会議は右コメントの支持を表明し、本件については特段の意見なく承認された。
(8)オーストラリア北東岸沖のトレス海峡グレート・ノース・イースト水道(オーストラリア)の航路指定の改正(NAV 49/3/3)
 30日のプレナリーにおける審議では特段の意見なく、WG.1における審議及び4日のプレナリーにおいても特段の意見なく承認された。
(9)トレス海峡及びグレート・バリア・リーフ(オーストラリア)のInner Routeにおける強制の船舶通報制度の改正(NAV 49/3/5)
 30日のプレナリーにおける審議では特段の意見なく、WG.1における審議及び4日のプレナリーにおいても特段の意見なく承認された。
(10)フィニステーレ岬(スペイン)沖の分離通航方式における危険物運搬船専用通航路の新設による強制船舶通報区域の改正(NAV 49/3/6)
 30日のプレナリーにおける審議では特段の意見なく、WG.1における審議及び4日のプレナリーにおいても特段の意見なく承認された。
(11)トレス海峡及びグレート・バリア・リーフ(オーストラリア)のInner Routeにおける強制の船舶通報制度の向上に関する情報提供(NAV49/INF.4)
 WG.1において、オーストラリアから標記船舶通報制度(REEFREP)の改正(NAV49/3/5)に関連したCOASTAL VTSの機能向上の概要について、情報提供がなされた。
(12)THE PARACAS NATIONAL RESERVE(チリ)の強制の避航水域の制定(MEPC48/7)
 30日のプレナリーにおける審議では特段の意見なく、WG.1における審議において、米国及びオーストラリアから本提案がNAV49へ先に提出されないまま、MEPC48へ提出されたことは手続き違反であるとして、WGにおける検討に反対する旨の意見がなされるとともに、ノルウェー及びスウェーデンから本避航水域の線引きが北は沿岸3海里、南は沖合20海里とされていることについて、これらの限界線は環境への考慮と同様に航海上の便宜についても対称的であるべきであるとの意見がなされたが、右線引きに若干の修正を加えた上で、WGメンバーの大多数により基本的に原案に大きな変更はないまま承認され、4日のプレナリーにおいても特段の意見なく承認された。
(2)AISの表示と使用要件(議題4関連)
(1)プレナリーでの議事
 プレナリーにおいてIEC提案のNAV49/4(航行関連情報の提示に関する性能要件草案)及びNAV49/4./1(航行関連情報の提示で使用される用語とシンボルの調和化)と、米国が提案したNAV49/4/2(AIS設置に関するガイドライン)について提案理由が示された。特段のコメントも無く本件はWG(WG2)での検討項目に加えられた。
(2)ワーキンググループでの検討
イ 航行関連情報の提示について
 NAV49/4,NAV49/4/1とMSC77/26 para 10.3(NAVTEX情報の表示とNAVTEX受信機のインターフェイス)についてWG委員長(英国Fisher)とIECから再度説明があり、計った結果、
(i)ノルウエーから既存の性能要件との調整を十分行うようにコメントがあった。
(ii)プレナリーにおいてISOから要望のあった略語の調整については、ISOとIECにおいて事務ベースで行うことがIECから提案された。
(iii)英国からいくつかの略語を加えるように提案された。
(iv)NAVTEX情報については後日IECから報告することとなった。
 NAVTEXを除く本件のまとめは次回のNAV50で行われるが、AISも開始されたこともあり略語やシンボルに関して各国にSNサーキュラーをまわすこととし、また数々の質問やコメントがノルウエーやポーランドからあったことから、本件についてドイツをリーダーとしノルウエー、ポーランド、米国それに我が国(独の要請あり)が加わったコレポングループを設立することとした。
ロ AIS設置に関するガイドライン
 NAV49/4/2についてWG委員長と米国からSN/Circ.227の見直しについて再度説明があり、計った結果、スエーデンからインターフェイスはRS422タイプであり、汎用ではないこと、日本から現在のガイドラインをそのままとすることを希望していること、IECから技術的には問題ないことが示され、また船舶のシステムは汎用ラインにつなぐものではないものであることを確認し、米国も情報として流したのであり、変更を希望するものではないとのことで本件は落着した。
(3)プレナリーでの検討
 独をリーダーとするコレポングループの設立が決まった。NAV50に向けて作業することとなった。







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