日本財団 図書館


 Fig.11には閉塞対策を施した装置の全体を示し、Fig.12には閉塞対策用の制御概念図を示す。
 
Fig.11 Experimental instrument
 
Fig.12 Control system
 
3.3.2 試作機の殺滅性能実験
 実験は、前節と同じ要領で行った。実験は5回行い、1回につき20リットルのコントロール水(未処理水)と処理水の分析を行った。また、船のタンクへの注水時、排水時の2度処理することを想定し、処理した水をタンクに貯め、2度装置を通す実験も行った。なお、噴流速度は約30m/秒とした。
 Table1に損傷調査を行った水生生物の区分、観測項目、分析法及び損傷率の計算方法を示す。
3.3.3 実験結果
 Table2に動物性プランクトン、植物性プランクトン及び細菌の分析結果を示す。分析結果の数値は5回実験の平均値である。
 動物性プランクトンでは、種類によって損傷率に変動があるが、あらゆる海域で出現数が多いカイアシ類及び多膜類繊毛虫類で高い損傷率を示すため、全動物性プランクトンで90%以上の数値となる。植物性プランクトンでは、小さなサイズほど効果が小さい傾向を示す。細菌に対しては、プランクトンほどではないが、ある程度の効果を示す。
 なお、table2には示していないが、装置を2回通した実験結果によると損傷率は近似的に、一回の損傷率+(1−一回の損傷率)×一回の損傷率 という単純な算式で表されることが分かった。
 
4.結言
 2次的環境問題がない、比較的簡単な構造の、通常の船舶バラストシステムに組み込みやすい装置が開発できたと考える。
 性能向上への課題は残るが、今回の実験で得られた性能は、注水または排水時に1回装置を使用した場合の性能であり、注水と排水の2回装置を使用すれば確実に性能向上が期待できる。経済性を向上させるには、性能を低下させず圧損を減らす工夫や、閉塞解消装置をより単純なものにする工夫がさらに必要であろう。
謝辞
 本研究の実施にあたり、ご指導と貴重なアドバイスを頂いた、元東大教授徳田拡士氏、東洋大学加藤洋治教受、東京大学福代康夫教授に厚く御礼申しあげます。なお、本研究は日本財団の「船舶バラスト水等処理技術調査研究」事業であることを付記し、関係各位に感謝申しあげます。
 
Table 1 Inspected organisms, measurement method & effect evaluation
 
Organisms Measurement items Measurement method Effect evaluation(%)
Zooplankton Number for each species Direct count for each size(*) by microscope Decrease of normal cells number / normal cell number in untreated water for each size
Phytoplankton Cell number for each speceis Direct count for each size(*) by microscope Decrease of normal cells number / normal cell number in untreated water for each size
Bacteria Number of general heterotrophic bacteria Culture method Decrease of living cells number / living cell number in untreated water
Colony number of colon bacteria Culture method Decrease of living cells number / living cell number in untreated water
(*)Size division: below 20μm、20〜50μm、50〜100μm、above100μm
 
Table 2 Effect of slit nozzle (%)
    above 100μm 50〜100μm 20〜50μm total
Zooplankton Polyhymenophora   100 74 87
Rotatoria   75 56 56
Polychaeta 93 96 94 94
Pelecypoda 55 20 58 58
Maxillopada 89 82 88 88
Cirripedia 52 78 78 78
Total 77 79 88 94
Phytoplankton Dinophyceae 72 60 63 65
Bacillariophyceae 90 92 65 58
Total 88 92 63 60







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION