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e. 動物プランクトン(カイアシ類)
 
 世界中の海域における主要な動物プランクトンであるカイアシ類に対する処理効果を検討した。イ. 漲水時と排水時の2回処理したケースはもとより、漲水時の1回処理だけとした場合及びロ. 排水時処理のケースでも1回処理だけで、漲水港湾の原水と比較して100%の殺滅率を記録した。
 ただし、ロ. で述べている、漲水時原水と比較ができない排水処理ケースでは、正常個体が残存している場合もあり、すべての状態で常に100%の処理効果を得るまでは至らなかった。
 
(漲水時に処理し、排水港で未処理排出ケースも含む。)
 
 表II.2.3.4-18及び図II.2.3.4-17には、漲水時と排水時の2回処理した第1航海のシアトルから東京(表II.2.3.4-18(1)と図II.2.3.4-17(1))及び第2航海のシアトルから名古屋(表II.2.3.4-18(2)と図II.2.3.4-17(2))における実験結果を示した。
 カイアシ類に対する処理効果は、80μm以上及び80μm未満10μm以上のサイズ区分ともに高く、漲水時処理で約80%以上殺滅し、航海中の自然死滅も加わって排水時には未処理でも100%の殺滅率となった。
 
表II.2.3.4-18(1)漲水時と排水時の2回処理したケースにおける
動物プランクトン(カイアシ類)の変化
(第1航海:シアトル→東京)
実験港 Seattle Tokyo
実験日 Dec.6 Dec.15
分析検体数 3 3
サイズ区分(単位)\試料名 シアトル原水 シアトル漲水時処理後 東京排水時処理前 東京排水時処理後
80μm以上(inds/m3 1533 300 <100 <100
80μm未満−10μm以上
(inds/ml)
<0.001 <0.001 <0.001 <0.001
 
図II.2.3.4-17(1)漲水時と排水時の2回処理したケースにおける
動物プランクトン(カイアシ類)の変化
(第1航海:シアトル→東京)
 
80μm以上(inds/m3
注)図中の数字は、原水に対する減少率
 
表II.2.3.4-18(2)漲水時と排水時の2回処理したケースにおける
動物プランクトン(カイアシ類)の変化
(第2航海:シアトル→名古屋)
実験港 Seattle Nagoya
実験日 Dec.6 Dec.15
分析検体数 3 3
サイズ区分(単位)\試料名 シアトル原水 シアトル漲水時処理後 名古屋排水時処理前 名古屋排水時処理後
80μm以上(inds/m3 100 <100 <100 <100
80μm未満−10μm以上
(inds/ml)
0.003 <0.001 <0.001 <0.001
 
図II.2.3.4-17(1)漲水時と排水時の2回処理したケースにおける
動物プランクトン(カイアシ類)の変化
(第1航海:シアトル→名古屋)
 
80μm以上(inds/m3
 
 
80μm未満−10μm以上(inds/ml)
注)図中の数字は、原水に対する減少率
 
 
 表II.2.3.4-19及び図2.3.4-18には、排水時処理ケースのカイアシ類に対する実験結果を示した。
 漲水時処理ケースにおけるカイアシ類に対する処理効果は、イ. 漲水時及び排水時の2回処理のケースと同様に、80μm以上及び80μm未満10μm以上のサイズ区分、各々6ケース中4ケース、3ケースすべてのケースで、漲水港湾の原水と比較して100%の殺滅率を記録した。 ただし、第2航海における香港海水の神戸(表II.2.3.4-19(5)と図2.3.4-18(5))での排水時処理及び第1航海の太平洋上交換水のロサンゼルスでの排水処理(表II.2.3.4-19(5)と図2.3.4-18(5))のケースでは、正常個体が残存しており、すべての状態で常に100%の処理効果を得るまでには至らなかった。
 
表II.2.3.4-19(1)排水時処理ケースにおける
動物プランクトン(カイアシ類)の変化
(第1航海:ロサンゼルス→バンクーバー)
実験港 Los-Angeles Vancouver
実験日 Dec.1 Dec.5
分析検体数 1 2
サイズ区分(単位)\試料名 ロサンゼルス原水 バンクーバー排水時処理前 バンクーバー排水時処理後
80μm以上(inds/m3 5400 1250 <100
80μm未満−10μm以上
(inds/ml)
0.031 <0.001 <0.001
 
図II.2.3.4-18(1)排水時処理ケースにおける
動物プランクトン(カイアシ類)の変化
(第1航海:ロサンゼルス→バンクーバー)
 
80μm以上(inds/m3
 
 
80μm未満−10μm以上(inds/ml)
注)図中の数字は、原水に対する減少率
 
表II.2.3.4-19(2)排水時処理ケースにおける
動物プランクトン(カイアシ類)の変化
(第1航海:シアトル→名古屋)
実験港 Seattle Nagoya
実験日 Dec.6 Dec.16
分析検体数 3 1
サイズ区分(単位)\試料名 シアトル原水 名古屋排水時処理前 名古屋排水時処理後
80μm以上(inds/m3 1533 300 <100
80μm未満−10μm以上
(inds/ml)
<0.001 <0.001 <0.001
 
図II.2.3.4-18(2)排水時処理ケースにおける
動物プランクトン(カイアシ類)の変化
(第1航海:シアトル→名古屋)
 
80μm以上(inds/m3
注)図中の数字は、原水に対する減少率







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