b. 排水時処理のケース
表II.2.3.4-4及び図II.2.3.4-2には、排水時処理ケースにおける水質各項目の変化を示した。 なお、複数回測定(初期、中期、末期等)している場合は、それらの平均値を表示している。
前記した漲水時と排水時の2回処理のケースで見られた濁度の上昇は、同じ長期間の航海である第1航海のシアトルから名古屋(図II.2.3.4-2(2))及び第2航海のバンクーバーから東京(図II.2.3.4-2(4))で観測された。 この結果は、長期間の航海では漲水海水中の濁り物質の沈降が顕著化することを裏付けている。
一方、太平洋上でバラスト水を交換したケースでは、濁度が低下しており(図II.2.3.4-2(7))、バラスト水交換による海水中粒子物質の除去効果を示していると考えられる。
また、すべてのケースにおいて溶存酸素量が上昇していた(図II.2.3.4-1(1)から(7))。 これは、a. 漲水時と排水時の2回処理の結果と同様に、低水温の影響もあって暗黒環境下であるにも係わらずバクテリアによる分解が進行する状態には至らず、船体動揺による攪拌作用等によって空気中の酸素が溶入したものと考えられる。
表II.2.3.4-4(1)排水時処理ケースの水質メータ観測結果
(第1航海:ロサンゼルス→バンクーバー)
実験日
時刻
実験港
対象タンク |
2003/12/1
18:30
Los Angeles
No.2WBT(P) |
2003/12/5
12:25
Vancouver
No.2WBT(P) |
ロサンゼルス原水 |
バンクーバー排水時処理前 |
バンクーバー排水時処理後 |
水温(℃) |
16.1 |
13.3 |
12.8 |
塩分(PSU) |
34 |
34 |
34 |
pH |
7.8 |
7.8 |
7.9 |
溶存酸素量(mg/l) |
6.4 |
9.4 |
9.3 |
濁度(NTU) |
9 |
5 |
5 |
導電率(S/m) |
5.7 |
5.6 |
5.7 |
密度(σt) |
28 |
28 |
29 |
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注)バンクーバーのデータは、2回測定の平均値
図II.2.3.4-2(1)排水時処理ケースの水質メータ観測結果
(第1航海:ロサンゼルス→バンクーバー)-1
第1航海,ロサンゼルス−バンクーバー 水温(℃)
第1航海,ロサンゼルス−バンクーバー 塩分(%)
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注)バンクーバーのデータは、2回測定の平均値 |
図II.2.3.4-2(1)排水時処理ケースの水質メータ観測結果
(第1航海:ロサンゼルス→バンクーバー)-2
第1航海,ロサンゼルス−バンクーバー pH
第1航海,ロサンゼルス−バンクーバー DO(mg/L)
第1航海,ロサンゼルス−バンクーバー 濁度(NTU)
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注)バンクーバーのデータは、2回測定の平均値 |
図II.2.3.4-2(1)排水時処理ケースの水質メータ観測結果
(第1航海:ロサンゼルス→バンクーバー)-3
第1航海,ロサンゼルス−バンクーバー 導電率(S/m)
第1航海,ロサンゼルス−バンクーバー 密度(σt)
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注)バンクーバーのデータは、2回測定の平均値 |
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