日本財団 図書館


5.「人員・救援物資基地」における問題点の調査
(1)マッチングの基本的な考え方
 災害時に利用可能な施設の通航・接岸可能性について、船舶諸元(船種・船型)より、船舶の全長、全幅等のデータと災害時利用可能施設の規模等のデータを比較し、船種・船型ごとに利用できる施設や通航可能な箇所を整理した。
 なお、このマッチングにおいて検討の対象とする施設は「3.橋梁損傷時の河川航行の影響調査」において整理した「リバーステーション」及び「船着場」、「水門」の2項目とした。マッチングの具体的な手法は図−5.1.1に示すとおりである。
 
図−5.1.1 リバーステーション及び船着場と船舶の諸元の比較方法
 
満載喫水との比較
 
全長との比較
 
図−5.1.1 水門と船舶の諸元の比較方法
 
満載喫水との比較
 
マスト高さとの比較
 
全幅との比較
 
(2)荒川及び隅田川における通航可能最大船型について
 利用可能施設のマッチング検討を行うにあたって、荒川及び隅田川を通航することができる船型について整理した。
 通航可能最大船型の考え方は、船舶の通航の制約条件となる橋梁桁下高さと水深に基づき、後述の船舶回帰式を用いて、河川毎に通航可能な最大船型を整理した。ただし、通航の安全性を考慮した余裕については含まれていない。橋梁桁下高さは表−5.1.1に示すとおりである。水深は「2.」で整理したデータを用いた。
 
(1)高さの最大値
 両河川における橋梁の最も低い橋梁桁下高さとした。
(2)喫水の最大値
 両河川の最も浅い水深とした。
(3)全幅の最大値
 「(2)」で求めた喫水の最大値に基づき、船舶諸元回帰式より算出した。
(4)全長の最大値
 「(2)」で求めた喫水の最大値に基づき、船舶諸元回帰式より算出した。
 
図−5.1.2 各諸元の値が示す位置について
 
 上記の考え方に基づき、荒川及び隅田川における通航可能最大船型を整理すると図−5.1.3に示すとおりとなる。
 
図−5.1.3 荒川及び隅田川における通航可能最大船型
 
荒川(戸田橋付近まで)
 
荒川(秋ヶ瀬取水堰まで)
 
隅田川(高速王子線付近まで)
 
隅田川(岩淵水門付近まで)
 
表−5.1.1 橋梁の桁下高さ
荒川 隅田川
エリア No 橋梁名称 桁下高さ
[A.P.+m]
径間[m] エリア No 橋梁名称 桁下高さ
[A.P.+m]
径間[m]
エリア(1) 1 高速湾岸線 27.0 150 エリア(1) 1 勝鬨橋 8.3 26
2 荒川河口橋 27.0 150 2 佃大橋 8.3 90
3 京葉線鉄橋 27.0 150 3 中央大橋 8.5 72
エリア(2) 4 放射16号線(建設中) - - 4 永代橋 5.5 101
5 東西線鉄橋 12.0 150 5 隅田川橋(高速9号線) 6.7 100
6 葛西橋 6.5 142 6 清洲橋 6.0 91
7 新宿線鉄橋 10.0 78 エリア(2) 7 新大橋 6.5 65
8 船堀橋 10.4 110 8 高速6号向島線 15.0 79
エリア(3) 9 荒川大橋 12.4 160 9 両国橋 6.3 62
10 新小松川橋 8.8 34 10 総武線鉄橋 7.2 96
11 総武線鉄橋 7.8 59 11 NTT専用橋 7.20 48
12 平井大橋 6.8 60 12 蔵前橋 7.0 55
エリア(4) 13 木根川橋 11.0 68 13 厩橋 5.6 55
14 押上線鉄橋 8.3 57 14 駒形橋 5.7 78
15 新四ツ木橋 7.3 83 15 吾妻橋 6.7 49
16 四ツ木橋 7.0 81 16 伊勢崎線鉄橋 6.4 61
17 荒川大橋 11.6 101 17 言問橋 6.7 67
18 堀切橋 7.3 64 18 桜橋 6.5 72
19 成田線鉄橋 6.5 61 エリア(3) 19 白髭橋 5.4 80
20 伊勢崎線鉄橋 8.1 64 20 水神大橋 7.0 157
21 常磐新線鉄橋(建設中) - - 21 日比谷線鉄橋 6.1 66
22 常磐線鉄橋 5.9 64 22 常磐線鉄橋 5.4 206
23 千代田線鉄橋 8.1 63 23 千住大橋 4.5 90
24 千住新線 11.2 120 24 水道管 7.0 90
エリア(5) 25 西新井橋 7.5 76 25 電力管 7.0 80
26 建設中 - - 26 本線鉄橋 5.70 58
27 扇大橋 10.5 90 27 水道管 7.60 103
28 江北橋 10.0 105 28 尾竹橋 6.0 72
29 荒川アーチ橋 10.0 - エリア(4) 29 尾久橋 9.0 66
30 鹿浜橋 10.0 70 30 小台橋 6 117
エリア(6) 31 新荒川大橋 11.6 73 31 (建設中) 6.37 -
32 高崎線・京浜東北線鉄橋 10.8 62 32 高速中央環状王子線 6.37 90
エリア(7) 33 埼京線・東北新幹線鉄橋 9.0 89 33 豊島橋 7.2 101
34 戸田橋 10.0 88 34 新田橋 6.0 30
35 笹目橋 10.0 40 エリア(5) 35 新神谷橋 8.0 37
エリア(8) 36 幸魂大橋 10.0 85        
37 武蔵野線鉄橋 12.7 80        
エリア(9) 38 秋ヶ瀬橋 11.7 -        
*
は各河川において、最も桁下高さが低い橋梁である。
本小冊子の水深・橋梁桁下高さは「A.P」0mが基準となる。
A.Pとは霊岸島量水標零位(東京湾平均海面(T.P-1.134m))である。
 







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION