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3.2 災害時の運用手法の検討
(1)検討の手順
 「3.1 災害時利用可能施設の抽出」で整理した施設等に基づき、河川の各エリアにおいて橋梁が倒壊したケースを設定し、陸上交通との結節状況や人流・物流別に対応策を検討するとともに、その問題点、課題を整理した。検討の手順は図−3.2.1に示すとおりである。
 
図−3.2.1 検討の手順
 
(2)検討箇所の抽出
 検討箇所は、橋梁が倒壊する可能性のある箇所について震度分布予測結果より想定して抽出した。検討箇所抽出手順は、図−3.2.2示すとおりである。
 
図−3.2.2 検討箇所の抽出手順
 
●各手順における条件
a. 危険な地域を抽出
 「東京都における直下地震の被害想定に関する調査報告書 平成9年8月」に基づき、危険な地域を抽出した。(区部直下における震度6強を「危険な地域」とした。)
b. 危険な地域と橋梁位置の重合せ
 荒川及び隅田川における危険な地域を各河川の全橋梁と重ね合わせた。
c. 検討箇所の抽出
 「b.」の結果、危険な地域に含まれる橋梁から検討箇所を抽出した。
 
a. 危険な地域の抽出
 「東京都における直下地震の被害想定に関する調査報告書 平成9年8月」においては、地震断層位置を4ケース想定し、地震断層位置ごとに震度予測を行っている。地震断層位置の4ケースとは、「区部直下」、「多摩直下」、「神奈川県境直下」、「埼玉県境直下」である。
 荒川及び隅田川は主に東京都区部を流れる河川であるため、今回の検討では、これら4ケースのうち「区部直下」を検討の対象とし、危険な地域を抽出した。
 地震断層位置が区部直下における震度予測結果は、図−3.2.3に示すとおりであり、各メッシュを震度でランク分けしている。この震度分布のうち、「赤」が震度6強となる地点であり、このメッシュの地域を危険な地域とした。
 
図−3.2.3 区部直下における震度予測結果
 
b. 危険な地域と橋梁位置の重合せ
 荒川及び隅田川が流れる地域で、赤いメッシュがある地域は、図−3.2.4に示す四角に囲まれた地域であり、当該地域を橋梁位置と重ね合わせた。橋梁位置と重ね合わせた結果は、図−3.2.5に示すとおりである。
 
図−3.2.4 重ね合わせの対象としたエリア
 
図−3.2.5 震度6強となる橋梁位置の重ね合わせ
 
c. 検討箇所の抽出
 上記の図−3.2.5の橋梁における用途等を整理すると、表−3.2.1に示すとおりである。
 
表−3.2.1 危険な地域と重なる橋梁とその橋梁の用途等
河川名 橋梁名 路線名 用途 緊急輸送道路
荒川 地下鉄東西線鉄橋 営団東西線 鉄道 指定なし
葛西橋 葛西橋通り 人、二輪、自動車 一次規制
地下鉄新宿線鉄橋 都営新宿線 鉄道 指定なし
船堀橋 新大橋通り 人、二輪、自動車 一次規制
荒川大橋 高速7号小松川線 自動二輪、自動車 一次規制
新小松川橋 国道14号 人、二輪、自動車 一次規制
総武線鉄橋 JR総武線 鉄道 指定なし
平井大橋 蔵前通り 人、二輪、自動車 一次規制
隅田川 駒形橋 浅草通り 人、二輪、自動車 一次規制
水神大橋 - 人、二輪、自動車 指定なし
日比谷線鉄橋 営団日比谷線 鉄道 指定なし
常磐線鉄橋 JR常磐線 鉄道 指定なし
千住大橋 日光街道 人、二輪、自動車 一次規制
注)二輪とは自転車、自動二輪(原付、オートバイ等)を含む。
 
(3)検討ケースの条件設定
 検討ケースの条件は、以下に示すとおりとした。
 
(1)橋梁は完全に倒壊し、河川は完全に分断されることとした。
(2)倒壊した橋梁は利用できないこととした。
(3)「倒壊」と設定した橋梁以外は利用できることとした。
(4)利用可能な施設は、「2.1」で抽出した「リバーステーション」、「道路、鉄道」、「船着場(船着場、水上輸送基地)」とした。
(5)防災拠点からの人流・物流イメージ、河川横断の可能性、河川縦断の可能性を検討した。







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