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(4)用途地域等見直し二次素案
 用途地域等見直し一次素案として検討した2案をもとに、二次素案を検討する。
 
(1)用途地域等見直し二次素案の検討
 用途地域等見直し一次素案である2案について、そのメリット・デメリット等を比較検討した。
 メリットとしては、いずれの案も商業業務等都市機能の集積を図ることができることが考えられるが、現状の低層戸建を中心とした住宅地の環境への影響が懸念されることから、一次素案において導入が検討されている各種制度を必要に応じて適用することを二次素案とするものである。
 なお、制度適用の考え方は次のとおりである。
<特例容積率適用区域制度>
○制度は適用しない。
(理由)
・容積率に相当程度余裕がある現状での指定には利用されるか疑問がある。
・平和通り沿線沿道の土地等への後背地の土地からの容積率移転を想定したものであるが、後背地の土地相互の移転を許容するものであり、高容積の建築物立地による住環境の悪化を促すおそれがある。
 
<建築確認型総合設計制度>
○制度適用を検討する。
(理由)
・共立病院等で適用実績もあり、甲府市都市計画マスタープランで言う「ゆとりある居住空間」の実現に資する制度として適当と考えられる。
 
<上層階住居系用途誘導特別用途地区>
○今後必要に応じ、導入を検討する。
(理由)
・建築確認型総合設計制度が住宅床確保の割合に応じて容積率を割増する制度であることから、同制度の導入によって、上層階住居系用途誘導特別用途地区指定の目的が達成できる可能性がある。
・したがって、これを先行導入し、その活用動向を見ながら、必要に応じて制定することが適当と考えられる。
 
 
図表4-3 用途地域等見直し一次素案の比較検討
(拡大画面:196KB)
 
(2)用途地域等見直し二次素案の内容
 以上の検討から、用途地域等見直し二次素案を次のとおり設定する。
【用途地域等見直し二次素案】
○建築確認型総合設計制度の活用(商業地域600/80の区域)
○同区域を除く区域における建築確認型総合設計制度の適用除外区域の指定
(※用途地域及びその他付帯する事項(建築形態制限等)は見直しを行わない。)
 
※建築確認型総合設計制度は、建築基準法改正により、第一種・第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域または準工業地域で適用が可能となっている。よって、同制度適用による都心居住の促進を誘導するため、当該区域以外の区域を適用除外区域(特定行政庁が都市計画審議会の議を経て、適用区域を限定することができる旨が規定されている。)とするものである。
 
図表4-4 用途地域等見直し二次素案
 
【二次素案に基づく制度導入の効果(想定)】
 二次素案で導入を検討することとした建築確認型総合設計制度により、中心市街地の活性化に対し、次のような効果が期待される。
 
○まちなか居住の促進
 建築確認型総合設計制度は、建築に伴う住宅床の確保面積に応じて容積率の割増を認める制度である。このため、これまでの容積率600%では事業採算性から断念されていた集合住宅や商業・業務施設についても、当該制度の活用によりその立地が進むことが期待される。
 また、これまでの総合設計制度は、建築審査会の同意に基づき許可されていたが、建築確認手続きで迅速に制度適用が可能となっているため、民間事業者にとっても導入しやすい制度となっている。
 こうしたことから、当該制度の適用区域については住宅床の供給が促進されるものと期待でき、本市都市計画マスタープランや中心市街地活性化基本計画等に位置づけられる「まちなか区域における定住人口の拡大」、ひいては、まちなか区域の活性化につながるものと想定される。
 
○良好なまちなか環境の創出
 総合設計制度は公開空地の確保等、良好な都市環境の創出に資する建築物を誘導するものである。これまでの建築形態制限等では、指定容積率を十分に活用することを断念するか、もしくは周辺の良好な住環境を犠牲にした大規模な建築物の建設のケース選択を迫られることが少なくなかったが、当該制度の導入により、低層戸建住宅を主体とした住環境の保護と相対的に規模の大きな建築物の立地、まちなか区域におけるゆとりある空間の創出など、多様な効果を同時に実現することが期待できる。
 
○人口増による商業活性化
 これまでのまちなか区域における住宅は、分譲・賃貸とも郊外部の水準と比較して価格が高く、また価格水準を抑えれば居住水準は低下せざるを得ない状況にあった。まちなか区域での住宅床の供給により、現状と比較して安価で良質な住宅の提供が可能となり、まちなか居住のメリットが高まるものと考えられる。
 まちなか居住のメリットの高まりに伴って、周辺部からまちなか区域への人口の流入、定住人口の拡大が進むことは、まちなか商業におけるマーケット規模の拡大につながり、商業経営環境の改善が促進される。また商業環境の充実は新規出店等を促し、「商店街」としての充実、魅力の向上につながるものと考えられる。







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