第4章 用途地域等見直し素案の検討
(1)見直しの基本方針
○良好な環境の確保を条件とした制限の緩和
土地の高度利用とゆとりある都市環境創出を実現するため、壁面後退や緑化スペースの確保など、良好な環境の確保を図ることができる場合に限り建築形態を緩和するなど、安易な規制緩和とならないように留意する。
○メリハリのある土地利用・機能配置
高次都市機能や居住機能、歴史文化機能などが混在する現状にあり、緩和型の見直しにより、こうした状況がさらに悪化することも予想される。また、既存の低層建築物に隣接して高層建築物が立地するなど、日照や通風等の住環境の悪化が懸念され、建築紛争が生じる可能性も考えられる。このため、地区計画の導入や特別用途地区の指定の検討などにより、同一の用途地域の中で制限を緩和・強化することにより、メリハリのある土地利用・機能配置を実現することとする。
○需要に応じた供給を可能とする制度の導入
土地利用方針として都市型住宅の供給等がかかげられているが、現状においても指定容積率の充足率はあまり高くないことから、安易な緩和は床面積の過大な余剰を生じる可能性も懸念される。このため、需給バランスを保ちながら必要な機能が確保できるよう留意し、需要に応じた供給を可能とする制度の導入を検討することとする。
見直しの基本方針を踏まえ、用途地域等見直しのメニューを次のように設定する。
基本方針 |
メニュー |
適用条件等 |
○良好な環境の確保を条件とした制限の緩和 |
・地区計画による 容積率の緩和 |
・土地区画整理事業等の市街地開発事業を契機に、必要な都市基盤が確保された区域を対象として、地区計画により容積率を緩和する。
・壁面後退や緑化スペースの確保など、良好な環境の確保に関わる事項とあわせて地区計画を定める。 |
○メリハリのある 土地利用・機能配置 |
・容積率の緩和 |
・土地区画整理事業等の市街地開発事業により、必要な都市基盤が確保された区域に限って容積率を緩和する。 |
・特例容積率適用 区域 |
・容積を必要とする地区に余剰容積を移転し、その活用を図る。
・土地の高度利用が求められる区域で、低層建築物などが分布し、容積率の充足度が低い場合に活用する。 |
・上層階住居系用途誘導特別用途 地区 |
・相対的に収益性が高い商業・業務床の極度な増加を抑制しながら、都心居住を促進すべき区域に導入する。 |
○需要に応じた供給を可能とする制度の導入 |
・建築確認型総合設計制度 |
・高度利用が必要な地区において、公開空地等都心のゆとりある空間の確保を条件としつつ、需要に応じて容積率の割増を許容する。 |
|
土地利用方針や土地・建物の現状等を踏まえつつ、設定したメニューの活用による用途地域等見直し一次素案として、次の2案を検討する。
なお、用途地域については、土地利用方針や土地・建物の現状等からみても緩やかな制限となっていることから、用途地域については見直しを要しないものとする。
(1)緩和型見直し案
【商業(1)−1地区】
・都市基盤施設が整備された甲府駅周辺土地区画整理事業施行区域において、高次都市機能等の集積を誘導するため、容積率を緩和
・また、需要に応じ、迅速に容積率未利用容積の活用を図ることを可能とする特例容積率適用区域の指定、容積率の割増を可能とする建築確認型総合設計制度の活用を併用
種別 |
現行 |
見直し案 |
用途地域 |
商業地域 |
|
建ぺい率 |
80 |
|
容積率 |
600 |
800 |
防火・準防火地域 |
防火地域 |
|
斜線制限 |
道路 |
数値 |
∠1.5 |
|
適用距離 |
25m |
|
隣地 |
31m+∠2.5 |
|
北側 |
- |
|
絶対高さ |
- |
|
日影 |
規制値 |
対象区域外 |
|
対象建築物 |
5mを超える範囲 |
10mを超える範囲 |
測定水平面 |
その他 |
・特例容積率適用区域
・建築確認型総合設計制度の活用 |
|
【商業(1)−2地区】
・商業地域(80/600)のうち、商業(1)−1地区を除く区域については用途地域等は変更せず、需要に応じ、迅速に容積率未利用容積の活用を図ることを可能とする特例容積率適用区域の指定、容積率の割増を可能とする建築確認型総合設計制度を活用
種別 |
現行 |
見直し案 |
用途地域 |
商業地域 |
|
建ぺい率 |
80 |
|
容積率 |
600 |
|
防火・準防火地域 |
防火地域 |
|
斜線制限 |
道路 |
数値 |
∠1.5 |
|
適用距離 |
25m |
|
隣地 |
31m+∠2.5 |
|
北側 |
- |
|
絶対高さ |
- |
|
日影 |
規制値 |
対象区域外 |
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対象建築物 |
5mを超える範囲 |
10mを超える範囲 |
測定水平面 |
その他 |
・特例容積率適用区域
・建築確認型総合設計制度の活用 |
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【商業(1)−3地区】
・商業地域(80/400)については用途地域等は変更せず、需要に応じ、迅速に容積率未利用容積の活用を図ることを可能とする特例容積率適用区域の指定、容積率の割増を可能とする建築確認型総合設計制度を活用
・ただし、住宅床が排除されないよう、上層階への住居系用途を誘導する立体的な用途規制(特別用途地区)を追加指定
種別 |
現行 |
見直し案 |
用途地域 |
商業地域 |
|
建ぺい率 |
80 |
|
容積率 |
400 |
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防火・準防火地域 |
準防火地域 |
|
斜線制限 |
道路 |
数値 |
∠1.5 |
|
適用距離 |
20m |
|
隣地 |
31m+∠2.5 |
|
北側 |
- |
|
絶対高さ |
- |
|
日影 |
規制値 |
対象区域外 |
|
対象建築物 |
5mを超える範囲 |
10mを超える範囲 |
測定水平面 |
その他 |
・特例容積率適用区域
・建築確認型総合設計制度の活用
・上層階住居系用途誘導型特別用途地区 |
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