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参考資料
 本研究委員会では、先進事例地調査として、平成15年9月に岐阜県及び県内市の現地調査を実施した。以下は、その結果をとりまとめたものである。
 
先進事例調査(1)構造改革特区での取組について(スイートバレー・情場形成特区)
 
1 スイートバレー・情場形成特区の概要
 岐阜県南部地域の木曽三川流域を中心とした地域に、世界有数の先端技術産業集積地の形成を目指す「スイートバレー構想」において、(1)高度なIT関連産業や優秀な人材の一層の集積、(2)地域情報化の推進、を目指しており、高度情報化社会における付加価値の高い情報やサービスの清算現場「情場」の形成を図るもの
 
2 特区の区域
11市町(岐阜市、各務原市、大垣市、関市、美濃市、八幡町、富加町、岩村町、多治見市、瑞浪市、土岐市)
 
3 特区認定の経緯
平成14年4月 経済財政諮問会議において、平沼経済産業大臣及び民間4議員から特区構想を提案
7月 内閣総理大臣を本部長とする構造改革特区推進本部発足
8月 第1次提案募集(249主体から426件の提案)
→岐阜県から「IT特区」、「特定成長産業集積特区」など17の特区構想を提案
12月 構造改革特別区域法公布
平成15年1月 第2次提案募集(412主体から651件の提案)
→岐阜県から「IT特区」、「特定成長産業集積特区」に係る規制の特例について提案
4月 構造改革特別区域法施行
→岐阜県から「スイートバレー・情場形成特区」の申請・認定
 
4 特区における実施事業
(1)IT関連産業の集積
 ○産業団地の整備
 ソフトピアジャパン、テクノプラザ、関テクノハイランド(H15造成完了予定)、美濃テクノパーク
目的:規制の特例を企業誘致インセンティブとして活用し、IT関連企業等の先端技術産業の集積を図る。
特例:これまで分譲のみであった県公社分譲地の長期リースが可能となったこと
 
(2)ITの専門家の育成・確保
○人材育成
情報科学芸術大学院大学、国際情報科学芸術アカデミー、ソフトピアジャパンビジネススクール(仮称、H17開校予定)、東濃地域ITタウン推進センター(仮称)
 
○専門研修
全国マルチメディア専門研修センター、テクノプラザ
目的:規制の特例により、産学人材交流を促進し、研究成果の事業化及び商品化の推進を図る。
特例:外国人研究者の起業の容易化、在留期間の延長(3年→5年)、在留資格審査の迅速化
 
(3)研究開発・産学官連携
○県科学技術振興センターにおける総合調整、ギフ・ロボット・プロジェクト21の推進、ソフトピアジャパン共同研究事業の推進、東濃研究学園都市構想の推進
目的:規制の特例により、産学人材交流を促進し、研究成果の事業化及び商品化を図る。
特例:(1)国立大教員による民間企業との時間内兼業の容認
 (2)公立大の施設や高価な測定機器等の廉価使用の許可条件緩和
 
(4)速通信環境の整備(地域情報化の推進)
○岐阜情報スーパーハイウェイの整備、ビジネスサポートネットワークの整備、VRTCネットの整備
目的:規制の特例により、市町村が、岐阜情報スーパーハイウェイを基幹とした地域情報化を推進しやすい環境づくりを図る。
特例:市町村が通信事業者となって、家庭までつながる無線によるブロードバンド網等を構築する際の手続の緩和(許可→届出)
 
(5)国際連携の推進
○グローバルカレッジ構想の推進
目的:規制の特例により、市町村が、岐阜情報スーパーハイウェイを基幹とした地域情報化を推進しやすい環境づくりを図る。
特例:外国人研究者の起業の容易化、在留期間の延長(3年→5年)、在留資格審査の迅速化(再掲)
 
5 特区の取組により期待される効果
(1)高度なIT関連産業のスイートバレーへの集積が一層加速されることにより、県内産業の競争力・成長力の向上による経済活性化、雇用の確保、法人税収の増等による県民福祉財源の充実
(2)「すべての県民がITにより豊かな生活を実感できる社会」の実現
 
<目指している社会の姿>
○家庭
・ホームページで学校の様子が分かるとともに、「学校だより」などを電子メールで見ることができる。
・インターネット上で、県関係の各種電子申請や県税の電子申告等が行える。
○児童・学生
・県内すべての小・中・高校等にインターネット環境が整備され、児童・生徒が自ら必要とする情報を収集・活用できる。
・国際ネットワーク大学コンソーシアムにより、県下5圏域をつなぐテレビ会議システムを使った共同授業を受講できる。
○企業・生産者
・情報化への投資により、経営の効率化、合理化(生産管理、在庫管理)、販路拡大が進む。
・ITを農産物の生産や販売に活用して、企業的経営を行う農家が増える。
○高齢者・障害者
・高齢者宅が保健センターや病院とネットワークで結ばれ、離れた場所から安否の確認や健康状態のチェックなどをしてもらえる。
・障害者の方がマルチメディアを活用して在宅のまま就労できる。
 
先進事例調査(2)市町村合併の取組について(岐阜県山県市)
 
1 岐阜県における市町村合併の現状
(1)市町村数の変遷
・昭和28年からの3年間の時限立法である「町村合併促進法」及びこれに続く「新市町村建設促進法」のもと、大きく減少。
※286市町村(昭和28年)→106市町村(昭和35年)
・山県市(平成15年4月1日)、瑞穂市(平成15年5月1日)の合併が施行されたことにともない、平成15年度現在では96市町村(16市、51町、29村)。
※市町村数は、北海道(212)、長野県(120)、新潟県(110)に次いで、全国第4位
 
(2)合併協議の状況
 平成15年8月6日現在で、17の法定合併協議会(越県分を含む。)が設置済県内96市町村のうち、
・法定合併協議会に参加している市町村91市町村
・法定合併協議会に参加していない市町村3市町村
・法定合併協議会に参加していない市町村(合併済)2市
 
2 山県市誕生までの経緯・概要
(1)概要
 山県郡高富町、伊自良町、美山村の3町村は、これまでにも広域行政を進めてきた実績があり、経済・文化・生活の面でも結びつきが強く、自然環境においても共通している。
 地方分権の進展を踏まえ、より一層の行財政能力の向上を図るため、平成15年4月に、東海地方でははじめてとなる市町村合併が行われたもの。
 
(2)合併までの経緯
 
平成13年2月 山県郡町村合併協議会発足
     4月 市町村合併共同研究室設置
      ※3町村の職員各1名が高富町役場に駐在し、共同で研究
      7月 3町村それぞれの議会で高富町・伊自良町・美山村合併協議会設置議案可決
     8月 高富町・伊自良町・美山村合併協議会設置
平成14年9月 合併協定調印
平成15年4月 山県市誕生
 
3 県の取組方針
・市町村合併は、自らの地域のことは自らが決めるという住民自治の根幹に関わる問題。住民自治を実現するためにどういう市町村のあり方がよいのかについては、住民・市町村が自主的に検討し決めるべきもの。
・市町村は、住民と協働して、生活の現場の視点から市町村合併の必要性について議論を深め、地域の将来を創っていくことが望まれる。
・県としては、合併特例法の期限を踏まえ、自主的な市町村合併に向けた取組に対し各種の支援を行う。
 
4 県の支援策の概要
(1)支援体制
(1)市町村合併支援本部の設置
 市町村合併の支援策等を関係部局が連携を図りながら、より総合的かつ効果的に実施するため、市町村合併支援本部を設置(平成13年4月)。
(2)市町村合併支援現地本部の設置
 地域に密着した市町村合併に対する支援を実施するため、現地支援本部を設置(県下5県域、平成13年4月)。
 
(2)支援策
○住民や市町村が自主的に市町村合併に取り組む際の県の支援策を提示した「岐阜県市町村合併支援要綱」を作成(平成13年3月作成、平成14年9月改訂)
<具体的支援策>
・市町村合併に対する相談・助言
・市町村合併に関する各種情報提供等
・合併の機運醸成、調査研究に対する財政支援
・法定合併協議会に対する財政的・人的支援等







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