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4 平良市及び宮古圏域の観光課題
(1)観光産業を中心とした産業間の連携による地域産業振興の必要性
 かつて島の基幹産業であった第一次産(農業・漁業)は就業者数も減少し続けており、後継者不足等で課題を抱えている。また、伝統的な手わざ技能についても現代生活の中で活躍の場が狭められ、そのものだけで生計を立てるにはおぼつかない状態となっている。その一方で、ダイビングを中心とする観光産業は、毎年順調な伸びを見せており、今では島の基幹産業となっている。こうした勢いの差は産業間の軋轢を生じやすく島全体の振興にとって大きな痛手となる可能性がある。それを防ぎ、島全体で利益を享受するためには、農・漁業体験などの体験観光メニューの充実や果樹のオーナー制度を取り入れるなど基幹産業である観光産業に農・漁業産業、伝統的手わざを連携させることが重要であり、それにより魅力的な宮古観光が創出され、観光がもたらす経済的恩恵を全体で享受することが可能となる。
 
(2)手わざ体験など観光ニーズに応じたきめ細かな観光メニューの必要性
 前述のアンケート結果を見ると、来島者は、自然・景勝地を見て回る観光が主で、体験・学習施設を訪れる人の割合は少なくなっている。その一方で、宮古島について知りたいことでは、三線等の伝統文化・芸能といった項目が高い数値を示している。
 この辺のギャップを解消し、宮古の伝統的手わざを体験できるような観光メニューの整備が必要である。
 また、季節による特徴として、夏期来島者は「30〜40代中心、マリンリゾート志向、家族中心の滞在型個人旅行、半数がリピーター」、冬期は「50〜60代中心、周遊型団体旅行、4人に3人が初来島」など季節によって観光客特性が異なり、リピーター・長期滞在者が多いなど宮古特有の観光行動もみられる。宿泊地ではリゾートホテルは「特産品」「郷土料理」、民宿・旅館は「伝統文化・芸能」、ペンションは「伝統文化・芸能」「郷土料理」、来島回数が多いほど、海や自然など楽しみつつも「伝統文化・芸能」などの新たな観光への関心など、来島時期、宿泊地、来島回数によって異なるニーズヘの対応したきめ細かな観光メニュー整備が求められる。
 
(3)地域経済に寄与する地場産品開発の必要性
 観光客一人当り単価が他圏域と比べて低い(宮古約6万円:八重山・県平均9万円)現状は、地場産品比率が3割、みやげ品もほとんど島外調達などにみられるように、観光振興が地域経済へ寄与する構造になっていない。来島者の特産品や郷土料理など「地のもの」への強いニーズに応える地場産品の品揃えの豊富化や、魅力的なみやげ品の商品企画、製造、流通、宣伝、販売といった観光振興と調和した地域社会経済構造の構築が必要である。
 
(4)観光課題を地域で解決する仕組みの必要性
 宮古観光への満足度は高いものの、「海岸のゴミの多さ」など自然環境の維持・保全についての指摘が非常に多い。その対応については観光客自身の問題とする意見も多く、宮古の豊かな自然環境を共有財産として守り、育てていこうとする意識がうかがわれた。
 このような意識の高まりを地域住民、行政ともに共有し、観光課題を観光客も含めた来島者、事業者、行政などの連携・協力により地域自らで解決するしくみが求められる。







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