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(5)宣伝・PR
・ 全業種を通じ、「インターネット」がよく活用されている。また、観光レクリエーション施設、観光周遊船が、マスコミの活用、旅行業者や地元観光協会等との連携などにより広域へのPRを展開しているのに対し、マリンレジャー事業者は「口コミ」を軸に、福岡都市圏の愛好者にターゲットを絞った宣伝・PRに力を入れていること、商工会等が周辺市町村を中心にイベントを宣伝していることが特徴的である。
《観光レクリエーション施設》
・ テレビやラジオ、雑誌の取材なども含め、マスコミを上手く活用する傾向がみられる。また、年間を通じての各種イベント開催や、旅行会社や地元行政・商工会等との連携により、広域の様々な客層にアピールしている。学校の修学旅行誘致への注目がみられる。
《マリンレジャー事業者》
・ 「口コミ」(12)が最も多く、「インターネットの活用」(8)がこれにつぎ、双方向型のコミュニケーションが重視されている様子がうかがわれる。このほか、「業界紙・愛好者雑誌への掲載」(5)、「愛好者団体との提携」(4)が、「ビラやポスターの設置」(3)、「マスコミの活用」(3)、「地方誌・ミニコミでの広告・案内」(3)、「企業のPRネットワークの活用」(3)、「地元の行政・商工会・観光協会・漁協等と提携したPR」(3)、「企業・学校等との提携」(3)などにも増してウェイトの高い手法となっており、特定層をターゲットとする宣伝に力をいれている様子がわかる。
・ ターゲット客層は「愛好者」(11)、「ファミリー」・「若者」(各5)、「学校」(4)の順で多い。釣船、マリンスポーツともにリピート客が多い分野である。
・ 集客圏は「福岡都市圏」(11)が、「長崎県内」(6)、「周辺市町村」(5)を上回り、「その他」で「佐賀」が挙げられているなど、九州北部一帯を市場圏としている状況が把握された。
《観光周遊船》
・ 「インターネットの活用」とともに、「旅行代理店・交通会社」や「地元の行政・商工会・観光協会・漁協施設」との連携が主たる方法となっている。
・ ツアー客のほか、ファミリー層や学校などへのアピールも重視されつつあるが、リピート利用なども喚起するため、体験型プログラムの企画、船の魅力化などで集客を狙う傾向もみられる。
《旅行代理店・広告代理店》
・ イベント・旅行業者とも、福岡をはじめ三大都市圏での集客もみられるが、その場合は大規模な施設の利用が多い。九州北部(福岡〜佐賀程度)からの集客では、グルメやマリンレジャーなど小規模でも目を引くプログラムが紹介されている。
《主要団体》
・ 商工会等の回答傾向をみると、イベントなどで「地元の行政・商工会・観光協会・漁協等と提携したPR」、「ビラやポスターの作成」などを通じ、「周辺市町村」からの「不特定」客を中心にPRしている様子が把握された。
 
■地元事業者による宣伝・PR活動【観光レク施設+マリンレジャー事業者+観光周遊船+商工会等】
<主な宣伝・PR方法>
選択肢 〜上位項目〜(複数回答) 内訳
インターネットの活用 17 施設4、マリンレジャー事業者8、観光船4、商工会等1
口コミ 15 施設1、マリンレジャー事業者12、観光船1、商工会等1
新聞・テレビ・ラジオ等マスコミの活用 12 施設4、マリンレジャー事業者3、観光船2、商工会等3
独自にビラやポスターの設置 11 施設3、マリンレジャー事業者3、観光船2、商工会等3
地元の行政・商工会・観光協会・漁協と連携したPR 10 施設4、マリンレジャー事業者3、商工会等3
地方誌・ミニコミでの広告・案内 8 施設2、マリンレジャー事業者3、観光船1、商工会等2
地元観光地・観光施設との連携・共同PR 8 施設2、マリンレジャー事業者3、観光船2、商工会1
愛好者団体との連携 7 施設2、マリンレジャー事業者4、商工会等1
業界紙・愛好者雑誌への掲載 7 施設2、マリンレジャー事業者5
企業・学校等への営業・提携 6 施設2、マリンレジャー事業者3、観光船1
旅行代理店・交通会社との連携 6 施設3、マリンレジャー事業者1、観光船3
集計対象票数(N=39) 施設4、マリンレジャー事業者19、観光船8、商工会等7
 
<ターゲット客層>
選択肢 〜上位項目〜(複数回答) 内訳
不特定 14 施設3、マリンレジャー事業者3、観光船2、商工会等4
ファミリー 13 施設3、マリンレジャー事業者5、観光船3、商工会等2
愛好者 13 施設1、マリンレジャー事業者11、観光船1
学校 12 施設4、マリンレジャー事業者4、観光船4
若者 9 施設2、マリンレジャー事業者5、観光船2
熟年層 7 施設2、マリンレジャー事業者3、観光船2
企業 15 施設1、マリンレジャー事業者2、観光船1
集計対象票数(N=39) 施設4、マリンレジャー事業者19、観光船8、商工会等7
 
<集客圏>
選択肢 (複数回答) 内訳
周辺市町村 15 施設4、マリンレジャー事業者5、観光船2、商工会等4
長崎県内 14 施設4、マリンレジャー事業者6、観光船3、商工会等1
福岡都市圏 17 施設3、マリンレジャー事業者11、観光船3
その他 9 施設1、マリンレジャー事業者4、観光船3、商工会等1
集計対象票(N=39) 施設4、マリンレジャー事業者19、観光船8、商工会等7
 
(6)安全で快適な活動を支えるために行っていること
・ 環境保全に関わる活動(清掃等)、活動の安全を支える活動(水難救助訓練やルール・モラルの呼びかけ等)は、自主活動が高率で実施されているほか、他が主催する活動への参加を通じてもよく行われている。また、海洋文化・スポーツ振興や環境教育、地元のまちづくりや観光振興に寄与する活動も、活動団体のみならず、民間事業者の立場からもよく行われている。
《観光レクリエーション施設》
・ 高齢者や障害者も利用できるよう、施設をバリアフリー対応にしているケースがみられる。
・ 独自の調査室を置き、活動海域の自然環境調査を実施する例もみられる。
《マリンレジャー事業者》
・ 自主的に取り組んでいることとしては、「水質保全やゴミ対策など環境への配慮」(17)についで、「利用者への活動ルール・モラルの呼びかけ」(14)、「水難救助や防災の訓練」、「マリンスポーツ・海洋文化の振興」(各9)といった社会貢献的な活動や「周辺の観光案内」(6)なども行っている。「スポーツ活動保険等の導入」(5)は、4分の1程度の率である。
・ 地元の行政や商工会・観光協会・漁協等と協力したり、それらが主催する活動に参加して進めていることについても、「水質やゴミなど港湾環境の保全」(10)、「マリンスポーツ・海洋文化の振興」(7)、「水難救助訓練への参加」(6)など社会や地域環境づくりへの貢献を意図するものが多い。
・ 船を持つ場合、水難救助会に参加し、レジャー船舶の故障など沖でのトラブルに対処する支援活動を行う事業者も少なくない。
《観光周遊船》
・ 過半数が利用者向け損害補償保険を導入している。水難救助訓練、環境保全関連の活動については、自主活動の実施、地元の自治体などが実施する行事への参加ともによく取り組まれている。
《主要団体》
・ 個別の事業者と異なる特徴は、自主活動として「指導的人材の育成」が高率で挙げられていることである。また、「海洋文化・スポーツや環境教育」、地元機関との協力・参加で進める「地元のまちづくりや観光振興」の比率の高さもきわだっている。
 
■安全で快適な活動を支える活動【観光レク施設+マリンレジャー事業者+観光周遊船+商工会等】
<地元事業者・団体による主体的・自主的な活動>
選択肢 〜上位項目〜(複数回答) 内訳
水質保全やゴミ対策など環境への配慮 28 施設3、マリンレジャー事業者17、観光船2、団体6
利用者へのルール・モラルの呼びかけ 26 施設1、マリンレジャー事業者14、観光船2、団体7、商工会等2
海洋文化・スポーツ・環境教育の振興 18 施設1、マリンレジャー事業者9、団体7、商工会等1
自主的な水難救助や防災の訓練 16 マリンレジャー事業者9、観光船4、団体3
利用者向け損保/スポーツ活動保険等の導入 13 施設2、マリンレジャー事業者5、観光船5、商工会等1
周辺の観光案内【観光船・団体以外】 10 施設2、マリンレジャー事業者6、観光船1、商工会等1
スタッフ人材/ガイドの育成 9 施設1、マリンレジャー事業者1、団体7
高齢者・障害者・外国人の利用への対応 4 施設1、マリンレジャー事業者3、
船の設備面の工夫【観光船のみ】 2 観光船2
集計対象票数(N=52) 施設4、マリンレジャー事業者19、観光船8、団体13、商工会等7
 
<地元の商工会・観光協会・漁協などとの協力・参加で進めている活動>
選択肢 〜上位項目〜(複数回答) 内訳
水質やゴミなど港湾環境の保全 18 マリンレジャー事業者10、観光船4、団体4
水難救助訓練への参加 16 施設1、マリンレジャー事業者6、観光船5、団体3、商工会等1
海洋文化・スポーツ・環境教育の振興 16 施設1、マリンレジャー事業者7、観光船2、団体6
海陸の交通安全運動への参加 15 施設1、マリンレジャー事業者3、観光船6、団体4、商工会等1
地元のまちづくりや観光振興 15 施設3、マリンレジャー事業者1、観光船4、団体6、商工会等1
指導的人材の育成 7 施設2、マリンレジャー事業者1、観光船2、団体2、
防災訓練への参加 6 マリンレジャー事業者2、観光船4
集計対象票数(N=52) 施設4、マリンレジャー事業者19、観光船8、団体13、商工会等7
 
(7)利用客の確保と事業の採算性
・ 各事業者の半数近くが「とても悪い」又は「あまりよくない」と答えており、「厳しい」との見方は共通しているが、同業種内でも堅調な経営状況にある場合とそうでない場合がある。順調なケースをみてみると、「体験」や「地域特性」を重視したプログラムの導入、口コミやインターネットによるコミュニケーションの重視など、個々の利用者のニーズに届くサービス提供への努力が図られている様子がうかがわれる。
《観光レクリエーション施設》
・ 施設・設備やプログラムのリニューアル、利用料の見直しなどを通じて利用客の増加を果たし、黒字転換したケースが複数みられる。
《マリンレジャー事業者+商工会等》
・ 「まあまあ」とする事業所が1件あるほか、「収支トントン」(9)との回答が多く、「あまりよくない」(6)、「とても悪い」(4)との回答も少なくない。堅調なケースをみると、例えば、ヨットハーバーや釣り船経営を核としながら、機材販売・メンテナンス、教習、ダイビング、釣りなど、多角的な事業展開を目指す場合が多いようである。
《観光周遊船》
・ 「あまりよくない」という厳しい回答が多い中で、「まあまあ」又は「収支トントン」との回答もみられる。堅調なケースをみると、固有性の高いプログラムや船舶を持っている(いずれも海運業以外の企業が経営)。
《旅行代理店・広告代理店》
・ 長崎県内の港湾を対象とする旅行商品やイベント企画は少ない中、「あまりよくない」、「とても悪い」に回答が集中しており、厳しい状況が示された。
 
長崎県での事業の採算性
【観光レクリエーション施設+マリンレジャー事業者+観光周遊船+旅行代理店・広告代理店】
選択肢 内訳
01 よい 1 施設1、
02 まあまあ 3 施設1、マリンレジャー事業者1、観光船1
03 収支トントン 11 施設1、マリンレジャー事業者7、観光船1、商工会等2
04 あまりよくない 16 施設2、マリンレジャー事業者4、観光船4、商工会等2、旅行2、広告2
05 とても悪い 7 マリンレジャー事業者4、観光船1、旅行2
無回答 12 マリンレジャー事業者3、観光船1、商工会等3、旅行1、広告4
集計対象票数(N=49) 50 施設5、マリンレジャー事業者19、観光船8、商工会等7、旅行4、広告6
*複数の回答を挙げた事業所があり、回答率が100%を超えた。







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