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(4)港湾の観光レクリエーション利用の実態とニーズ
(1)利用動向
《港湾でみられる観光レクリエーション活動》
・ 「港湾でみられる観光レクリエーション活動」で最も多く挙げられたのは「港湾での釣り」(66%)である。前項に挙げた観光レクリエーション活動に対応する施設整備水準(トイレ、駐車場、海釣り公園等)と対照すると、受け皿条件如何に関わらず、地元住民の利用をはじめ、港湾そのものがレクリエーション的活動の場になっている状況も少なくないことがわかる。
・ 2番目も「遊漁船の利用」(40%)で、「釣り」活動が県内港湾の観光レクリエーション利用で大きなウェイトを占める様子が示された。次に「地域の祭りや行事」(38%)、「散策・散歩」(32%)、「海水浴」(26%)と続き、ヨット・ボートやダイビング等のマリンスポーツはいまだ比較的低率にとどまっている。
 
■港湾でみられる観光レクリエーション活動(【港湾個票】問4(1))
選択肢 〜比率の高い順〜 (複数回答)
港湾での釣り 35 66.0
遊漁船の利用 21 39.6
地域の祭や行事 20 37.7
散策・散歩 17 32.1
海水浴 14 26.4
遊覧・クルーズ 7 13.2
展望 7 13.2
史跡等の見物・見学 7 13.2
子どもの体験的な授業 7 13.2
ヨット・ボート 6 11.3
飲食・買い物 5 9.4
写真・撮影・ロケ 5 9.4
カヌー・シーカヤック 4 7.5
水上スクーター 4 7.5
自然探勝 4 7.5
産業観光 4 7.5
ダイビング 3 5.7
デイキャンプ・バーベキュー 3 5.7
波止場の観光 3 5.7
ビーチバレー 2 3.8
キャンプ 2 3.8
港湾施設や船の見学 2 3.8
楽器やパフォーマンス練習 1 1.9
パラセーリング 0 0.0
コンサート・観劇 0 0.0
会合・研修等コンベンション 0 0.0
その他 0 0.0
特に観光レクリエーションとしての活用はない 6 11.3
無回答 8 15.1
集計対象票数(N=53)
 
《主要な施設・イベント等への入込特性》
・「地元地域が港湾で開催するイベント」への入込は、長崎港(帆船まつり約22万人、みなとまつり約13万人)を筆頭に、1万人以上の規模の入込がみられる港湾が数カ所みられる。他は地元中心の数百人〜数千人規模のものが多い(再掲)。
・港湾への入込客数については、長崎港、佐世保港(西海パールシーリゾート:約120万人)、博物館等のある平戸港(約77万人)、海水浴場や海釣り公園のある肥前大島港(約46万人)などに集積がみられるほかは、数万人又はそれ以下の規模である場合が多い。
 
《来訪者の増減傾向》
・港湾への観光レクリエーション目的での来訪者の増減傾向は「横ばい」(36%)とみられている港湾が多く、「増えてきている」とみられるのは1割強の港湾である。「減ってきている」港湾は少ない。
・来訪者の傾向が「わからない」という港湾も約2割みられる。
 
■港湾への観光レクリエーション目的での来訪者の増減傾向(【港湾個票】問4(1)(4))
選択肢
01 大きく増えてきている 1 1.9
02 やや増えてきている 7 13.2
03 横ばい 19 35.8
04 やや減ってきている 1 1.9
05 大きく減ってきている 1 1.9
06 わからない 10 18.9
無回答 14 26.4
集計対象票数(N=53) 53 100.0
 
《来訪者の様子》
・ 客層については、「愛好者」(釣りなどが多い)と「不特定」(イベントなどが多い)が双璧をなし、次いで「ファミリー」、「熟年層」と続いている。「若者」との回答は1割程度にとどまっている。
・ 居住地は「市町村内」、「広域市町村圏」、「県内」が各3割強ずつの割合で挙げられているほか、「福岡都市圏」を挙げる港湾も約2割と少なくない。
・ アクセス手段については、「自家用車」が64%と最も多い。次いで「路線バス」15%、「観光バス」13%が続いており、自動車によるアクセスのウェイトの高さが示された。「旅客船」・「フェリー」は各1割ずつ挙げられた。
・ 来訪が多い季節は、「夏」(62%)、「春」(43%)への集中度が高い。
・ 来訪が多い時間帯は「昼」(59%)を中心に「朝」(34%)、「夕方」(28%)も少なくないが、「夜間」(8%)は限られている。
 
■来訪者の様子(【港湾個票】問4(1)(5))
<客層>
選択肢 (複数回答)
01 学校 3 5.7
02 企業 0 0.0
03 愛好者 19 35.8
04 ファミリー 12 22.6
05 若者 6 11.3
06 熟年層 11 20.8
07 不特定 19 35.8
08 その他 0 0.0
無回答 16 30.2
集計対象票数(N=53)
 
<居住地>
選択肢 (複数回答)
01 市町村内 18 34.0
02 広域市町村圏 18 34.0
03 長崎県内 17 32.1
04 福岡都市圏 10 18.9
05 その他 6 11.3
無回答 17 32.1
集計対象票数(N=53)
 
<アクセス手段>
選択肢 (複数回答)
01 自家用車 34 64.2
02 旅客船 6 11.3
03 フェリー 6 11.3
04 鉄道 0 0.0
05 路線バス 8 15.1
06 観光バス 7 13.2
07 タクシー 1 1.9
08 その他 5 9.4
無回答 14 26.4
集計対象票数(N=53)
 
<来訪が多い季節>
選択肢 (複数回答)
01 春 23 43.4
02 夏 33 62.3
03 秋 12 22.6
04 冬 3 5.7
05 その他 1 1.9
無回答 16 30.2
集計対象票数(N=53)
 
<来訪が多い時間帯>
選択肢 (複数回答)
01 朝 18 34.0
02 昼 31 58.5
03 夕方 15 28.3
04 夜間 4 7.5
05 その他 1 1.9
無回答 16 30.2
集計対象票数(N=53)
 
(2)来訪者ニーズ
《市町村が把握する来訪者ニーズ》
・ 地域による「港湾での観光客や住民ニーズの把握」については、市町村としては「把握していない」(64%)が過半数を占め、「観光客ニーズを把握」(19%)、「住民ニーズを把握」(15%)や、「スポーツ活動者ニーズを把握」(4%)のケースは限られている。
・ ニーズ把握の主体は、市町村のほか、観光協会や商工会、スポーツ活動団体、事業者等多様である。
 
■港湾の観光レクリエーション利用に関する利用者ニーズの把握状況(【港湾個票】問6)
選択肢 (複数回答)
01 観光客のニーズを把握している 8 15.1
02 地元住民のニーズを把握している 10 18.9
03 スポーツ活動者等のニーズを把握している 2 3.8
04 特に把握していない 34 64.2
無回答 5 9.4
集計対象票数(N=53)
 
<把握方法>※問6で01〜03に答えた14件について
選択肢 (複数回答)
01 現地で市町村が直接把握 6 42.9
02 商工会・観光協会等を通じて把握 6 42.9
05 スポーツ活動団体から聞いている 6 42.9
04 地元観光関連業者から聞いている 5 35.7
05 周辺住民(町内会等)から聞いている 5 35.7
03 旅行会社等から聞いている 4 28.6
07 アンケートを実施したことがある 1 7.1
06 その他 0 0.0
無回答 0 0.0
集計対象票数(N=14)
 
・ 市町村が把握している来訪者ニーズとしては、「公園的利用ができるとよい」(57%)、「駐車場が少ない」(57%)、また「色々な楽しみ方ができるとよい」(36%)、「トイレがない・少ない」(36%)など、基盤的な施設の確保を望む声が多い。
 
■市町村外からの来訪者の主なニーズ(【港湾個票】問6(2))※問6で01〜03に答えた14件について
選択肢 (複数回答)
公園的利用ができるとよい 8 57.1
駐車場がない・少ない 8 57.1
いろいろな楽しみ方ができるとよい 5 35.7
トイレがない・少ない 5 35.7
宿泊・飲食が近くでできるとよい 4 28.6
景観を楽しみながら食事などしたい 3 21.4
イベントなどに港湾を活用したい 3 21.4
スポーツなどの指導体制があるとよい 2 14.3
もっと港の雰囲気があるとよい 2 14.3
イベント情報など知りたい 2 14.3
利用の手続きやルールが煩雑 1 7.1
バリアフリー環境にしてほしい 1 7.1
一年中利用できるとよい 1 7.1
海象・気象情報が的確に得られるとよい 1 7.1
利用料が高い 0 0.0
治安・風紀がいいとよい 0 0.0
混雑状況など事前にわかるとよい 0 0.0
その他 0 0.0
無回答 0 0.0
集計対象票数(N=14)
 
《事業所・団体からみた利用者ニーズ》
・ アンケートや取材を通じ、マリンレジャー事業者や利用者団体等が、次のような利用者ニーズを捉えていることが把握できた。
 ・福岡など都市住民が魅力的なマリンスポーツ・釣り活動のエリアとして長崎に注目している。
 ・定年退職者が夫婦でセーリングを楽しむといった傾向が自然発生的に増えてきている。マリンレジャーへの意識が成熟していくにはまだ時間がかかるが、確実に関心は高まっているのではないか。
 ・女性も快適に楽しめるような施設環境があるとよい。
 ・ヨットマンは、海を自在に往来し、入り江などでゆっくりするような時間消費型のスタイルを楽しみたい。しかし実際には海岸や海域の利用には制約(法的規制や漁業権)が多く、行動をあきらめているという感じもある。
 ・「色々な方法で海を楽しみたい」というニーズは、潜在的に多いという手応えがある(一般公開イベントの体験航海などは、予想以上に盛況)。
 ・(従来の遊覧型海洋観光では飽きたらず)体験的なプログラム、交流プログラムなどが望まれるようになってきている。
 ・楽しみ方がわからないのも実情。海辺のまちの子どものほとんどがプールで泳ぐような時代。海との親しみや、自然の中で自分や自然環境を守っていく知恵を子どもの時からつける必要がある。
 ・フラリと半島や離島に訪れた時、島内の交通条件や観光スポットへの案内の不十分さに戸惑うケースも少なくない。
 
(3)事業者ニーズ
・ マリンレジャー事業者・団体は港及び周辺に「確保したい施設」に、トイレはじめ、休憩施設、駐車場、専用の係留施設、シャワー等を挙げており、市町村が把握している来訪者ニーズと同様の傾向がみられる。(「3. 港湾を利用する事業者等の状況」参照)







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