2 港湾・関連地域の観光レクリエーション機能整備・利用の特性と取り組み
(1)アクセスと隣接地の性格
(1)アクセス条件
・ 陸上からの交通については、「最寄り駅から公共交通機関(路線バス等)で行ける」条件にある港湾が6割弱みられる。
・ 海上からの交通については、フェリーや旅客船が寄港する港へ「路線バスで行ける」場合が3割強、「当該港湾がフェリーや旅客船が寄港する港」である場合が3割という状況である。
・ 遠距離からは、長崎駅、佐世保駅、大村空港、福岡空港を主たる玄関口(交通結節拠点)とし、空路、鉄道、路線バス、旅客船(あるいはその組み合わせ)でアクセスするパターンが想定されている。九州北部や県内からは、マイカーによる陸路からのアクセスをメインに、離島ではフェリー又は旅客船の利用が想定されている。
・ 主要な都市(長崎、佐世保等)から、路線バスやマイカーなどで1時間以上を要するケースが少なくない。
■港湾への主なアクセス(【港湾個票】問1(2))
<陸上からのアクセス>
選択肢 |
件 |
% |
01 最寄り駅から公共交通機関で行ける |
30 |
56.6 |
02 最寄り駅から公共交通機関で行けない |
10 |
18.9 |
無回答 |
13 |
24.5 |
集計対象票数(N=53) |
53 |
100.0 |
|
<海上からのアクセス>
選択肢 |
件 |
% |
01 当該港湾がフェリーや高速・旅客船が寄港する港 |
16 |
30.2 |
02 フェリーや高速・旅客船が寄港する港から路線バスで行ける港 |
17 |
32.1 |
03 フェリーや高速・旅客船が寄港する港から路線バスで行けない港 |
8 |
15.1 |
無回答 |
12 |
22.6 |
集計対象票数(N=53) |
53 |
100.0 |
|
(2)隣接地の特徴からみた立地条件
・ 隣接地の特徴については、「農漁村」(62%)との回答が最も多い。次いで「商店街・市街地」(38%)が挙げられているが、「農地」(21%)、「崖・林地」(21%)、「河口」(13%)なども少なくなく、長崎県の港湾の多くが自然的地域の中に立地していることが示された。「工業・電源・備蓄・流通基地」(13%)など臨港産業が隣接しているケースは1割強にとどまっている。
■港湾隣接地の特徴(【港湾個票】問1(1))
選択肢(複数回答) |
件 |
% |
01 崖・林地 |
11 |
20.8 |
02 河口(砂州・湿地など) |
7 |
13.2 |
03 農地 |
11 |
20.8 |
04 工業・電源・備蓄・流通基地 |
7 |
13.2 |
05 農漁村 |
33 |
62.3 |
06 商店街・市街地 |
20 |
37.7 |
07 その他 |
4 |
7.5 |
無回答 |
0 |
0.0 |
集計対象票数(N=53) |
|
(2)観光魅力と観光レクリエーション機能
(1)観光魅力(資源性)
・ 最も目立つのは、「固有の自然資源がある」(40%)、「固有の歴史資源がある」(34%)という観光資質である。具体的な資源名の記入欄には、海域や海岸部にみられる動植物、九十九島をはじめとする多島美、奇勝、固有性ある交流史やそれを物語る史跡等が多様に挙げられた。
・ 次いで目立つのは、「気象・海象・地形・水域の水質等がマリンスポーツ・レクリエーションに適している」(28%)、「港湾造成地、港湾緑地、人工海浜など利用に適する空間がある」(26%)というスポーツ・レクリエーション活動等への空間供給ポテンシャルの高さである。
・ さらに「独自の商品や海の食材」(19%)、「見学・体験魅力のある産業」(19%)なども少なくなく、特に水産・農産物が豊富に挙げられている。「無形の文化資源がある」(17%)、「港湾景観に観光魅力がある」(15%)などもみられる。
■港湾及び周辺海域にある観光レクリエーション資源(【港湾個票】問2(1))
選択肢(複数回答) |
件 |
% |
自然資源 |
01 気候や自然環境がよく、保養・滞在に適している。(避暑、避寒などの適地) |
7 |
13.2 |
02 気象・海象・地形・水域の水質等の条件がマリンスポーツ・レクリエーションに適している。(セーリング、ボーディング、サーフィン等の適地) |
15 |
28.3 |
03 海中や海底の生態系に、観光魅力がある(イルカウオッチング、スキューバダイビング等の適地) |
8 |
15.1 |
04 自然景観や天然記念物など、固有の自然資源がある。(朝日、夕日、多島海景観、臨海植物等) |
21 |
39.6 |
05 その他 |
2 |
3.8 |
人文資源 |
06 史跡・文化財など、固有の歴史資源がある。 |
18 |
34.0 |
07 交流史・伝承など、無形の文化資源がある。 |
9 |
17.0 |
08 独自の商品や海の食材などを活かした飲食メニューがある。 |
10 |
18.9 |
09 見学・体験魅力のある産業や市場が立地している。 |
10 |
18.9 |
10 港湾造成地、港湾緑地、人工海浜など利用に適する空間がある。 |
14 |
26.4 |
11 港湾景観に観光魅力がある。(みなとの風景、夜景、産業景観、構築物等) |
8 |
15.1 |
12 その他 |
3 |
5.7 |
無回答 |
11 |
20.8 |
集計対象票数(N=53) |
|
・ それらの資源の活用については、港湾空間を活用したマリンレジャー・スポーツ地づくり、港湾の歴史的環境を活かした公園や施設づくりなどについての記述がみられる。
■活用したい資源やその具体的な活用イメージ(【港湾個票】問2(2))
・ 水辺の森公園での各種イベントの開催(長崎市・長崎港)
・ 平戸港は1600年の西洋貿易の発生の地として栄え、日本の西の都として日本文化に大きな影響を与えてきた港であり、周辺には点在した史跡が多く文化財としての価値も大変高いものが多い。この様な中で今後は歴史港としての再現と町並みづくりの連携により魅力ある「みなと」としての再現を図る。(平戸市・平戸港)
・ 海水浴場及びマリンスポーツとしての活用、地場産品等の振興(平戸市・川内港)
・ 現在ある、海水浴場を港湾事業で整備を行い市の観光地としたい。(松浦市・下田港)
・ 多郎島海水浴場の隣接キャンプ場、宿泊施設との相互利用促進(富江町・富江港)
・ H16年度に有川港再開発事業により「多目的ターミナル」が整備される、それに伴い「多目的ターミナル」〜「海童神杜」〜「鯨見山公園」という新しい観光ルートの構築を目指したい。(有川町・有川港)
・ H17年度に港湾緑地が完成予定、また町が整備した集客施設(健康保養センター、匠の里伝承館)も特に活用(美津島町・竹敷港)
(2)港湾にある観光レクリエーション活動の受入施設
・ 集客施設としては、4分の1の港湾について「ビーチ・海水浴場」(25%)が、「遊漁船・瀬渡し舟発着所」(11%)「遊覧船・クルーズ船発着所」(9%)が各1割ずつみられる。一方、博物館、マリーナ、海釣り公園等の施設は限られている。
・ その他関連施設としては、「公衆トイレ」(34%)、「売店」(25%)、「公共駐車場」(23%)、一般向けの「飲食施設」・「宿泊施設」(各17%)の状況で、「観光案内所」の回答は15%である。港湾の観光レクリエーションヘの対応水準は、必ずしも高い状況にあるとはいえない。
■港湾にある観光レクリエーション施設
<集客施設>(【港湾個票】問3(1))
選択肢 (複数回答) |
件 |
% |
01 博物館・美術館・文化センター |
2 |
3.8 |
02 保存船・復元船 |
3 |
5.7 |
03 展望施設 |
3 |
5.7 |
04 フィッシャーマンズワーフ・お魚センター |
3 |
5.7 |
05 海浜公園・海洋レジャー施設 |
2 |
3.8 |
06 海洋スポーツセンター |
2 |
3.8 |
07 ビーチ・海水浴場 |
13 |
24.5 |
08 海釣り公園 |
3 |
5.7 |
09 マリーナ・ヨットハーバー |
2 |
3.8 |
10 遊覧船・クルーズ船発着所 |
5 |
9.4 |
11 遊漁船・瀬渡し舟発着所 |
6 |
11.3 |
12 その他観光レクリエーション施設 |
3 |
5.7 |
無回答 |
28 |
52.8 |
集計対象票数(N=53) |
|
<その他関連施設>(【港湾個票】問3(2))
選択肢 (複数回答) |
件 |
% |
01 遊歩道・遊歩デッキ |
7 |
13.2 |
02 研修・学習施設 |
2 |
3.8 |
03 産業観光施設 |
2 |
3.8 |
04 マリンスポーツショップ |
1 |
1.9 |
05 売店 |
13 |
24.5 |
06 一般客向け飲食施設 |
9 |
17.0 |
07 一般客向け宿泊施設 |
9 |
17.0 |
08 キャンプ場 |
1 |
1.9 |
09 観光案内所 |
8 |
15.1 |
10 公衆トイレ |
18 |
34.0 |
11 公共駐車場 |
12 |
22.6 |
12 進入路 |
1 |
1.9 |
13 その他 |
2 |
3.8 |
無回答 |
20 |
37.7 |
集計対象票数(N=53) |
|
(3)(4)港湾でのイベント等
・ 約半数の港湾で、何らかのイベントが開催されている。
・ イベントの規模は、長崎港の帆船祭りやみなとまつりが10万人を超えるのに次いで、大村港、平戸港、厳原港、田平港で開催される各まつりに3〜5万人規模の入込がみられる。他は数百人〜数千人規模のものが多い。
・ イベントのテーマ・内容では、夏祭り(花火大会等)が最も多く、地域の産業やコミュニティの活性化、文化・スポーツ振興、青少年の体験学習に関わるものが目立つ。
・ 「みなとまつり」や「ペーロン大会」、「帆船まつり」、韓国との交流史をテーマとする各種イベントなどは長崎の港ならではのものとして港湾の魅力づくりにもつながっているものとみられる。
・ 実施体制としては、地域の自治体、経済・教育関連団体及びそれらを主体とする実行委員会などが主催するものが多い。行政を軸とする協働体制での実施が多いものとみられる。
■みなとでのイベント(【市町村全体票】問3(1))
市町村 |
港湾名 |
季節 |
イベント名 |
主催者 |
H14入込 |
長崎市 |
長崎港 |
春 |
長崎帆船まつり |
長崎帆船まつり実行委員会 |
216,000 |
夏 |
ながさきみなとまつり |
|
134,000 |
長崎ペーロン選手権大会 |
|
64,000 |
諫早市 |
*有喜漁港 |
夏 |
いさはや港祭り in うき |
いさはや港祭り in うき実行委員会 |
15,000 |
大村市 |
大村港 |
夏 |
大村ペーロン大会 |
大村ペーロン大会実行委員会 |
5,000 |
おおむら夏越花火大会 |
(社)大村市観光協会 |
50,000 |
福江市 |
福江港 |
秋 |
福江まつり |
福江祭協賛会 |
22,000 |
平戸市 |
平戸港 |
夏 |
みなと祭り花火大会、南風風人夏の陣 |
平戸市 |
35,000 |
ライブコンサート |
民間活動団体 |
|
秋 |
平戸市産業まつり |
平戸市 |
15,000 |
南風風人秋の陣 |
平戸市 |
17,000 |
川内港 |
|
ビーチバレーボール |
民間活動団体 |
|
松浦市 |
松浦港 |
夏 |
御厨夏まつり |
御厨商工青年部 |
300 |
調川港 |
秋 |
松浦おさかなまつり |
松浦市・松浦魚市場協会 |
20,000 |
伊王島町 |
伊王島港 |
春 |
長崎市帆船祭りの一環「マリンフェスタ・カヌーで遊ぼう」 |
マリンフェスタ実行委員会 |
300 |
さくらまつり |
マリンフェスタ実行委員会 |
300 |
野母崎町 |
脇岬港 |
夏 |
伊勢エビまつり |
イベント実行委員会 |
7,000 |
長与町 |
長与港 |
夏 |
ながよ川まつり |
長与町地域政策課 |
|
長与町ペーロン大会 |
ペーロン保存会 |
|
町内5小学校ペーロン大会 |
各小学校 |
|
町内3中学校ペーロン大会 |
各中学校 |
|
琴海町 |
*形上湾 |
夏 |
琴海町ペーロン大会 |
琴海町ペーロン協会 |
1,000 |
大島町 |
肥前大島港 |
夏 |
町民の夕べ(夏祭り)・花火大会 |
大島町 |
6,000 |
大瀬戸町 |
瀬戸港 |
夏 |
ペーロン大会 |
ペーロン大会実行委員会 |
4,450 |
おおせと夏まつり |
大瀬戸町商工会青年部 |
8,000 |
大島村 |
大島港 |
夏 |
夏まつり花火大会 |
花火大会実行委員会 |
1,000 |
富江町 |
富江港 |
夏 |
富江まつり花火大会 |
富江まつり実行委員会、協賛・後援者:町、商工会 |
2,000 |
冬 |
とみえ産業市 |
とみえ産業市協議会、協賛・後援者:町、農協、漁協、商工会 |
600 |
田平町 |
田平港 |
夏 |
たびら夏まつり |
たびら夏まつり実行委員会 |
30,000 |
玉之浦町 |
玉之浦港 |
夏 |
カヌー教室 |
商工会青年部 |
300 |
玉之浦港祭り |
玉之浦港祭り実行委員会 |
500 |
秋 |
漁り火カマス釣り |
商工会青年部 |
50 |
奈留町 |
相の浦港 |
春 |
町内SPナイターソフトボール大会 |
奈留町体育協会 |
120 |
春季ナイターソフトボール大会 |
奈留町体育協会 |
1,450 |
夏 |
奈留町夏まつり |
奈留町夏まつり実行委員会 |
2,000 |
体験ツアー |
体験ツアー実行委員会 |
350 |
秋 |
奈留町民体育祭 |
奈留町 |
2,500 |
秋季ナイターソフトボール大会 |
奈留町体育協会 |
250 |
グラウンドゴルフオープンin奈留 |
奈留町体育協会 |
150 |
冬 |
奈留町ロードレース大会 |
奈留町 |
420 |
若松町 |
若松港 |
夏 |
サマーフェスティバルinわかまつ |
サマーフェスティバルinわかまつ実行委員会 |
7,000 |
秋 |
観月会 |
観光協会 |
1,000 |
どてらい市 |
若松ふるさと塾 |
2,000 |
冬 |
磯釣り大会 |
観光協会 |
200 |
有川町 |
有川港 |
夏 |
マリンフェスタinありかわ |
有川町・商工会・観光協会 |
3,000 |
秋 |
五島有川くじらどん祭 |
有川町・漁協・JAごとう |
3,000 |
通年 |
観光体験メニュー:定置網見学、海中展望船、クルージング |
有川町観光協会 |
748 |
厳原町 |
厳原港 |
春 |
日韓ヨットレース |
日韓ヨットレース実行委員会 |
100 |
夏 |
対馬アリラン祭 |
対馬アリラン祭振興会 |
32,000 |
小茂田港 |
冬 |
小茂田浜神社大祭 |
小茂田浜神社氏子 |
2,000 |
美津島町 |
*高浜港 |
夏 |
いさり火まつり |
美津島町商工会青年部 |
6,000 |
竹敷港 |
夏 |
浅茅湾ファミリーフィッシング大会 |
美津島町、観光協会 |
30 |
上県町 |
佐須奈港 |
夏 |
わいわいフェスタ「夏」花火大会 |
佐須奈商店振興会 |
500 |
秋 |
やまねこ祭花火大会 |
やまねこ祭実行委員会 |
1,500 |
上対馬町 |
比田勝港 |
夏 |
おっどん祭 |
おっどん祭実行委員会 |
2,000 |
*三宇田浜比田勝港 |
夏 |
国境マラソン |
国境マラソン実行委員会 |
1,500 |
|
・ 「港湾を利用する地元のこどもたちの学習活動や遊び」という視点から聞いたところ、回答は少数ながら、復元船でのクルーズ、ペーロン大会、ろこぎ大会など、長崎県ならではと思われるものが挙げられた。
■みなとを利用して実施する地元の子どものための学習活動や遊び(【市町村全体票】問3(2))
市町村 |
実施機関 |
プログラム概要や実施場所 |
時期・頻度 |
対象年齢 |
協力体制 |
長崎市 |
市内幼稚園 |
復元唐船「飛帆(フェイファン)」による長崎港のクルーズ |
不定期 |
幼稚園児 |
長崎市 |
諌早市 |
有喜小学校 |
定置網漁の見学 |
秋・年1回 |
小学5年 |
有喜漁協 |
大島村 |
小、中学校 |
水産教室 |
年に3回 |
小中学生 |
漁協 |
福島町 |
商工会 |
ろこぎ大会 |
夏1回 |
小中学生 |
|
小佐々町 |
楠栖小学校 |
海洋スポーツ基地での体験スクール |
夏1回 |
小学生 |
小佐々町BG(財)運営 |
小佐々小学校 |
海洋スポーツ基地での体験スクール |
夏1回 |
小学生 |
小佐々町BG(財)運営 |
小佐々中学校 |
海洋スポーツ基地での体験スクール |
夏1回 |
中学生 |
小佐々町BG(財)運営 |
玉之浦町 |
玉之浦小中学校 |
海岸清掃 |
夏1回 |
小中学生 |
育成協、漁協、役場 |
奈留町 |
奈留中学校 |
ペーロン大会 |
夏1回 |
中学生 |
中学校愛育会 |
養殖漁業体験 |
夏2回 |
中学3年 |
長崎県・奈留町・漁協 |
|
|