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はじめに
社会の高齢化が進む中で、1995年から高齢者自身が主体となって働く場、生きがい、そして福祉サービスを創造する社会システムとして、高齢者生活協同組合の設立が全国で取り組まれてきました。
一方、障害者の分野でも、自立生活センターが当事者主体のサービス提供を目指す運動体として育ってきました。両団体ともに当事者のエンパワメントという目的を共有しながらも、これまでお互いの連携はなく、それぞれの活動をしてきました。
2000年には介護保険が導入され、福祉サービスの利用契約という大きな変革が福祉分野においてなされましたが、これに対しても高齢者、障害者は別々の取り組みを行ってきました。介護保険は機能障害のみに着目し、主に家庭内における介助サービスを保障するもので、豊かな生活を実現するための社会参加に対する介助は対象とされていません。このことは高齢、障害を問わず大きな問題となっています。
また、障害者の分野では当事者自身が力をつけていくエンパワメントの概念が重要視されるようになり、ピアカウンセリングや自立生活プログラムなど当事者自身がロールモデルとなって行う支援活動が障害者の地域自立を押し進めてきました。高齢者の当事者運動にとっても、障害者の実践を参考に、高齢者のエンパワメントシステムを開発していくことが課題となっています。
本事業は、2005年の介護保険の見直し時期を控え、介助という共通のサービス基盤において高齢者、障害者が共通の調査研究を行い、高齢者のエンパワメントを行うためのシステムを確立することを通じて、21世紀の高齢者及び障害者の当事者運動の連携のあり方を模索しようとする取り組みです。
事業期間を3年間とし、初年度の今年は、両団体の会員に対する高齢者及び障害者のサービス利用の状況や意識に関する調査を行いました。高齢者と障害者においてサービス提供における共通の課題は何か、利用者のエンパワメントにおいて両者のもつサービス内容でお互いに活用し合えるものは何か、高齢と障害で心情的に共通するものと異なるものは何か、介護保険の中で高齢者が不満を持っているのはどの部分か、障害をもつ高齢者とで違いはあるのかなどについて調査を行い、今後の高齢者エンパワメントシステムの基礎となるデータを収集しました。本報告書はその調査結果及び分析をまとめたものです。
次年度はこの結果をもとに、高齢者生活協同組合のモデルになった米国の全米退職者協会(American Association of Retired Persons)を調査し、米国での高齢者向けのプログラムの現状と課題を明らかにし、3年目の高齢者エンパワメントシステムと介護保険改正への提言につなげていくことを目標としています。
本事業にあたっては、日本財団より多大なご支援をいただくことができました。また、アンケートに際しましては全国の高齢者生活協同組合及び関連組織である労働者協同組合、そして自立生活センターの皆様にご協力をいただきました。改めてこの場を借りて御礼申し上げます。
2004年3月
日本高齢者生活協同組合連合会
1章 調査の概要
1. 調査の目的
介護保険は機能障害のみに着目し、主に家庭内における介助サービスを保障するもので、豊かな生活を実現するための社会参加に対する介助は対象とされていない。このことは高齢者、障害者が共に共有する大きな課題となっている。
また、障害者の分野ではエンパワメントの概念が重要視され、ピアカウンセリングや自立生活プログラムなど当事者支援活動が確立されてきており、高齢者の当事者活動においてもその実践を取り入れることが今後の課題となっている。
このような状況を受けて、高齢者・障害者の両団体においてサービス提供における共通の課題は何か、利用者のエンパワメントにおいて両者のもつサービス内容でお互いに活用し合えるものは何か、高齢と障害で心情的に共通するものと異なるものは何か、介護保険の中で高齢者が不満を持っているのはどの部分か、障害をもつ高齢者とで違いはあるのかなどについて調査・研究を行い、高齢者・障害者に望まれる介助サービスのあり方、介護保険改正に向けての提言、高齢者エンパワメントプログラムの作成の基礎資料とする。
2. 調査項目
高齢者と障害者共通するもの、異なるものについて明確にするため、調査項目は共通のものとした。
高齢者・障害者の受けられるサービス・制度等が違うために共通の質問項目を適用することが難しいケースについては、その違いを踏まえた上で比較可能な質問項目を設定した。
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○ 共通の質問項目 □ 高齢への質問項目 △ 障害者への質問項目
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(1)回答者の状況
○年齢
○性別
○日常生活動作
□介護保険の要介護度
○同居の介護者
○一人暮らし歴
(2)サービス利用の状況
○1ヶ月のサービス利用時間・回数
○サービスの自己負担額
○自己負担の支払者
○負担感
○サービスの依頼先
(3)サービス利用の意識・評価
□介護保険の認知度 △支援費制度の認知度
□要介護度の適正感
□高齢者協同組合のサービス評価 △自立生活センターのサービス評価
○サービスを利用して良かった点
○他事業者のサービスを利用して良かった点
○他事業者のサービスと比較して感じること
□ケアマネージャーの決定者
□ケアマネージャーの所属
□ケアマネジャーの評価
□ケアプランの決定者 △介助時間・内容の決定者
○サービス事業者の決定者
○介護者の決定者
○介護者への希望と実態
○充実して欲しいサービス
□あれば利用したいサービス
○今後のサービス利用量の変化
○サービス利用の抵抗感
○介護を利用しての外出・社会参加の希望と実態
3. 調査方法
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高齢者 |
障害者 |
| 対象者 |
全身性の障害を持つ自立生活センターの利用者(上肢と下肢の両方に障害をもつ障害者1級、またはこれに相当する障害を持つ人) |
要介護度3以上で、本人が回答可能な、高齢者生活協同組合・労働者協同組合の在宅サービスの利用者 |
| 対象地域と回収目標 |
(1)東京及び大阪で活動する自立生活センター利用者 250名 (2)以上の地域以外で活動する自立生活センター利用者 250名 |
全国の高齢者生活協同組合及び労働者協同組合の利用者 500名 |
| 調査期間 |
調査票配布:2003年5月 調査票回収:2003年6月中旬 |
調査票配布:2003年6月 調査票回収:2003年7〜8月 |
| 回収方法 |
郵送法 |
面接回答法 |
| 回収率 |
調査対象者 747名 有効回収票 464名 有効回収率 62.1% |
調査対象者 200名 有効回収票 173名 有効回収率 86.5% |
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