D. 棚板
(イ)棚板ノ効用
棚板ハ舳、船底材及戸立ニヨリテ保持セル船体ノ
外周ヲ構成シ水ノ浸入ヲ防止ス。横圧ヲ受クル事多ク、
構成上之レガ考慮ヲ必要トス
亦棚板ノ傾斜角度其ノ他ニ依リ復原力、速力、載荷面積等ニ関係シ
船体構成上重要ナリ
(ロ)棚板ノ材料
船体ノ横圧且ツ縦力ニ堪ユル長材ヲ使用シ亦水密ヲ得ルタメニ
乾燥材ニテ節庇等ノ欠点ノナキモノヲ撰定ス。
屈曲ニ堪ヘ粘着性ニ富ム。杉、赤身材ヲ使用ス。
(ハ)棚板ノ名称及種別
(A図)
棚板ノ名称
イ. 上棚
ロ. 下棚
棚板ノ種別
(A図)ノ如ク上棚ヲ有スルモノヲ二枚棚ト云フ
(B図)
棚板ノ名称
イ. 上棚
ロ. 中棚
ハ. 下棚(又ハ加敷)
(C図)
棚板ノ種別
(B図)ノ如ク上棚、中棚、下棚ヲ以テ構成スルモノヲ3枚棚ト云フ
棚板ノ名称
棚板ノ種別
(C図)ノ如ク棚ノミヲ以テ構成サルモノヲ
一枚棚ト云フ
(ニ)棚板ノ開キ
棚板ノ傾斜角度ヲ決定スルニ各金場ニ於ケル所ヲ基準トシ、棚板ノ開キヲ以テ決定ス
A点ヨリ水平線A.Bヲ引キA.B=5寸トシ
B点ニ垂線B.Cヲ立テ半径1尺ヲ以テ
Aヲ中心トシB.C垂線ニ交ハル点ヲCトスレバ
B.A.C角ハ下棚ノ傾斜角度即チ開キヲ示ス
上棚及中棚ノ開キノ場合ハ各其ノ接点ヲ基準トシ同様ナル方法ヲ以テス
(ホ)まがね
上棚ガAB水平線ニ対シ直角ナル場合ヲ云ヒ、
即チ図ノ如クA.C上A.Bナル時、AC線上ニ
上棚ノアル場合ナリ
(上棚ノ開キ角度90°ナル時)
(ヘ)かぶり
上棚ノ開キ90°以上ナル場合之ヲ
かぶりト云フ
例ヘバかぶり1尺ニ付キ5分ナル場合、
AC=1尺
DC=5分トシ
AD点ヲ結ビタルD.A.C角ハ開キ
ニシテ上棚ノ傾斜角度ヲ示ス
(ト)棚板ノ矧合セ
所要ノ大サニ棚板ヲ緊着スルタメ矧合セヲ為ス接着部ハ完全ナル水密ヲ
必要トスルニ付充分ニシテ且ツ丁寧ナル工作ヲナシ合羽鋸、だんづり等
特ニ注意スル事緊要ナリ
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