木製和型船名称及各部分ニ於ル工作法
1. 北洋方面ニ使用スル一般和型船ノ名称
ニ. 起船
ホ. 仲舟
ヘ. 磯舟
ト. 川崎船
チ. 折衷型船
以上ノ如ク大別シ主トシテ鮭、鱒、蟹漁業ニ使用セラル
2. 一般的名称
地方ニ依リ名称区々アルモ当所ニ於テ称呼スル名称ヲ挙ゲ説明ス
本項ニ於テハ重要ナルモノヲ記シ詳細ハ各項ニ譲ル
1. 舳 8. 小縁
2. 船底材 9. 櫂摺
3. 戸立 10. 亜折
4. 棚 11. 船梁
5. 床 12. 肋骨(曲木)
6. 抜棚 13. 縦通材(ビンネリ)
7. 廻渕
3. 船体構造
A. 船底材
(イ)船底材ノ効用
三伴船、起船、傅馬船ノ如ク二枚棚ニ依リ構成サレル船底材ヲ敷ト称シ胴海船、仲舟、磯舟ノ如ク一枚棚ニテ構成サレル船底材ヲ無玉ト云フ
船体ノ最下部ニ於テ前後ニ長ク船ノ重要ナル材料ニシテ縦強度ヲ輿ヘ船体構成ノ主幹ナリ
(ロ)船底材ノ材料
船体構造ノ主幹ナル理由ニ依リ特ニ材料ヲ精撰シ堅材ニテ且ツ一材ヲ良トスルモ近時期如キ材料乏シク二材以上ヲ以テ為スコト多シ桂及椈材ヲ以テシ、桂材ハ堅材ニアラザルモ水中ニ於ケル耐久力強ク且ツ軽量ナルヲ以テ使用セラル。椈材ハ当地方ニ於テハ船底材ニ適当ナル長サ及厚幅ヲ比較的容易ニ得ラレ価格低廉且ツ水中ニ於ケル耐久力アルタメ近時多ク利用セラル
(ハ)船底材ノ名称
和船ニ於テハ船底材ノ幅ハ一般ニ厚サヨリモ寸法大ニシテ通常平船底材ヲ使用ス
1. 幅 6. 胴金場幅 11. 前敷ノ長サ
2. 厚サ 7. 舮金場幅 12. 後敷ノ長サ
3. 長サ 8. 受尻幅 13. たつ(たち)
4. 附根ノ幅 9. 附根厚サ 14. そり
5. 表金場幅 10. 受尻厚サ
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