鉋
木材ノ表面ヲ平滑ニ削リ取ル工具デアリ鉋台ト鉋身トヨリ成ル
∴台甲ノ下面ヲ台面(ダイヅラ)
又ハ下端(シタバ)ト称ス
鉋台ハ平面ヲ削ル定規デアリ且身ノ出入ニハ台ノ一端ヲ叩ク
故ニ狂ヒノ少イ硬靱ナ木質ヲ撰バネバナラヌ
鉋身ニハ刃ノ軟硬アルモ使用ノ箇所ノ如何ニ依リ撰定スレバ良イ
刃角ハ切味ヲ決定スル大切ナ要点デアル一般ニ軟木ニハ刃ノ鋭利ナモノヲ使用シ硬材ニハ角度ヲ大ニシテ刃ヲ強固ナラシムコトガ必要デアル
20°位ノ角度ノモノヲ大切刃3.5°〜40°位ノ角度ノモノヲ小切刃と云フ
大切刃ノ場合ハ桐、桧ニ適当ナルモ普通25°位デアル
角度30°前後ノ場合ハ楢、欅、楓等ニ適当ニシテ小切刃ハ黒檀、紫檀、花林等ニ良イ
一般的ニハ軟材ニ於テハ大切刃ノ仕込勾配ノ小ナルモノヲ用ヒ
硬材ニ於テハ小切刃ノ仕込勾配ノ大ナルモノヲ用ス
軟材・・・桧、杉、松30°〜35°(6寸〜7寸勾配)ノ仕込勾配トス
硬材・・・欅、楢、楓等40°20´〜42°(8.5寸〜9寸勾配)ノ仕切勾配トナシ、
黒檀、紫檀、花林等45°〜90°ノ仕込勾配トス
鑿
穂ト柄トヨリ成リ環ヲ柄ニハメテアルモノヲ叩ノミト云ヒ環ノナキモノヲ仕上ノミ又ハ突ノミト称ス
ノミノ寸法ハ刃先ノ幅ヲ以テ何分ノミ等ト称呼ス
錐
刃物ヲ回転セシメテ材料ニ円孔ヲアケル用具デアル
掌デ揉ムノヲ揉錐ト云フ
刃先ノ形状ノ如何ニ依リ三ツ目四ツ目等アリ、少シ大孔ヲ開ケルニ壷切、鼡歯錐、三叉錐等ガアル
刃ノ先端ガネヂノ原理ヲ応用セルモノニ、ボート錐、繰子錐、ハンドドリール、電気ドリール等アリ
表面ヲ皿取リスル場合ニハ皿錐又ハ歯錐等ヲ用る
砥石
工具類ノ研磨ニ用フルモノデ普通ノ砥石ハ石粒、粗密ノ程度ニヨリテ荒砥、中砥、仕上砥(合砥)ニ分ツ
荒砥 ヤゝ硬キモノ 笹口 平島
ヤゝ軟キモノ 大村 茶神子
中砥 沼田砥、天草砥、伊豫砥、青砥、白砥
仕上砥 本山砥、名倉砥
刃物ニ対シ荒砥ハ大体ノ形状ヲ中砥ハ正シイ形状ヲ作ルニ用ヒ仕上砥ハ一層鋭利ニ刃先ヲ整エルモノデアル
荒砥及中砥ヲ使用スル場合ハ水ヲ比較的多ク用ヒ仕上砥ニ於テハ比較的水ヲ少クシテ砥グ方ガ結果ガ良イ
人工的ニ合成シタルモノ等種々有リテ且之等ヲ機械的ニ運動セシメ研磨ヲ早メ且ツ優良ナル刃先ヲ得ル様ニ能率的ニナリ居ル
3. 材料ノ名称及概念
A 木材料
1. 木材ノ組成
木材ハ細胞ノ集リデアツテ之等ノ細胞繊維トナリ且導管トナル
導管ハ樹液ヲ運搬スル役目ヲ為ス亦繊維ハ強度ヲ司リ繊維ノ合成ハ木材トナル
木材ノ組成分
1. 炭素 約50%
2. 酸素 〃42%
3. 窒素 〃 1%
4. 灰分 〃 1%
木材ノ性質
(1)色 (2)光澤 (3)木理
(4)絞理 (5)精粗 (6)形状
(7)香気ト臭気 (8)含有物 (9)重量、硬度
(10)強度 (11)裂ケ (12)音ノ傳導
(13)熱ノ傳導 (14)水分 (15)吸水
(16)狂ヒ (17)工作ノ難易
針葉樹ニハ髄線ガナク髄線ハ放射状ニ樹液ヲ輸送スル役目ヲナス
イ. 赤味ト白太
木材ノ切口ヲ見ルト樹心近クハ色ガ濃ク周辺ハ淡イ。此ノ原因ハ心ニ近クニ従ツテ繊維、次第ニ生活機能ヲ失ツテココニ「タンニン」樹脂其ノ他物質ガ沈殿シ樹材ヲ強固ナラシメ又外辺ハ生活力ガ盛ンデ多クノ水分ガ含ンデ居リ色淡ク質ハ弱ク腐蝕シ易イ。故ニ可反的赤味ノ部分ヲ利用セネバナラヌ
ロ. 木理
木材ノ縦断面ニ表ハレル年輪、導管、髄線等ノ組織ノ状態ヲ木理ト云フ
導管、小サナモノハ密デアルガ欅、栓等ハ粗イ
木理ノ直通シテイルモノハ狂ヒガ少ク且加工仕易ク造船材トシテ尊重セラレル
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