防衛庁は六日、新しい「防衛計画の大綱」の最終案をまとめた。七日の安全保障会議(議長・村山富市首相)に提示する。防衛力の質的向上など従来の方向に加え、日米安保体制のもとでの自衛隊と米軍の共同運用態勢の強化の重要性を強調、そのための態勢整備を重点項目のひとつとしている。
最終案では、冷戦後の国際情勢について、「世界的規模の武力紛争」が起こる可能性は遠のいたとする一方で、宗教上の対立や民族問題、地域紛争の発生、大量破壊兵器の拡散など「新たな危険が増大」したとの認識を表明。そのうえで、日本周辺では、極東ロシア軍の削減があるものの、朝鮮半島の緊張の持続など「不透明・不確実な要素」が存在していると指摘している。
これを踏まえて、同案では、必要最小限の基盤的な防衛力を保有するという現大綱の方針を踏襲しながらも、防衛力の効率的な運用のため、合理化、効率化を進め、自衛官定数や装備の削減を提起。さらに、専守防衛、文民統制(シビリアン・コントロール)、非核三原則を守り、節度ある防衛力整備を行うというこれまでの政府の方針を堅持するとしている。
さらに、日米安保体制は依然として重要だと強調し、同体制を有効に機能させるために、日米の情報交換、政策協議、共同研究、装備・技術の交流を充実、共同演習・訓練を通じて自衛隊と米軍を共同で運用する態勢を構築することが重要だと提唱している。
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