国連平和維持活動(PKO)協力法に基づき、陸上自衛隊が初めて海外に出る第一次カンボジア派遣施設大隊(渡辺隆・大隊長、六百人)の隊員三十四人を乗せた海上自衛隊の海上輸送補給部隊(指揮官・上垣毅一佐、三百八十九人)が十七日午前九時前、広島県呉市の海自呉基地を出航した。陸自施設部隊の事実上の第一陣で、来月二日にカンボジア・コンポンソム港に到着する。
施設大隊は今後、道路補修などの主力任務を行う第一次先遣隊(三十人)が二十三日に愛知県・小牧基地を出発するのを皮切りに、後続部隊が次々と現地入り。湾岸戦争以来、国論を二分していた自衛隊による「人的貢献」は本格的な実施段階に入った。
出航したのは、旗艦となる輸送艦「みうら」「おじか」(各二、〇〇〇トン)と、補給艦「とわだ」(八、一〇〇トン)の三隻。PKOで使われるトラックなど自衛隊車両二十三台と、約二カ月分の隊員の食糧や施設機材などが積み込まれた。また、施設大隊は第十三師団(広島県海田町)、第四施設団(京都府宇治市)などの隊員で、十月一日に小牧基地から出発する第二次先遣隊(百六十人)と現地で合流。資材輸送など、本隊の到着までの準備作業や、その後の後方支援任務にあたる。
三隻が接岸している呉基地Fバースでは午前八時前から出発式が行われ、防衛庁の魚住汎英政務次官、岡部文雄海幕長、西元徹也陸幕長ら海、陸自幹部と池田行彦前防衛庁長官ら派遣隊員を含め約千二百人が出席。
ブルーベレーに防暑服姿の施設大隊と海上輸送補給部隊が整列し、隊員の家族らが見守るなか魚住政務次官が「この新しい任務はわが国が国連を通じて行う人的な面における平和国際貢献として歴史的な意義を持ち、自衛隊にとって歴史の新しい一ページを開くもの。諸君の流す貴重な汗と努力と使命感こそが、国連平和維持活動に対する国民の真の理解を含め、自衛隊に対する国内外の評価、信頼を高めることにつながる」と宮下創平防衛庁長官の訓示を代読した。
※ この記事は、著者と発行元の許諾を得て転載したものです。著者と発行元に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど、著者と発行元の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。