教育基本法改正問題を検討する与党協議が始まった。だが、公明党が今国会への法案提出に難色を示し、実務者によるプロジェクトチームすら設置できない状況だ。このような引き延ばしは、責任ある与党の一員として賢明ではない。
与党協議は、中央教育審議会が今年三月、教育基本法改正に向けて「国を愛する心」「伝統文化の尊重」などの導入を求める答申をまとめたことを受け、与党の対応を決めるために開かれた。初会合では、自民党と保守新党が今国会提出を念頭に改正案の検討に入るべきだと主張したのに対し、公明党は答申の「国を愛する心」と「宗教的情操教育」に異議を唱え、プロジェクトチームの設置にも反対した。
公明党は、一部野党のような「教育基本法改正に絶対反対」の立場ではないはずだ。そうであるのなら、プロジェクトチームを設置したうえで、異論のある部分については、そこで意見を言うべきではないか。
初会合で、公明党は「不登校やいじめなどを議論するのが先だ」とも主張した。しかし、このような問題は平成十二年三月から始まった故小渕恵三元首相の私的諮問機関「教育改革国民会議」でも論議され、奉仕活動の導入や教育基本法改正を求める提言がなされた。この会議には、与党の公明党議員もオブザーバーとして出席している。さらに、この提言を受け、中教審で一年四カ月の議論を経て教育基本法改正への答申が出された。公明党の主張は「議論をもう一度、三年前に戻せ」といっているようなものである。
同じような意見は、教育基本法改正に反対する日教組や一部マスコミからも聞かれる。もちろん、教育基本法が改正されても、すぐには、不登校やいじめはなくならないだろう。教育基本法改正の最大のねらいは、日本に生まれた子供たちが日本の歴史と文化に誇りをもてるような国民教育の理念を確立することである。それが長い年月を経て教育現場に浸透し、いじめや不登校が減るだけでなく、将来の国づくりにもつながるのである。
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