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1997/01/13 毎日新聞朝刊
[新教育の森]教育に関する毎日新聞社「全国世論調査」/1 前文
 
◇「転換期」強く認識−−制度の柔軟化求める
 中学・高校教育の連携を強めてほしい。大学は入りやすく、出にくいように改めるべきだ――。毎日新聞社が実施した「教育問題」全国世論調査では、大多数が教育改革が必要と訴え、制度の柔軟化を求める流れを示した。戦後学制の根幹である6・3・3・4制の基本型は維持しながら、その運用や接続をもっと弾力化させ、活力を持たせる考え方といえるだろう。
 今年は戦後学制が発足してちょうど50年。125年前の明治学制発布、敗戦後の学制改革に続き、「第3の改革」の時期と位置付けられている。
 この半世紀の日本の教育は、普及度と均質化という面で成果を示し、経済成長を支える基盤を形成したことは否定できない。しかしそれがまた逆に個性伸長を阻害し、制度そのものも硬直して、入試で振り分けながら単線・トコロテン式に人間を送り出す「金太郎あめ教育」の限界を露呈することにもなった。
 100%近い高校進学率や3人に1人が4年制大学に進むなど高学歴志向の一般化。受験競争の低年齢化と少子化。知育偏重から脱しきれない入試制度。歯止めのないいじめ、不登校増加……。現在、政府や中央教育審議会などが進めている改革論議の背景には、こうした現象に対する「先詰まり」感や危機感がある。
 今回の世論調査でも、今教育システムの転換期にあるという認識が強くにじんでいる。意見の分かれ方や世代別の受け止め方の違いなども含め、これからの論議に示唆を与える貴重な資料となりそうだ。【教育取材班】


 
 
 
 
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