日本財団 図書館


1992/01/29 毎日新聞朝刊
[社説]学校五日制で対話と協議を
 
 「正直言って学校五日制がこんなに早く導入されるとは思わなかった」
 千葉県・白子町で開かれた日教組の第四十一次教育研究全国集会で、参加した教師から、こんな戸惑いの声が聞かれた。「父母の理解が得られるか心配だ」という声もあった。
 しかし一方で、「土曜日は授業をやめて、子どもの自治的・自主的活動にあてている」「月一回の五日制なら土曜日を学校裁量時間(ゆとりの時間)や部活動、選択教科にあてれば、授業時数を減らさなくてもすむ」「授業を二時間通してやればよい」といった実践報告が相次ぎ、五日制実施のための教育課程試案を独自に作ったという意欲的な報告も、いくつかあった。
 「九二年度中に月一回、土曜日を休みとするのが適当」という文部省協力者会議の「中間まとめ」が、昨年十二月に公表されて以来、学校現場には、戸惑いや不安がある。しかし日教組の教研集会では、積極的に取り組む姿勢が、全体的に見られて良かった。
 実は日教組が学校五日制を、教職員の週休二日制とセットで実現しようと運動方針に掲げはじめたのは、二十年前の一九七二年からだった。
 七五年には「隔週五日制具体化のための試案」を発表、北海道教組は土曜日を子どもの自治的活動にあてる「土曜日課」に取り組み、大阪教職員組合も、教員と子どもが一緒に四週五休できるよう府教委に要求するなどの動きがあった。
 そして九〇年、本部に学校五日制推進委員会を設置、全国九地区でのシンポジウム開催や、文部省指定の五日制実験校との交流も行った。
 さらに九一年六月には、教育学者の協力を得て、学校五日制の教育課程試案を作成した。その内容は、教科と総合学習と自治的活動を三本柱に据えたもので、小中高校別に一週間の時間配当も示している。また子どもが土曜日を有意義に過ごすための環境づくりも提案している。
 日教組は学校五日制を「教育改革」としてとらえ、子どもにとって、ゆとりのある学校への転換と、地域社会や家庭での、さまざまな体験や多様な人間との交流による豊かな人間形成の実現をめざしている。
 これは文部省協力者会議の考え方と「大筋で一致している」と日教組執行部自ら認めているところだ。学校五日制について文部省と日教組が基本的に共通理解を持っていることは喜ばしいことである。
 ただし日教組が今年四月から隔週五日制の実現を求めているのは現実的ではない。さまざまな解決すべき問題が山積しているからだ。文部省協力者会議が言うように、段階的に五日制を拡大していく方がよいだろう。
 「参加・提言」路線に転換した日教組の大場委員長は、教研集会開会のあいさつで「五日制で文部省・県教委に全面的に協力したい」と述べた。
 五日制にふさわしい学習指導要領のあり方や地域社会の環境づくりについて、日教組と文部省・県教委が対話と協議を重ねることを期待したい。


 
 
 
 
※ この記事は、著者と発行元の許諾を得て転載したものです。著者と発行元に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど、著者と発行元の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION