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2003/05/03 産経新聞東京朝刊
新しい憲法をつくる国民会議の新憲法案要旨
 
【前文】
 わが日本国は、建国以来、伝統、文化、国民統合の象徴たる万世一系の天皇のもと、国民が力を合わせ、幾多の苦難に遭遇しながらもそれらを克服しつつ、生成発展を遂げてきた。
 かかる歴史の中で、われわれの祖先は、わが国独自の文化を築き上げてきた。とりわけ、人の尊厳を重んじるがゆえに人の和を尊び、自然を畏敬するがゆえに自然との調和を図る伝統の中で培われた「共生の精神」こそ、わが日本国の文化の精華である。
 われわれは、日本国の基本的国家体制として、天皇制を堅持するとともに、日本国の文化の精華である「共生の精神」をもとに、自由と平等、権利と責務を、理性をもって均衡させた真正な民主主義社会、および、われわれに続く世代の幸福を念頭に置いた、自然との調和の中に生きる持続可能な社会の実現を期する。
 併せて、世界の抱える数多くの難題を解決し、諸民族が共生する全地球的な恒久平和を実現してゆくために、積極的な役割を果たしてゆく。
 日本国民は、二十一世紀を「共生の世紀」たらしめることをわれわれの使命と位置づけ、ここに、日本国民の至高の意志により、新しい憲法をもってこれを宣言する。
 
■第一章 天皇
第一条【天皇の地位】
 (1)天皇は、日本国の元首である
 (2)天皇は、対外的に日本国および日本国民を代表するとともに、日本国の伝統、文化、および国民統合の象徴である
 
■第二章 国旗・国歌
第九条【国旗・国歌】
 (1)日本国の国旗は「日の丸」である
 (2)日本国の国歌は「君が代」である
 
■第三章 安全保障
第十条【世界平和・地球安全保障の理念、国際社会・国際機構への積極的参加】
 (1)日本国民は、武力紛争、抑圧、飢餓、貧困、環境破壊といった人類の災禍が地球上から除去されることを希求する
 (2)人類に対する直接の殺傷でなくとも、中長期的に地球環境を破壊し、地球の安全を脅かすような行為は、これを認めない
 (3)前二項の目的を達成するため、日本国は、出来うる限り平和的手段を尽くして正義に基づく国際秩序の形成、維持、発展に主導的な役割を果たすよう努めるとともに、確立された国際機構の運営および活動には、軍事力の行使を含む責任ある立場で積極的に参画する
第十一条【自衛権、同盟の締結】
 (1)日本国は、自らの独立と安全を守り、急迫不正の侵略に対しては、これに対抗し防衛する権利を有する
 (2)日本国は、国家防衛の目的に即し、他国と同盟を組むことができる
第十二条【国防軍の保持、組織】
 (1)前二条の目的を達成するため、日本国は、国防軍を保持する
 (2)略
第十五条【国会の承認】
 国防軍の出動には、第八十八条に規定される緊急事態宣言が布告されている場合を除いては、国会の承認を必要とし、動員には、外国の侵略を受けた場合又はその危険が切迫した場合の他は、国会の事前の承認を必要とする
 
■第四章 国民の権利および責務
第十九条【個人の尊厳、自由・権利の尊重・乱用禁止、適正行使の責務】
 (1)すべて国民は、個人として尊重される
 (2)生命、自由および幸福追求に対する国民の権利については、一般の福祉に反しない限り、立法その他国政の上で、最も尊重される
 (3)国民は、この憲法が国民に保障する自由および権利を乱用してはならず、常に一般の福祉のためにこれを利用する責務を負う 第二十六条【知る権利】すべて国民は、国の安全および公共の秩序並びに個人の尊厳を侵さない限り、一般に入手できる情報源から、情報を得る権利を有する
第三十一条【家庭の運営・婚姻における責任、国の家庭尊重保護の責務】
 (1)略
 (2)略
 (3)国は、家庭を尊重し、およびこれを保護するものとする
第三十四条【環境に関する権利および責務】
 (1)何人も、良好な環境を享受する権利を有するとともに、良好な環境を保持し、かつわれわれに続く世代にそれを引き継いでいく責務を負う
 (2)国は、良好な環境の維持および改善に努めるものとする
第四十四条【国家防衛の責務】
 国民は、国家を防衛する責務を負う
第四十五条【国家緊急事態下における協力の責務】
 すべて国民は、第八十八条に規定される国家緊急事態が宣言された場合には、内閣の命令に従い、内閣の活動に協力する責務を負う
 
■第五章 統治権
第四十七条【統治の正当性】
 国家統治に関するすべての権力は、国民に由来する
 
■第六章 国会
第五十条【国会の構成】
 国会は、国民によって直接に選挙された議員よりなる単一の院をもってこれを構成する
 
■第七章 内閣
第八十八条【国家緊急事態】
 (1)内閣総理大臣は、国家の独立と安全保障、又は国民の生活、身体もしくは財産に切迫した影響を及ぼす緊急事態が発生した場合において、国家緊急事態を宣言し、必要に応じて緊急命令を発することができる。ただし、緊急命令には、期限を付さなければならない
 (2)略
 (3)略
 
■第九章 憲法裁判所
第九十七条【憲法裁判所の地位、法令審査権】
 (1)憲法裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する
 (2)略
 (3)略
 
■第十一章 地方自治
第百十八条【国家緊急事態下における地方自治】
 第八十八条に規定される国家緊急事態が宣言された場合、法律の定めるところにより、地方公共団体は、その権限を停止し、内閣の直接の指揮の下に入るものとする
 
■第十二章 改正
第百十九条【憲法改正の手続、憲法改正の制限】
 (1)憲法改正案の提出は、国会の在籍議員数の三分の一以上の議員、又は内閣がこれを行う
 (2)この憲法の改正は、国会において在籍議員の三分の二以上の出席の上で、出席議員の三分の二以上の賛成による可決を必要とする
 (3)前項の場合の他、この憲法の改正は、国会において在籍議員の三分の二以上の出席の上で、出席議員の過半数により、国会がこれを発議することができる。この場合、特別の国民投票、又は国会の定める選挙の際に行われる国民投票において、有効投票の過半数の賛成を必要とする
 (4)略
 (5)略


 
 
 
 
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