衆院憲法調査会は三十日午前、参考人として東京都の石原慎太郎知事を招き、「二十一世紀の日本のあるべき姿」について、意見聴取と質疑を行った。この中で、石原氏は現行憲法について「日本人の自立性、自主性はほとんど加味されていない」と批判、国会は「現行憲法否定」の意思表示を行い、具体的な改正論議を始めるべきだとの考えを示した。
石原氏は「二十一世紀の日本の在り方を考えるため、国家の基本法である憲法について意見を述べあい、必要なら手直しもし、抜本的に物事を変えるということは、国民のためになすべき大切な仕事だ」と述べ、憲法改正論議を本格化すべきだとの考えを強調。
そのうえで、現行憲法については「歴史的にどういう条件で規制され、現出したかということを冷静に分析する必要がある」と指摘、「日本はポツダム宣言を受け入れ、憲法は米国のイニシアチブで作成された」として、制定段階で日本国民の意思は反映されていないとの見解を示した。
改正に向けた取り組みとしては「国会は歴史を踏まえて、まず憲法を否定することだ」とし、「否定するのは内閣不信任案と同じで、過半数があったら通る。改正手続きをとるのではなく、まず否定したうえでどこを残し、どこを直すかという議論を始めたらいい」と述べた。
また、質疑では首相公選制について「妥当な方法だ。内閣法は首相が閣議を招集するだけの法律で、手続きにおぼれ、政治家が自分で手かせ足かせをはめている」と、賛意を表明。今国会での採決が見送られた永住外国人地方参政権付与法案については「反対だ。ただ、長期在住の外国人の権利、義務は参政権でない形にせよ、きちんとすべきだ」と述べ、永住外国人に対しては地方参政権ではない形で、必要な権利を認めていけばよいとの考えを示した。
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