産経新聞社は三日の憲法記念日を前に、憲法問題に関する全国世論調査を行った。その結果、全体の約半数にあたる四七・四%の人が「憲法を改正すべきだ」との考えを示した。改正を求める理由として七割以上の人が「現状にあわなくなった」と答えるなど、「制度疲労」に陥った日本の政治・社会システムを抜本改革するために、憲法改正は不可欠だとする意識が広がりつつある実態が明らかになった。さらに、国会に憲法調査会を設置する問題についても、六六・八%が「設置すべきだ」と回答。国政レベルで憲法論議を深めるべきだとの認識が深まっていることが分かった。(2面に「主張」、2、3面に関連記事)
現行憲法の改正については、「改正すべきだ」(四七・四%)が「すべきでない」(二〇・八%)を大きく上回った。「改正すべきだ」と回答した人を年代別に見ると、二十歳代で五八%、三十歳代では五〇%と、それぞれ半数を超えており、若い世代が憲法改正に積極的なことも明らかになった。男女別では、男性(五一・二%)に対して、女性は四三・六%とやや慎重だった。
「改正すべきだ」と回答した人に、その理由を尋ねた結果、「現状にあわなくなっているから」(七一・七%)が多数を占め、「国際的に通じないから」(一七・七%)と合わせて全体の九割近くを占めた。これに対して「押し付けられた憲法だから」は八・九%にすぎなかった。
現行憲法のどの部分を改正すべきかについては、二院制など国会に関する規定を見直すべきだとした人が二八・三%と最も多く、「第九条」の見直しを挙げた人(二七・四%)を上回った。
憲法制定時には概念として存在していなかった「環境権」についても、一五・二%が改正項目に挙げた。こうしたことから、現状の政治システムの改革や、社会環境の変化への対応を憲法に求める「現実的改憲派」が増えていることが浮き彫りになった。
一方、国旗・国歌の法制化については、日の丸で七一・六%、君が代では五六%と、ともに過半数を超える人が「賛成」と回答した。ただ、学校での義務づけについては、「賛成」(四七・四%)に対し、「反対」も三五・四%に達し、特に二十歳代では半数以上の五五%が「反対」と答えた。
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