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1996/06/12 産経新聞朝刊
米の憲法学者 「9条のため責任果たせず」 日本の改憲呼びかけ
 
 【ワシントン11日=古森義久】米国の憲法学者が十一日、日本は憲法第九条により国際的責任を正常に果たせないようになっていると指摘し、米国側として日本の改憲を促すことを訴える論文を発表した。同論文は日本を押さえ込むために米国が作った日本国憲法はその歴史的使命をすでに終えたとして、日本がアジアで中国や北朝鮮の冒険主義の危険を防ぎ、国連安保理常任理事国として機能するためにも憲法改正が不可欠だと主張している。米側の識者が日本の改憲を正面から訴えるというケースはきわめて珍しい。
 憲法学者でレーガン政権の司法副次官を務めたブルース・ファイン氏は同日のワシントン・タイムズへの寄稿論文で「日本の国際的成人?」と題し、日本が強大な経済パワーを有しながら、それに当然ともなうべき国際的責任を拒んでいるのは憲法第九条のためだ、と論じた。
 同論文は第九条が「自己破滅的」だとして、その理由を「同条項は『正義と秩序を基調とする国際平和』を大目的としているが、現実の世界では一方の戦争や武力の放棄は他方の侵略への誘惑となる」と説明し、イラクのクウェート侵攻の際に世界の各国が日本の憲法第九条どおりに対応すれば、フセイン大統領が最も利益を得るとともに、日本が憲法の大目的とする正義に基づく国際平和も破壊された、と述べている。
 同論文はさらに第九条が禁じる「武力の威嚇」こそ東西冷戦中に米国がソ連の侵略を抑止し、ソ連共産主義体制の崩壊をもたらした最大の要因だと述べ、日本はその一方、冷戦中、「米国の日本国憲法第九条違反(の武力の威嚇)により保護され、繁栄してきた」と皮肉っている。
 また、同論文は日本国憲法が戦後、日本の軍国主義復活の阻止などのために米国により作成されたが、もうその歴史的使命は終わったとして、米国のアジアからの軍事撤退が長期には不可避のため、日本がやがては米国に代わってアジア安定の軍事的役割を引き受けるべきだと論じている。
 同論文は具体的には第九条の破棄という形での憲法改正を唱え、同盟パートナーとしての米国も日本の改憲を促すべきだと主張する一方、その効用として日本が(1)アジアでの将来の中国、ロシア、北朝鮮の軍事的冒険主義を抑止できる(2)国連安保理の常任理事国として正常に機能し、平和維持活動に大幅に貢献できる(3)国際紛争に対しこれまでの傍観者ではなく、場合によっては軍事的代償を払わねばならない潜在当事者の立場になれば、より慎重で責任ある言動をとるようになる−ことをあげている。


 
 
 
 
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