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2章 研究成果の内容
1. 実船搭載型舶用推進プラント(SMGT2)の設計・製作
1.1 ガスジェネレータモジュールの設計・製作
 
 SMGT2では基本的にはSMGTのV型ガスジェネレータモジュールの成果を引き継ぐこととした。しかし、SMGTの陸上試験において改良すべき項目については、改良変更を行って適用することとした。
 
(1)ガスジェネレータの設計
(1)軸受け
 SMGTではガスジェネレータロータの軸受として転がり軸受を採用した。このうちタービン側のNO.2軸受け(円筒コロ軸受)は構造上、軸受周囲温度が高温となり、運転中の軸受け部分の温度上昇による熱膨張の影響で、軸受けの内外輪とコロの隙間(軸受け内隙間)の変化が大きくなる(図1.1−1参照)。このためSMGT2では信頼性を重視し、NO.1軸受け、NO.2軸受けともに急負荷変動等のいろいろな運転状況においても影響を受けにくい滑り軸受に変更することにした。
 計画図を図1.1−2に示す。軸受はティルティングパッド式を採用し、NO.1軸受け側はスラスト軸受けとジャーナル軸受け、NO.2軸受け側はジャーナル軸受けとした。滑り軸受の取付に必要なスペースは転がり軸受と大きくは変わらないため、基本的な全体構造を変更する必要は無かったが、軸受の変更に伴いガスジェネレータシャフトやディスク及び軸受廻りの静止部品の設計変更を実施した。
 滑り軸受を適用したロータの軸振動解析を行い検討した結果、運転中に振動の問題は生じないものと考えられる。
 
(2)軸流圧縮機
 SMGT2にはSMGT陸上試験で実績を積んだV型軸流圧縮機を用いる。SMGTにおいて海洋環境を考慮して、防食試験を行い、圧縮機部品に適した防食技術の研究を実施した。特に、デミスタ故障時に塩水粒子を大量に含んだ吸気に晒されるエンジン吸い込み空気流路面に対しては、防食強化が不可欠である。SMGTでは実験機において動翼、静翼、ディスクには防食技術を適用したが、ケーシング側への防食コーティングは適用できなかった。そこで、SMGT2用軸流圧縮機にはSMGT防食技術の研究成果をもとに防食処理を施工した。
 
(2)ガスジェネレータの製作
 ガスジェネレータは前述の変更部以外はSMGTと同じ部品の製作を行った。また、SMGT2は最初にパワータービンモジュールや熱交換器の作動確認試験や慣らし運転等を行う必要があるため、最初は軸受けについては従来通りの転がり軸受けを使用することとした。
 
(改良項目)
(1)滑り軸受け
 滑り軸受けは平成15年度に軸受本体及び周辺部品の詳細設計と製作を実施して試験機に組込み、耐久試験に供試する。
 
(2)防食コーティング
 SMGTでは圧縮機ケーシングおよびベルマウスについては外表面のみに耐熱塗装を施工していたが、内面の空気流路面には防食処理を行っていなかった。そこでSMGT2では防食コーティングを流路面および外表面に施工した。コンプレッサケーシングについてコーティング改良前後の比較写真を図1.1−31.1−6に示す。
 
図1.1−1 No.2軸受け概要
 
SMGTの構造図
 
No2軸受部 拡大図
(円筒コロ軸受け)
 
No2軸受部 滑り軸受け
 
図1.1−2 SMGT2ガスジェネレータ計画図







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