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はじめに
授業に和楽器を導入するために
 新学習指導要領をきっかけに、「教育」「和楽器」「体験型学習」への関心が高まっています。(社)日本芸能実演家団体協議会(芸団協)では、日本財団の助成を得て、平成12年(2000)度から3年にわたって「学校に伝統文化を」と題する啓発交流事業を実施してきました。
 この事業を通じて、ジャンルを問わず、実演家が学校と協働できる環境をつくり、多彩なニーズに応えられる人材を育成し、広い領域にわたって質の高いプログラムを提供することが不可欠だと考えるに至りました。
 この小冊子で紹介するアンケート結果(6p〜15p)からも、学校の先生と実演家との間では、それぞれに立場や考え方に大きな相違があることはもちろんですが、両者だけでは解決しにくい課題が多いことも浮き彫りになっています。
 しかし、あくまでも、主役は子どもたち。子どもたちがナマの芸能に触れて感性を刺激されたり、創造する力を育むことができるような環境を整えることこそ、私たち大人の役割ではないでしょうか。
 その第一歩として、私たちは、実演家と先生とが協働しながら実現できる和楽器を活用した授業プランを提案したいと思います。
 
※私たちの「提案」へのご意見ならびに本冊子の感想などを、芸団協・芸能文化情報センターにEメールでお送りください。
 
  アドレスは infope@geidankyo.or.jpです。
提案
授業プラン
先生と実演家による「和楽器」授業の試み
 芸団協では、平成14年(2002)度に先生・実演家・コーディネーター(芸団協)からなる検討会を発足させ、学校で実演家の協力を得て行う「和楽器を用いた創作授業モデル」の構築に取り組みました。そこからでき上がったプランを都内の3つの中学校で検証する授業も実施しました。
 平成15年(2003)度からは、このモデル授業に取り組む意欲のある先生を公募し、複数の中学校で実施して、内容の充実をはかるとともに、教育現場に関わることができる実演家の拡充も目指します。
 
準備
芸団協+先生+実演家
プランニング
・・・
題材の設定
研修(鑑賞)
・・・
実演家の演奏などを鑑賞して概要を理解
研修(実技)
・・・
指導する先生が自ら演奏などを学習
検証
・・・
実技の結果を元に、生徒に指導する内容を確認
指導計画
・・・
学習指導内容、方法などを確定
授業計画
・・・
実際の授業時の担当、割り振りなどを決定
 
事前学習
1〜2校時
先生+生徒
鑑賞
・・・
ビデオ、CDなどで題材の鑑賞をする
基礎学習
・・・
題材の概要、楽器などの基礎知識を学ぶ
応用学習(1)
・・・
題材を通して和楽器の歴史や文化などを調べる
応用学習(2)
・・・
新しい連動を考える(自作の和歌を謡にするなど)
模擬稽古
・・・
グループ、役割を決めてイメージをつくる
 
お囃子と謡に挑戦!
小平市立小平第五中学校
 
長唄を創ろう
江戸川区立瑞江中学校
実演家と創作
2校時
生徒+実演家+先生+芸団協
創作体験学習
・・・
応用学習を元に、楽器や声を使って実際に演奏してみる
実技指導(1)
・・・
役割ごとに演奏し、記録をつける
実技指導(2)
・・・
実演家の指導下で、グループごとに合わせる
実技指導(3)
・・・
実演家の模範演奏から学ぶ
発表
・・・
成果を確認する演奏をし、感想を発表する
 
評価・振返り
先生+実演家+芸団協
先生から授業を終えての報告
 
(生徒の感想シートの発表も)
実演家による指導を終えての感想
芸団協スタッフによる課題の整理
三者による総合評価と今後に向けての話し合い







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