■ ツチガエル (Rana rugosa)
全身にごつごつとしたイボのあるカエルで、イボガエルと呼ばれることもあります。捕まえると青臭いいやな臭いを出します。体の長さは♂30−40mm、♀35−50mm程度。指には吸盤はなく、先端が細くなっています。後足の指の間に発達した水かきを持ちます。体色はまさに土色です。お腹にはまだら模様があります。
生態:水辺からあまり離れることなく暮らしています。比較的きれいでしかも少し流れのある水辺を好む傾向にあります。雄は岸や水の中で「ギュー、ギュー」という声で鳴きます。オタマジャクシは、年内に変態せず、越冬することもあります。土地改良、河川改修によるU字溝や三面護岸などにともなって産卵場所がなくなったり、強い農薬を使われたことで生息数が減ってきています。
分布域:北海道の一部(人為分布)、本州、四国、九州。
■ ヌマガエル (Rana limnocharis)
日本産のカエルでは唯一、本州と奄美・沖縄諸島の両方に分布している手足の短いカエルです。体長は♂29−45mm、♀32−54mm。吸盤は持たず後足の水かきはツチガエルよりも小さくなっています。背中に縦長の線状の隆起がまばらにありますがツチガエルのようにイボだらけではありません。体色は茶褐色から黄土色まで変異があり、お腹は真っ白です。
生態:水辺から離れずに生活しています。雄は水田の畦や草陰に隠れるようにして鳴きます。場所によっては、道路の側溝でも鳴いています。雌は数回に分けて水草などに付着させるように産卵します。土地改良、河川改修によるU字溝や三面護岸などにともなって産卵場所がなくなったり、強い農薬を使われたことで生息数が減ってきています。
分布域:静岡県以西の本州、四国、九州、奄美大島の各諸島。台湾や中国、東南アジアにも分布。最近横浜市や千葉市、栃木県などに人為分布を広げている。
■ アズマヒキガエル (Bufo japonicus formosus)
岐阜県より東はすべてアズマヒキガエル。また、岐阜県より西でも北緯35度より北(例えば鳥取平野など中国地方の日本海側)であればアズマヒキガエル。
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日本固有のヒキガエルで西日本に棲むニホンヒキガエルとは亜種関係にあります。体の長さは♂43−161mm、♀63−162mmで体色は変異がありますが、おおむね茶褐色から黒褐色で、体の側面に白色および黒色の帯状不規則な模様が見られます。背中には円形の突起状の隆起(イボ)が多数見られ、特に鼓膜の上には耳腺と呼ばれるやや大きい縦長のイボを持ちます。このイボから毒液を分泌します。
生態:活動するのは、おもに夜間ですが、雨の日には昼間でも姿を現すことがあります。餌は、昆虫類・ムカデ類・ミミズ類など。繁殖が始まる時期は、地域や高度により異なりますが、おおむね2月から4月ごろです。
分布域:本州の近畿以北、北海道函館周辺、佐渡島、伊豆諸島 (移入)。
■ ニホンヒキガエル (Bufo japonicus japonicus)
東日本に生息するアズマヒキガエルとは亜種関係で、西日本に分布します。外見はアズマヒキガエルとあまり違いはありません。本種の方が鼓膜が小さく目から離れていることで識別できます。なお、本種が基亜種なので、種として呼ぶときはニホンヒキガエル(Bufo japonicus)となります。
生態:アズマヒキガエルの項を参照。
分布域:本州の近畿以西、四国、九州、周辺の島々。
■ ウシガエル (Rana catesbeiana)
アメリカ合衆国の原産の帰化種で、食用蛙として大正時代から何度か国内に持ち込まれたものが野生化しました。日本ではもっとも大きなカエルです。体長♂111−178mm♀120−183mmでがっしりした格好をしています。後足の水かきは、指の先端まで達しています。鼓膜が大きく、直径は目よりも大きくなります。体色は緑色で、背中に黒い斑点が散在しています。
生態:基本的に水辺から離れることはありません。ただ、汚れた水でも平気なようです。手当たり次第何でも食べる習性があり、幼体から成体まで他のカエルを捕食し生態系に悪影響を与えています。繁殖期は、4月から6月頃、雄が池の中でテリトリーをつくって鳴きます。「ブオーン、ブオーン」という鳴き声はとてつもなく大きく、夜には100mくらい離れていても聞こえるほどです。
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*この図版の版権は仙台市科学館岩渕成紀にあります。他に転用、転載する場合は岩渕までご一報ください。
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