2日目
第3分科会
「これからどうなる、どうする地域家族会」
〜支えあう力の可能性〜
愛知 安城市保健福祉部障害援護課
援護係長 酒井明子
「市町村の取り組み・家族会に望むこと」
安城市は愛知県のほぼ中央に位置し昭和27年5月5日、県下13番目の市として誕生しました。以来、農、工、商、調和の取れたまちづくりを進め、今では平成14年4月1日現在、人口163,963人で、県下7番目の都市として成長を続けており、今年市制50周年を迎えています。
新幹線三河安城駅が昭和63年3月に開業しました。西三河の玄関口にふさわしい街づくりのため新しい都市機能に対応する“うるおいと活力にみちた創造性あふれる街”を理想像に、心のふれあう街づくりを進めています。
精神障害者の方の実態把握困難でありますが、市で確認できる人数は通院医療の公費負担受給者数366人、入院医療費の受給者95人、手帳交付者259人です。
安城保健所の主催する精神障害者家族教室で昭和60年ごろ家族会の結成の話が出始めましたが、メンバーも必要性は理解できていても会の結成への意欲が活発にならないまま数年が経過した。その間に他市の家族会が続々と結成され、これ以上伸ばすことができないと決心され、平成7年9月保健所の精神保健福祉相談員のアドバイスにより家族会発足準備会を立ち上げ家族の有志3名が参加して学習会、他市の家族会との交流会を重ねるとともに会員への加入の勧奨などの活動を行いました。この努力が報われ平成8年1月30日に「ぶなの木会」が、会員12人で発足されました。会の目的に従い会員が互いに理解し協力しあい、当事者が地域社会で正しく理解され社会復帰が速やかに行われるよう、かつ医療、福祉の増進が図られるよう運営されました。
保健所の生活教室参加者より毎日通えるところが欲しいと要望がなされ、これを受け会の活動が小規模保護作業所の開所に向けての活動が中心となりました。
家族会が作業所の見学を始め、機関誌の発行、自主製品づくりと活動が進むにつれて作業所の場所探しを行いました。役員の努力が実り家族会の縁者の借家を持ち主の理解で快く借り受けることができ、町内会及び民生委員等地域の理解も得られ、会員による軽作業が開始されました。作業所製品の販売を施設(デンパーク)、健康フェスティバル、福祉まつりの場を設けて紹介しました。保健所、市内の精神科病院のケースワーカーの指導により通所説明会が行われ、平成9年当初から週2日作業を開始しました。
作業所は、保健所が主催した養成講座を受講した有志の集まりである精神障害者の支援ボランティアグループ「輪々」が支援しました。
市の職員としては、精神障害者による問題行動に対しての相談は受けていましたが、ほとんど電話相談が主体でした。子供の育児の相談を通しての関わり以外は保健所への紹介が主な仕事でした。
作業所の開設に向けての関わりと補助金の申請に関する事務で初めて家族会と知り合う状態でした。このことを機会に保健所の生活教室の参加、市の健康フェスティバルへの参加等知り合うことが多くなりました。精神障害者家族の方の相談も受け、本人はもとより家族の方も閉じこもった生活をして見えたことが印象的でしたが、役員さんのバイタリティ溢れるお話に圧倒されたことを思い出します。
開所式の様子が役員さんの努力により市の広報や新聞に掲載され、会員と通所者が増える結果になりました。もっと嬉しかったのは、指導員のインタビューで場所が狭いことが報道されたことにより、店舗の空室を持っている方から貸し出しますと自主的に申し出があり、尚かつ部屋の改造費用も御負担いただけるとの話で現在の場所に移りました。これを公表するのには大変な決断がいったかと思いますがよい結果に恵まれました。
一方、横顔が掲載され会との関係を隣人に聞かれ困ったという苦言もありました。かなり前向きな面がみえていたが隠したい気持ちは変わっていないことが確認できました。
家族会の会員も当初12名でしたが、現在は30名とまだまだ少ないですが徐々に増えています。
偏見もありますので、なかなか積極的な広報活動ができないのが現状ですが、相談窓口が市町村になり保健所のように生活教室、家族会の活動支援という知り合う機会や相談場所も少ない中でどのような対象にどの時点で勧奨するべきか医療機関及び保健所と相談をしながら進めていきたいと思います。
市では手帳の申請と交付、通院医療の公費負担の申請と患者票の交付と在宅福祉サービスと斡旋調整をすることになっておりますが、医療機関、保健所での相談が中心であります。ホームヘルプ事業も立ち上がったばかりの状態でありグループホーム、ショートステイの利用が数名ずつあります。市役所の相談ではプライバシーに配慮した場所もないため、相談場所を確保する必要性があります。何時でも、誰でも利用しやすく気軽に相談できる場所を確保するとともに経験豊富な人材の配置を検討したいと思います。
今後は、保健所と連携を密にして会の活動が地域社会に理解されるように支援をしていかなければならないと考えています。
家族会が法人化に向けて活動を展開しておられ、会の計画に沿い市とし支援できることはしていきたいと考えています。作業所が生涯の通所施設ではなく、社会復帰の一歩となり社会へ羽ばたいていただけるように見守っていきたいと思います。
山梨 ももの花作業所
梶原 公彦
「障害者文化展と介護施設で思ったこと」
―家族と地域家族会に望むこと―
(1)本人の気持ち
「こんな病気の自分にも、できること、他人にしてあげられることが有る」という自信(おもい)を持ちたい、人から認められたい。
(2)家族や作業所の指導員の発想
「どんな人であっても、何もできない人はいない、人間は、自らにできることを活かして、人と社会と関わって生きてゆくのが、望ましい。」
(3)本人への働きかけ
(1)能力と努力を発見し、肯定的な評価をすること、たとえ成果が上がらなくても、努力すること自体を評価する。
(2)苦手なことは強いずに、得意なことに着目して、「できることをして欲しい」という働きかけを行うとともに、それを活かせる場を考え、当てはめてあげる。
(4)働きかけの効果
「自分が人から信頼され、必要とされている人間である」との思いをいだくようになり、「こんな病気の自分にも、できること、他人にしてあげられることが有る」という自信(おもい)を持ち、自ら、それを活かし伸ばすことを心がけて生きる。
→生き甲斐を持つようになる
(5)家族と地域家族会に望むこと
山梨 八和会(石和保健所管内家族会)
会長 雨宮清昭
家族会は行政、病院、当事者との連携をもっと強め、家族に必要な情報を提供し、家族会に参加する動機づけが必要であると思います。
このためには、現状の活動を点検、評価して今後どのような動機づけが有効であるか、私の体験をもとに現在の思いを提言させていただきます。
1. 現在の病院、地域家族会とも新規加入の会員は少なく、会員は高齢化しており、ともすると役員の活動になっています。
2. 病院の家族会は従来の入院中心時の会員が多く、長期入院患者家族のため活動がマンネリ化し、現在の通院在宅治療、社会復帰施設でのリハビリ中の患者家族の多様なニーズに応えていないと思われます。
3. 地域家族会は保健所デイケア、作業所通所者の家族参加で、これ以上の患者の家族への保健福祉の情報伝達が一般住民への広報のみであるため行政としての当事者、家族の支援、家族会の育成という観点からは情報不足であると思われます。
4. 家族会活動参加のための動機づけとして病院家族会と地域家族会について次のことを提言します。
(1)病院家族会については病院の協力を得て初期入院家族との定例相談日を設定していただき、病気の知識と併せて家族会員の中から体験を伝えたり、退院し、社会復帰施設を利用している当事者を招き話を聞くなど、入院した家族に必要な情報交換の場として、また退院してからも家族会活動への参加の動機づけを行っていただきたいと思います。
(2)地域家族会については今年から市町村へ県の一部業務移管と新規に居宅生活支援事業が始まったことを契機に精神保健福祉制度を利用している患者、家族に対し制度の説明と利用者ニーズの把握の場を設けていただき、この中に家族会員の体験談や、既に試行したホームヘルプサービスや、グループホーム利用者を招き体験話しを聞く等の内容をもり込み家族の集いや、家族会に参加する動機づけを行っていただきたいと思います。
以上、今後の家族会活動を一歩前進するためには、行政、病院関係者と当事者の連携をより一層図る必要があると思います。
岐阜 ひかりの家共同作業所
所長 佐伯 悟
1. 作業所設立と家族会
2. 作業所設立後の家族会の状況
3. 今後の作業所運営についての家族会
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