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13. 糸口太鼓(いとぐちだいこ)
(大分県)
―プロフィール―
 糸口太鼓は大分県宇佐市にある知的障害者(児)施設 糸口学園の入所者で結成して今年で8年目になります。当園では、運営方針の中の特性を伸ばす支援の一環として『伸びる芽を育てよう』を合い言葉に文化活動として日本太鼓、スポーツ活動として陸上競技に取り組んでいます。
 学校からの下校後や作業終了後の余暇時間、休日を利用して練習に励み、汗だくになり、手にはマメが出来るまでの練習により、最初は小さかった太鼓の音も今では聴いて下さる方の身体に伝わるまでの力強い音が出せるようになりました。また、礼儀と集中力を重んじる練習の積み重ねにより、日常生活でも大きな声で挨拶や返事が出来るようになりました。
 発表する機会も年を追うごとに増え、多くの方からの励ましを受けることがメンバーの自信に繋がり、それぞれが楽しみながらも一曲一曲、心を込めて演奏し、明日への糧となるような音楽性を目指して活動を続けています。
 
演奏曲
糸口ばやし
 
出演者
代表者 平井 邦男
新納 康二 八木 智美
中野 友彰 小山田健一
木村 紘子 藤原 勇一
下原 政博 中井 考
長尾 蔦枝 福山 幸子
赤嶺 貴典 森田 浩司
矢野 和彦 糸山 美帆
相本雄一郎
 
―実践報告―
 糸口太鼓は、大分県宇佐市にある知的障害者(児)施設 糸口学園の利用者で結成して今年で8年目になります。当園では、運営方針の中の特性を伸ばす支援の一環として『伸びる芽を育てよう』を合い言葉に、文化活動としての日本太鼓・スポーツ活動として陸上活動に取り組んできました。
 地元では日本太鼓を利用した療育活動は当時から全く無く、太鼓の打ち方から利用者への指導方法について手探り状態での始まりでした。太鼓指導を行っている近隣の保育園で何度も夜間指導を受けたり、また、結成当時は太鼓が数基しかなく、練習はもっぱら裏山から切り出した竹を叩いての対応でした。年間の発表の場もほとんどなく、実績の無いままに数年が経過していきました。それでも施設長をはじめ多くの職員のサポートと、何より太鼓を始めた利用者一人ひとりの強い熱意に支えられて今日へと繋がってきたことを痛感します。太鼓の数も増え、今では参加する利用者全員が太鼓で練習が出来るようになりました。年間の公演回数も、平均15回前後にまでなってきました。
 三年前に高等部1年生で入所した女の子は、それまでの学校生活でのイジメから引きこもりの状態にありました。職員や回りの友人とのコミュニケーションも全く無く、言葉が聞かれない状況でした。そんな彼女が、唯一興味を示したのが太鼓でした。継続した取り組みと発表の場での大きな拍手が彼女に自信と勇気を与え、少しずつ会話もできるようになり、今では太鼓チームの副キャプテンとなって皆の中心的存在になっています。
 太鼓を通して、利用者の良い変化が見えています。礼儀や協調性、大きな声での挨拶、そこから将来の自立への取り組み。古来から伝承された日本太鼓で、利用者の大きな未来の扉を開いていきたいと思います。
 
14. はなだ太鼓(だいこ)
(長野県)
―プロフィール―
 はなだ太鼓は長野県の下諏訪町にある花田養護学校に通う児童、生徒及び教員で構成されています。メンバーは小学部2人、中学部4人、高等部5人、教員が9名、合計20名です。
 練習は、週1回体育館で行っています。全国障害者大会に出場経験のある諏訪聾太鼓の先生の指導のもとに、地元の諏訪大社お舟祭り、御柱祭、阪神大震災鎮魂太鼓などに参加し、交流しながら演奏してきました。メンバー全員太鼓の響きが大好きです。
 これからも、太鼓を楽しみながら続けていきたいと思います。打つ人も聴く人も元気の出る演奏をしていきます。
 
演奏曲
組曲花鼓
 
出演者
代表者 赤羽 昭二
竹内 一貴 亀田 裕文
井上 英明 望月 崇斗
高木 優子 今井 友陛
外所 利雄 矢島 滋
千野 憲一 窪田佳奈江
小野 恵子 三浦 純子
岡澤 由季 篠原 聡子
唐沢 朋子 小口 和久
 
―実践報告―
 みなさん、こんにちは。
 ぼくは、「はなだ太鼓」副打ち頭、亀田裕文です。
 「はなだ太鼓」は、長野県花田養護学校に通う児童・生徒、及び先生たちで構成されています。メンバーは、小学部2名、中学部4名、高等部5名、先生9名の合計20名です。
 練習は、週に1回、40分間「花田の時間」という、学校独自の活動の時間に、体育館で行っています。よく、地元の諏訪聾太鼓の赤羽先生が来てくれて、直接指導してくれるのがとても嬉しいです。
 今では、「はなだ太鼓」は、地元の諏訪大社、お舟祭り、御柱祭などで、地域の人たちと一緒にお祭りを盛り上げたり、阪神大震災鎮魂太鼓や、長野県障害者親睦交流フォーラムに参加して、県内の太鼓団体との交流を深めたりしてきました。
 このように、ぼくたちは、大好きな太鼓の演奏をたくさんの人に聴いてもらったり、また、他の団体の演奏を聴いて楽しんだりということを毎年行っています。
 しかし、年々メンバーの障害が、重く、幅広くなってきて、自分の力だけでは叩けない児童・生徒も増えてきました。ぼくたちは、太鼓の音やリズムを感じるのが大好きです。だから、先生たちに手伝ってもらって、全員が楽しめるように工夫しています。
 今回は、都合で出場が出来なかった「はなだ太鼓」のメンバーの変わりに、地元の諏訪聾太鼓の赤羽さん、小口さん、中島先生、篠原さんがぼくたちの演奏をサポートしてくれます。
 また、曲目は、「はなだ太鼓」オリジナルの「花鼓」と「勇駒」を、「組曲花鼓」という曲にアレンジして、練習してきました。
 ぼくたち、太鼓の音が大好きです。そして、ぼくたちの太鼓で、聴く人を元気にさせたいです。その気持ちを込めて、演奏したいと思います。
 どうぞお聞き下さい。







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