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7. 伊予三島(いよみしま)いわくら太鼓(だいこ)ろうあ部会(ぶかい)「鼓龍会(こりゅうかい)」
(愛媛県)
―プロフィール―
 「ろうあ者も頑張れば太鼓が打てるはず」そんな思いで昭和62年7月、耳の聞こえない仲間が集まりました。日本太鼓の勇壮な響きを何とか自分たちで表現したいと、伊予三島磐座太鼓保存会の指導を受け、3年間基礎練習を続け、平成2年5月、伊予三島福祉会館落成式にて、初舞台を踏みました。この様子は広く全国に紹介され、私たちの良い思い出となっています。
 その後、グループの名前を「いわくら太鼓ろうあ部会・鼓龍会」とし、県内外へ出掛けて太鼓を披露しています。
 私たち耳の聞こえない者にとって、音を合わせることは大変難しいことです。しかし、私たちは目で仲間のバチの動きを追い、身体で太鼓の響きを感じ取りながら音を合わせています。
 この太鼓の活動を通して、私たちの社会参加の機会が広がり、聴覚障害者に対する色々な意味での理解が深まることを願っています。
 
演奏曲
やまじ風の章
 
出演者
代表者 玉井 慶次
村上 章夫 石川 康丈
加地 保則 後藤 美紀
 
―実践報告―
 ろうあ部会がつくられたのは、昭和62年7月で、きっかけは磐座太鼓の演奏を見て興味を持ったメンバーが「ろうあ者も頑張れば太鼓が打てるはず」と仲間に呼びかけ、視野を広げようと、同じ松山ろう学校の卒業生が集まったのが始まりです。メンバー一人ひとりが太鼓に関心を持った理由には、松山ろう学校時代の寄宿舎生活で起床、食事などの時間を太鼓で合図していた、その思い出があることです。そして、地元愛媛県東予地方には、秋の祭りに太鼓台が町中を練り歩く勇壮な太鼓祭りがあり、耳が聞こえなくても、その身体全体に響いてくる太鼓の音に、子供の頃から親しんできたことなどがあげられます。天野流伊予三島磐座太鼓保存会の指導で3年間の基礎練習、一つ打ったら「ドーン」と音が伝わってくる、その響きが胸に伝わって気持ちがいい。本当にできるかなと思っていたが、想像以上に練習は厳しいものでした。やっと一人でできるようになっても全員の音がバラバラで合いません。そこで先生が私たちに分かるよう方法を色々工夫してくれました。それは、足を揃えて1・2・3・4、1・2・3・4と合わせて歩くことと、丸く円になり、相手が叩いているのを見て合わせるという練習です。それまで、本当に太鼓ができるか不安だったけれど、基礎ができるようになって自信がつきました。平成元年5月伊予三島福祉会館落成式でデビューしました。本番前、私たちは不安で胸がドキドキしていました。最後まで一生懸命に打って無事成功しました。それから、舞台に出る度に自信がつき、太鼓を打つのが本当に楽しくなりました。一つひとつ障害を乗り越えて、自信を持って社会で活動できるようにという気持ちを込めました。
 先生も聴覚障害者に太鼓を教えるのは初めてで、色々な苦労があったと思いますが、丁寧に親切に教えていただいて本当に感謝しています。
 これから、やる気になれば何でもできるという自信を持って、色々なことに挑戦したいと思います。
 
8. ファミリーユニット童鼓(どっこ)
(岐阜県)
―プロフィール―
 ファミリーユニット童鼓は、1996年9月に発足しました。
障害のある子供たちとその家族、8家族、22人で活動しています。
太鼓の練習を継続することにより子供たちは、いろいろな力を身に付けてきました。
それは、太鼓の技だけではなく、がんばれる力、集中力、そして人を思いやる心も育ってきています。
 たくさんの発表の場を経験する事により、もっと上手になりたいという向上心、やり遂げた達成感、それらすべてが子供たちの自信につながっていると思います。
 これからも、大好きな太鼓を叩きながら子供達と共に歩いて行きたいと思います。
 
演奏曲
本丸太鼓童鼓バージョン
輝け、未来へ
 
出演者
代表者 児島 和夫
奥村 千鶴 奥村 杏里
河田 厚子 河田 浩貴
河田梨佳子 児島 秀美
児島 康寛 児島 加奈
高橋 貴子 高橋 秀徳
中島 幸子 中島 寛文
渡辺 朋子 渡辺 史浩
渡辺みのり 宇野ひろみ
宇野 純平 内木 裕美
内木さゆり 内木 優志
 
―実践報告―
 岐阜市からまいりましたファミリーユニット童鼓です。
 第3回に続き、今回も打たせていただけることになり、たいへんうれしく思っています。
 私たちと和太鼓の出会い、それは平成6年10月高知県光の村養護学校の体育祭を見学させていただいたときのことです。澄んだ青空の下、打ち鳴らされた黒潮太鼓を、見聞きし、いままで経験したことのない、とても言葉では言い尽くすことの出来ない驚きと感動を覚えました。その感動は私たちに、子供たちにも太鼓を打たせてやりたいという思いとなり、平成8年9月、ファミリーユニット童鼓を結成、障害のある子供たちとその家族で活動をはじめ7年目になりました。練習をはじめると、子供たちはすぐに和太鼓に夢中になりました。子供たちがこんなに大好きな太鼓を長く続けていくにはどうしていったらいいか、私たちは絶えず考え、話し合い、太鼓の知識を学び、子供たちが一番良い姿を出せるようにと練習を重ねてきました。和太鼓の練習をするには音の問題等、難しい問題がたくさんあります。まして障害のある子供たちが練習を継続して演奏活動を続けられるというのも、周囲の理解が得られなければ継続していくことは出来ません。私たちの仲間と一緒に和太鼓を叩いていきたいという思い!そして、それを理解し応援して下さる方々に恵まれ今日も太鼓を打つことができます。
 今日も一生懸命打ちます。







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