日本財団 図書館


0220
川瀬衛士
 7月12日のセイルトレーニングでは、セイルはりや、マストのぼりをして、とてもよいけいけんができました。マストのぼりでは、木でしっかりできているさいしょの足場はかんたんだけれど、と中からロープにかわってしまう。そりかえっている所でふりかえってみたら、さっきまで水平線が見えていたのに、船のデッキが見えてきて、少しこわかったです。
 下りる時は、そりかえっている所では、足場がどこにあるのかまったくわからなくて、足をふみはずした時はすごくこわかったけれど、あとの所はらくでよかったです。
 セイルはりでは、「ツー・シックス・ヒーブ」のかけごえにあわせてひっぱる時に、まいかいタイミングをまちがえて、前の人のひじがあたっていたかったけれど、何回目かにうまくいってうれしかったです。
 船の中では、いろんなことがあったり、いろんな場所があった。その中で、ぼくの一番おちついたばしょはデッキです。デッキにねっころがると、あったかくてねむたくなるし、きもちがわるい時もねっころがっていれば、なんとなくきもちわるくなくなるから好きでした。
 こんなに楽しいことや、楽しい場所のいっぱいあるはん船『あこがれ』を、ぼくは好きになりました。
 だから、はん船『あこがれ』にのることができた三日間が、ぼくにとっていいおもいでになりました。
 ぼくには、うれしかったことが2つあります。ひとつめは、いろんな人としりあえたことです。ふたつめは、船のようごや、どんなことをやるかがわかったことです。はん船「あこがれ」に、またいつかのりたいです。
 
0220
藤巻春奈
苦しかったけどたのしかった!
 私が、この二泊三日の帆船の体験で一番大変だったのは、船の上にいることそのものでした。波は人間があやつることができないので、“いつもおだやか”とは言えません。船がぐらぐらして、さっき食べたばかりのご飯を全部もどしてしまった時もありました。「いつ天候が変わるか分からないのが、逆に海のおもしろいところじゃないかな」と思ったりもしました。
 楽しかったことは二つありました。
 一つ目は、マストに登ったことです。落ちそうで少し怖かったけれど、上に着いた時のながめや、達成感は最高でした。
 二つ目は、たくさん友達ができたことです。私と同じ年の子は、すごく少なかったから少し悲しかったけれど、高校生や、中学生の人達とたくさんお話しができて楽しかったです。手紙のやりとりをしている人もいます。ほう道人の人達とも仲良くできました。
 もっともっと、いろんな体験がしたくなりました。できたら、この経験をいかしていきたいです。
 
0220
名久井春日
(写真左)
セイルトレーニング体験記
 平成14年7月12日、帆船での二泊三日の旅が始まる。
 「船乗りになったつもりでがんばってきます。」そう言って、私たちは帆船『あこがれ』に乗船した。このセイルトレーニングをすることになったきっかけは一つ、母の一言だった。
 「この新聞にのっているセイルトレーニングに申し込んでみたら?」
 私はそれを聞いて、
 「帆船で二泊三日か。船酔いしそうだし、別にいい。」というふうな適当な返事をした。そんな会話をしてから一週間くらいたってからの母の一言には、本当におどろいた。
 「このあいだ言った帆船のあれ、申し込んでおいたから。」
 朝起きてからのねむたさが、ふっとんだ。
 「ええ一っ」
 私は、家族の中では一番乗り物酔いをする方だった。だから、船の中で三日も過ごさなければならないと思うと、母の勝手な行動には少々カッときた。
 「船に乗って三日もいるなんて、絶対に酔う。酔い止めも飲んだらだめなんでしょう。」
 「でも、船の中では、ずっといろんなことをしているみたいだから酔わないわよ。」
 母のその言葉を聞いて、少々不安に思うところもあったが、ホッとした。
 そしてむかえた当日。『あこがれ』に乗船して話を聞いている時、上がったり、下がったりと船がゆれていて気分が悪かった。本当に大丈夫なのかなぁと不安になった。話が終わると、船が港を離れ始めた。
 「いってきまぁ〜す」と、みんなが見送りに来てくれた人達に向かって、元気よく手を振っていた。幸先良さそうに思われたが、それもほんの一瞬だった。
 ワッチごとに分かれて船内を案内してもらっている時のことだった。ちょうど、メスルームのことを説明してもらっている時に、ガタッ、ゴトッと船がゆれだした。ゆれだしたとたんに、とても気持ち悪くなった。すぐにメインデッキに出たが、その後も一向に良くならない。
 「ううっ、お母さんに騙されたぁ」と母を恨んだが、後の祭りだ。今さらそんな事を思っても仕方がない。そんなこんなで半日、ほとんど何もせずに過ごしてしまった。佐渡に着き、船のいかりがおろされた頃には、だいぶ船酔いが治まっていた。
 そして、楽しみにしていたマスト登りをすることになった。最初に、クルーの人とカメラマンの人達がマストに登っていった。「三点支持」という登り方を教えてもらい、自分の順番がきた。一見、簡単そうに見えたが、実際に登りはじめてみると、高くて怖かった。上に着いてからも、狭い足場に4、5人もいたために怖かったけれど、とても気持ちよかった。こうして、一日目は無事に終わった。
 迎えた二日日、朝からデッキの掃じだ。「ワッショイ、ワッショイ」と声をかけ合いながら、ヤシの実や石でデッキを磨いていく。掃じが終わり、朝食を食べた後はマスト登りだ。
 私は、昨日よりも一段高い場所に登ってみることにした。その場所に登ってみると、ビックリして、怖くなった。昨日と違って、足場はロープだけだったし、つかまる所も太い棒が一本あるだけだったからだ。でも、棒に体を乗せてみると、風がすごく気持ちよかったし、景色がきれいだった。そうして、船は佐渡を離れ、再び走り出した。
 その日は、昨日まで台風の影響で残っていた「うねり」もなくなり、体も慣れてきて全然酔わなかった。
 昼食を食べた後の、ワッチごとに分かれてやった運動会も楽しかった・・・が、運動会の途中で船がななめにかたむきはじめた。急いで帆をたたみ始めたが、次に大粒の雨が降りだしてきた。服がびしょびしょになった。船内へ戻った頃には、船が波にうたれて、昨日の倍くらいゆれていた。トレーニーズルームヘ戻ると、とても気分が悪くなった。私の寝ていた場所は船内の一番前だったので、どこよりもひどくゆれた。メスルームに集まる頃には、酔ってぐったりしていた。「ううっ、気持ち悪いよぉ」船酔いしないことが、こんなにもいいことだと思ったことはなかった。こうして、二日目のセイルトレーニングは終了した。
 その日の夜、やっと眠りについて何時間かたった頃、いきなり頭上からガタッ、ゴトゴトゴトといかりをおろした音がして、パッと目が覚めた。どうやら輪島に着いたらしい。「明日でこのセイルトレーニングも終わりか。もうちょっとやってみたかったなぁ。」そんなことを思いながら再び眠りについた。
 翌日、修了証をもらい、私の『あこがれ』での旅は終わった。船酔いしっばなしで、船乗りには全然近づけもしなかったけれど、この旅を通して私は少し変われたと思う。
 帆船『あこがれ』様、クルーの皆様、どうもありがとうございました。







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