ご挨拶
京都の音楽として伝承された、三味線・箏の音楽、即ち「地歌」「箏曲」は京都の風土の中で、京都の検校、あるいは音楽家により京言葉を使って作られ、伝統的な京都の文化に融合し、かつ京都の人々によって熟成された、きわめて独自の音楽です。
この音楽は、柳川流三味線・生田流箏曲、あるいは腕崎流胡弓として、私どもの先達の検校により伝承・保存され、社団法人京都當道会に継承されて今日に至っております。
一昨年より、柳川流三味線を主として用い、京都発祥の音楽を演奏し、伝承の意味を深く見つめ、かっ自己の足元を見直してまいりました。また、京都の皆様方に、楽器・音楽の認識を深め、親しんでいただくために、「柳川流三味線伝承・普及特別演奏会」を企画いたしました。
第1回 平成12年12月17日(日) 京都府民ホール(ALTI)
伝承の古式に従った、柳川三味線の演奏方法を示すことを企画
第2回 平成13年12月16日(日) 京都府民ホール(ALTI)
古式に従った前年度以外の演奏方法を示すことを企画。
演奏により一般の方に聞いていただくことも、伝承の一つと考えます。
第3回 平成14年12月8日(日) 京都府民ホール(ALTI)
今回は音曲演奏だけでなく、歴史的な経緯のある「柳川流三味線と京言葉との関係について」京都在住の、日本音楽研究者に研究・分析していただきます。柳川三味線に学問のライトをあて、伝承にその裏付けを加えることを目的として着手しました。その結果は、研究論文・研究レポートとして、広く公開いたします。
この3回にわたる開催に際しましては、「日本財団」の格別なご配慮をもって、助成を戴きました。私どもは日本財団の並々ならぬご援助のおかげをもちまして、柳川流三味線などの伝承・普及が定着し、私ども自身も自力を付けていただいたと考えています。有り難うございました。この学問の光を絶やすことなく、演奏の伝承・保存・普及の力と致しまして、今後の伝承・保存に励む所存でございます。
また、後になりましたが、京都府、京都府教育委員会、京都市、京都市教育委員会、および京都新聞社の長年のご支援を厚く感謝申し上げます。多くの団体のご支援を戴きましたお陰を持ちまして、柳川流についての認識を多くの方々に持っていただけるようなりましたことを感謝いたします。今回で日本財団の補助公演は終了いたしますが、柳川流三味線を主と致しました演奏会は、皆様方のご尽力により、伝承・保存の力をつけていただきました私どもの、主要な事業として継続させて頂きます。今後とも宜しくご支援お願い致しまして、私のご挨拶とさせていただきます。
平成14年12月吉日
社団法人 京都當道会
会長 津田道子
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