6. 国際会議開催
「児童の権利に関する条約」では「すべての児童は国籍を取得する権利を有する」『世界人権宣言』では『すべての人は、国籍を持つ権利を有する』とうたっている。つまり国籍を持つということは権利である。しかし国籍を確認できない子どもの相談は年々増え続け、今では問い合わせを含めると年間200ケース前後になる。そこで、当事業団では全国の児童相談所及び民間の外国人支援団体を対象に、それぞれが掌握している無国籍児・未就籍児・外国籍児について、アンケート用紙を郵送して回答を得た。この結果を踏まえて、児童相談所、児童養護施設、大学、厚生労働省、大使館、アジア太平洋地域の社会福祉機関、マスコミ等、特にこの問題に関わっている人や関心を持って欲しい人々に呼びかけ、2002年5月27日から30日まで東京のホテルグランドヒル市ケ谷に於いて「無国籍、未就籍、外国籍の子どもの基本的人権を守る」をテーマにアジア太平洋地域会議を開催した。27日の一般の人にも公開にして日本で初めて開いたこのテーマによる地域会議は、人々の関心を呼び、100名を越える参加者があった。
会議の参加者は、各方面に及んだ
様々な立場からパネリストによる説明があった
最初に元フィリピン政府社会福祉開発省長官レオンさん(代読)とフィリピン国際養子縁組委員会委員長ララヤさんから、日本に在住するフィリピン人女性とその子どもの問題について講演があり、その後、無国籍児の裁判として有名なアンデレちゃん事件の弁護士だった山田由紀子さんやフィリピン人社会の国籍問題に詳しい高畑幸さんから国籍取得の児童や在日外国人の持つ問題について話があり、さらに東京都の児童相談所の相談員冨田洋子さんから、児童相談所を通して児童の福祉施設に措置されている子どもの実態について説明があった。
5月28日から30日までは香港・タイ・フィリピン・韓国・オーストラリアから国際福祉の専門家が参加し、子どもの福祉について、特に無国籍、未就籍の子どもや、国際的な子どもの誘拐・売春問題について、その解決のために各国との協力体制を強めネットワークの強化が求められることを確認しあった。さらに日本以外の国における無国籍、未就籍、親に遺棄された外国籍の子どもの問題についての調査を行う必要性が確認された。
今後外国における無国籍児の問題と保護政策についても調査を行い、また、我が国の施設に入ってない無国籍あるいは未就籍の子どもをどのように発見して保護していくのか、さらに児童保護施設で無国籍、未就籍、外国籍のまま成人し施設を出た後、子どものケアをどこがしていくのか等について、専門家による研究が必要であるという認識を強めた。
フィリピン、韓国、タイの福祉専門家の参加者
アジア・太平洋地域の国際福祉専門家による検討会
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