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はしがき
1. 貿易手続簡易化特別委員会は、平成14年度の事業計画を「電子貿易手続における国際取引ルールの構築に関する調査・研究」という名称の下に、主として、次の2つの課題に取り組みました。第1は国連CEFACT/LG(法律関係グループ)の調査研究をフォローすること、及び第2は貿易手続簡易化と電子ビジネスに関する情調査研究を行うことです。
 
2. すでにご報告しておりますように、国連CEFACTは、UN/EDIFACTに基づく電子データ交換協定書の商業的使用を促進するために勧告第26号(1995年)を採択しましたが、その後のインターネットの普及と電子商取引プラットフォームの開発によって、EDIの他に、eメール、ウェブサイト、XMLなどによる電子商取引が広く行われるようになりましたので、新しい環境条件の下に使用される「モデル電子商取引協定書」(勧告第31号)を2000年に採択しました。さらにその後の技術進歩に伴って、国連CEFACTとOASIS(構造化情報標準促進団体)による共同イニシアティブは、ebXMLの技術仕様の標準化活動を推進してきました。
 
3. このような技術進歩に伴う環境変化に対応し、かつebXMLによるグローバルな電子ビジネスの調査研究に効率的に取組むため、国連CEFACTは、第8回総会で「UN/CEFACT常設作業グループの将来の構造と組織に関する提案」を承認し、組織改革を行いました。これまで6つあった常設作業グループが、(1)TBG(国際貿易・ビジネスプロセスグループ)、(2)ICG(情報コンテンツ管理グループ)、(3)ATG(応用技術グループ)、(4)TMG(技術・方法論グループ)および(5)LG(法律関係グループ)の5つに再編されました。これらのグループは、UN/CEFACTフォーラムという単一体の下に、同時に同じ場所で平行して会議を開催します。UN/CEFACTフォーラムは半年に1回開催される予定で、第1回は2002年9月に開催されました。各グループは、必要に応じて個別的に会議を招集することができます。従来の法律問題作業グループ(LWG)は法律問題グループ(LG)と改称され、国連CEFACTの全てのグループならびにプロジェクトを支援いたします。
 
4. さて、国連CEFACT/LGは、主として、前年度からの継続課題である「オンラインADR(ODR)」に関する勧告案」および「ebXML取引当事者間協定書(TPA)」の開発に取組みました。一年間に「ODRに関する勧告案」は数回にわたり改訂され、「オンライン裁判外紛争処理(ODR)に関する勧告案(Rev.12)」が最新版として発行されています。本特別委員会は、「ODRに関する勧告案」の検討を行うとともに、わが国およびEUにおけるADRとODRの現状と問題点について調査研究を実施しました。また、国連CEFACT/LGは、RosettaNet、EDIFICEおよびESIAと協同でebXMLによる電子商取引のための「モデル取引当事者間協定書(TPA)」の開発に取組みました。その最新版はTPA(Version2.00)です。本特別委員会は、本年度事業計画の一環として、ebXMLベースの電子ビジネスに関する技術的および契約・実務的側面の調査研究を行いました。
 
5. 一方、わが国の行政手続電子化においては、総合物流施策大綱、新総合物流施策大綱および国際物流改革プラン(塩川イニシアティブ)により、税関手続、港湾手続などのワンストップ化やシングルウインドウ化計画が着々と推進されています。特に、平成14年6月に「e-Japan重点計画―2002」が決定されて、税関手続申請システム(CuPES)を実施するほか、NACCSとJETRASの間、Sea-NACCS、港湾EDIシステム、検疫手続システムおよび乗員上陸許可支援システム間を、それぞれ相互に接続・連携するという具体策が示されました。他方、電子商取引の促進に当たっては、消費者保護対策の推進を図るとともに、取引に係る消費者紛争の防止および救済を図る措置を講ずるなど、消費者が安心して電子商取引を利用する環境を整備する必要があります。そこで、政府は2002年度中に、消費者向けの電子商取引に係るADRに関する実証実験を実施するとともに、個人情報の取扱いを巡る紛争等におけるADRの活用も視野に入れ、利用者の利便性に配慮したADRの運用体制に取組んでいます。本特別委員会は、わが国におけるこれらの行政手続および貿易関連業界の電算化動向について情報収集と調査研究を行いました。
 
6. 上記のように電子貿易取引の環境整備が急速に展開する中で、本報告書に収録した調査研究成果が、電子商取引の導入を考慮されている貿易関連業界の参考に些かでも寄与することができれば幸甚であると考えます。終わりになりましたが、日常業務に忙殺されているにも拘らず、貿易手続簡易化特別委員会の委員、オブザーバーおよび事務局の皆さんが、委員会の運営、資料作成、論文執筆等に献身的にご協力下さいましたことに対して心から感謝申し上げます。
 
平成15年3月
(財)日本貿易関係手続簡易化協会
貿易手続簡易化特別委員会
委員長 朝岡良平
 
平成14年度 貿易手続簡易化特別委員会
委員名簿
 
【委員】
 
委員長
朝岡 良平
早稲田大学名誉教授 商学博士
委員
飯田 隆夫
互興運輸株式会社 情報システム室 次長
 
塩野 和弘
株式会社損害保険ジャパン
 
 
海上業務部 事務管理グループリーダー
 
菅又 久直
財団法人日本情報処理開発協会
 
 
電子商取引推進協議会 主任研究員
 
水谷 伸
株式会社UFJ銀行 EC業務部 次長
 
早坂 剛
川崎汽船株式会社 総務・法務グループ
 
山内 靖雄
社団法人港湾物流情報システム協会 専務理事・事務局長
 
四方田 章光
住友商事株式会社 金融・物流事業部門
 
金融・物流総括部 部長付
 
【オブザーバー】
 
 
神戸 泰
財務省 関税局 業務課 調整係長
 
野戸 史郎
経済産業省 貿易経済協力局 貿易管理課 業務係長
 
八郷 潤一郎
国土交通省 総合政策局 情報管理部 情報企画課
 
 
情報セキュリティ対策企画官
 
上田 康弘
国土交通省 海上交通局 外航課 第一国際調整係長
 
田中 初穂
社団法人日本船主協会 関連業務部 課長
 
服部 平典
株式会社UFJ銀行 EC業務部 調査役
伊東 健治
財団法人日本貿易関係手続簡易化協会 理事
 
【事務局】
 
 
若松 浩
財団法人日本貿易関係手続簡易化協会 常務理事
荻野 茂樹
財団法人日本貿易関係手続簡易化協会 業務第二部長







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