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4.5.5.2 日化協委員会が提案した手順(ガス発生量→DSC判定)での危険度評価
 4.5.3 項で記した判定フローにしたがって判断した結果を表5に示す。本研究で評価した試料のガス発生量は、0.3L/g以上であり、判定1のみとなった。BをC以下と判定されたものはない。C以下をB以上と判定したものは、10種類の化合物があった。
 
表5 判定結果
試料
No.
Sample Q×PH
/(Tp-To) 
ガス
発生量 
判定結果  国連
ランク
6.1法 6.2法
1 ベンゾイルパーオキシド(75%) 443 0.31 B B C
ベンゾイルパーオキシド(99%) 676 0.42 B B B
2 t-ブチルパーオキシベンゾエイト 330 0.58 B B C
339   B B C
3 2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル) 123 0.72 C B D
4 2,2'-アゾビス(イソブチロニトリル) 495 0.68 B B C
5 アゾジカルボンアミド 14213 0.77 B B B
6 2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル) 799 0.70 B B D
7 ベンゼンスルホニルヒドラジド 343 0.52 B B D
8 アゾベンゼン 160 0.43 C B  
9 4-ニトロソフェノール(60%) 69 0.50 C B D
10 1-ジアゾ-2-ナフトール-4-スルホン酸 1077 0.43 B B D
11 2-ジアゾ-1-ナフトール-5-スルホン酸ナトリウム 498 0.39 B B D
12 NAC-4 572 0.41 B B C
466   B B C
13 NAC-5 393 0.41 B B C
359   B B C
14 4NT-350 263 0.41 C B C
194   C B C
15 4NT-38P 263 0.41 C B C
180   C B C
16 ジ-t-ブチルパーオキシド 151 0.84 C B E
17 1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキシド 305 0.84 B B B
18 1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン 342 0.78 B B B
19 ラウロイルパーオキシド 172 0.76 C B D
20 キュメンハイドロパーオキシド(80wt%) 716 0.47 B B E
21 ジイソプロピルパーオキシジカーボネート 3243 0.71 B B B
22 ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート 440 0.71 B B C
23 t-ブチルパーオキシアセテート(73%) 544 0.55 B B C
24 t-ブチルパーオキシ 2-エチルヘキサノエイト 280 0.73 C B C
25 メチルエチルケトンパーオキシド 951 1.24 B B B
26 α,α'-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン 204 0.75 C B D
27 2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン 343 0.81 B B D
 
4.5.5.3 新たな評価手順(DSC→ガス発生量判定)の提案
 国連の危険物輸送試験では、初めにDSC試験を行い、その発熱量が300J/gであれば、それ以降の試験を行うことになり、DSCの判定を先に行う方が評価法としては、簡素化できると考え、図7に示す判定フローで危険度等級BとC以下の分類を試みた。その結果も表5に示した。
(1)Q×PH/(Tp-To)が300以上であれば無条件で危険等級B以上と判定される。
(2)300未満であれば、発生ガス量を算出する。300未満と判定された10試料は、ガス発生量を計算すると、0.3L/g以上であり、危険等級B以上と判断された。
 
 
図7 判定フロー
4.5.6 結言
 
4.5.6.1 成果の概要
 自己反応性物質と有機過酸化物の危険等級の「B以上」と「C以下」の簡易スクリーニング法について、調査研究を行ってきた。
 その結果、DSCデータとCHETAHから算出したガス発生量をもとに、図7に示したで判定フローで「危険度B以上」と「危険等級C以下」の判別が基本的には可能であることを確認できた。但し、ガス発生量の限界値に関しては、これまでの調査資料からもう少し高い値にした方がよいと思われる。
 
4.5.6.2 今後の課題
(1)今回は所有しているセイコーインスツルメンツ社製の装置を使用したが、今後は他の装置でも判定値の再現性が得られるかを検討する。
(2)ガス発生量の限界値の見直しをMCPVT圧力容器試験のデータと対比が必要である。
 

<参考資料>
(1)「化学プロセス安全ハンドブック」田村昌三 編(朝倉書店)
(2)「自己反応性物質の航空輸送に係る安全対策に関する調査報告書(H12.3)」社団法人 日本化学工業協会







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