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三 藍カフェ&ギャラリー
藍カフェ&ギャラリーの活動
藍カフェ&ギャラリーは藍工房の第二作業所として、一九九六年(平成八年)四月、世田谷区三軒茶屋にオープンした。八十六平米の室内には、その名のとおり喫茶スペースとギャラリースペースが設けられている。
店内は落着いた雰囲気で、藍工房で作られた藍染め製品や、メンバーたちが描いた絵画などが展示されている。喫茶スペースではチーズケーキやシフォンケーキなど各種ケーキセットのほか、ボリュームのある日替わりランチも提供されている。この日替わりランチは旬の素材を使い、季節ごとにメニューが入れ替わるようになっている。
また、ギャラリースペースは貸しギャラリーとなっており、一週間単位で展示会など各種催しを受け付けている。これまでにも、写真展、書の展示会、ポシャギ(韓国の古布のパッチワーク)の展示会など、様々な催しが行なわれている。
営業時間は喫茶、ギャラリーとも午前十時から午後五時まで。土・日・祝日が定休日となっているが、ギャラリー開催中は土・日も営業している。
鎌倉旅行、小田急新宿駅にて
利用者の活動
登録者は現在二十二名。年令層は三十代が多い。利用対象は精神障害者。
藍カフェ&ギャラリーは発足当初から、より一般就労に近い形での運営が目指されており、その点利用者にはある程度の能力の高さが要求される。
作業内容は、接客、調理、洗い物が中心で、買い物や閉店業務(片付け)など喫茶に関わるすべての業務が作業となっている。利用者は男性が多く、男性十四名に対し、女性が八名と少ない。
シフトは個々の能力に合わせて組まれ、最も多い人で週五日(一日七時間)となっているが、平均的には週二日(一日三時間)という人が多い。
工賃は時給で計算されるが、時給額はその月ごとの売上額によって毎月変動する。
利用者はそれぞれの能力に合わせ、スタッフ、ボランティアのサポートを受けながら、それぞれの自己実現のため日々作業を行なっている。
また、藍カフェ&ギャラリーでは、作業だけでなく様々な行事も行なわれている。
これまでに行なわれた行事としては、お花見、ピクニックなどがあり、旅行などに出掛けたりもしている。こうした行事は月に一度行なわれる定例会で立案、計画がなされる。
この定例会は利用者によって運営されており、こうした行事計画のほか、毎日の業務内容やランチのメニュー、サービスの仕方などいろいろなことが話し合われている。
家族会については藍工房・精神部と合同で行なわれており、内容は藍工房・精神部の項で述べた通りである。
○入所条件
(1)地域保健婦、またはケースワーカーからの紹介であること。
(2)担当医の承認があり、紹介状を持参出来ること。
(3)東京都内に在住であること。
見学は随時受付中。見学・面接のあと、一ヵ月の仮入所期間を経て入所となる。
土屋さんのオムライス
料理ライター志望 岩谷啓史(メンバー)
過去、藍カフェのスタッフでいらした土屋朋子さんのことをお話したいと思います。
平成十年の九月二十一日、料理ライター志望のぼくは藍カフェ&ギャラリーへ通い始めました。
始めのうちは週に一回だけ通っておりましたが、初日にいきなりレモン水をこぼすという失敗をやってしまい、それ以後でもお客様へお飲み物を持ってゆくのでもデザートやクリームを忘れたり、藍カフェの名物であるハヤシライスにスプーンをつけ忘れたりする、不慣れと間違いの日々でした。
そんなある日、ぼくはお客様のバッグヘお茶をこぼしてしまいました。そして、そのとき救ってくださったのが土屋さんでした。ベランダの洗濯物干しからタオルを持ってこられて、お客様のバッグのお茶を優しく包むように吸い取っておられました。
そのころはまだ土屋さんと深いお付き合いをさせていただいてはいなかったのですが、ときが経つにつれ土屋さんのことが超好きになりました。
平成十一年の四月十九日、ぼくは土屋さんにオムライスを伝授させていただきました。失敗続きの日々で、オムライスを拵える(こしらえる)日は前日から気重でした。それでもなんとかぼくなりにほんの少しずつ上達してゆきました。ですがある日ちょっとした事件が起こったのです。オムライスへかけるソースが切れ、できあがっているオムライスへソースがかけられず、土屋さんに詰問口調で叱られ、それでも土屋さんが即席でソースを拵えられ、その日のランチは収まりました。ですがぼくも土屋さんもわだかまりが残りました。土屋さんはぼくを責めたこと。ぼくは叱られたこと。そしてその日の晩土屋さんから電話がかかってきました。
「今(自宅に)帰ったところなのぉ」
「お疲れさまです」
「ありがとう。きょうごめんね」
「いえいえ」
「岩谷くん、オムライス今後もやりますか?」
「やります」
「そおぉ、そうすることで岩谷くんひとつ上へいけるんだよ、ありがとお」
「はい」
「じゃあね、ありがとお、おやすみなさい」
そういう会話でした。
土屋さんはいい方です。優しくて、頭脳明晰で、博識で、料理を始めなんでも上手で、洞察力が深くて。土屋さんは素晴らしい方です。土屋さんの魅力でしたらぼくは文章だったら原稿用紙二十枚ぐらい、語るのであれば三日三晩ぶっ通しでできます。
土屋さんよ永遠に。念のため説明をしますが土屋さんは既婚の年配の女性です。
さて、もっと原稿の枚数をいただければ藍カフェを離れつつあるぼくの代わりにオムライスを拵えられている、愛しの岩瀬有貴子さんのこともお話したかったのですが(この“ですが”は岩瀬さんの影響です蛇足ながら)、この原稿の担当の方の青褪める顔が浮かんでくるので、ぼくの話はこの辺でお開きです。
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