報告
「国際燃焼機関会議(CIMAC)潤滑油ワーキンググループ会議」に出席して*
塚本達郎**
1. はじめに
この度、本学会の技術者海外派遣事業の一環として、2002年9月17日(火)、18日(水)に英国Oxford近郊のMilton HillにあるInfineum UK Ltdにおいて開催された標記会議の第34回会議に出席する機会を得たので、その概要を報告する。また、同会場にて併せて開催されたCEC“Marine and Large Engine Group”会議にもオブザーバーとして出席したのでその概要についても報告する。
CIMAC潤滑油WGの第34回会議(議長:J. F. Chapuy(SEMT Pielstick)、幹事:K. C. Lim(BP Marine))は、9月18日(水)に開催され、その前日(9月17日(火))の午後にはSub−group会議が開催された。また、CEC“Marine and Large Engine Group”会議(議長:A. Dunn(Infineum)、幹事:D.J.E. Vrolijk(Oronite))は、9月17日(火)の午前中に開催された。
2. ClMAC潤滑油WG会議
議長のJ.F.Chapuy氏(SEMT Pielstick)の開会の挨拶の後、今回のホスト役であるA. Dunn氏(Infineum)より歓迎の挨拶があった。出席者は、日本人2名(塚本と三菱重工業(株)ハンブルグ事務所の若月氏)を含めて20名であった。出席者は表1に示す通りである。
出席者の確認、名簿の確認、前回議事録の確認の後、議事に入った。最初に前日に開催されたCEC“Marine and Large Engine Group”会議での議論の概要について説明があった。
次に、日本で原稿を作成した「Oil Degradation」について、前回会議から昨日のSub−group会議までの検討結果について、4つのSub−groupから報告があり、修正案について検討した。各Sub−groupで最終原稿案をとりまとめて、議長のJ. F. Chapuy、幹事のKC. Limおよび塚本まで送ることになった。この最終原稿案について日本での承認を得られれば、CIMAC Editorial Groupによる最終確認となる。また、4つのSub−groupより次期テーマの進捗状況について報告があった。なお、Sub−groupのテーマは下記の通りである。
1)Recycle of Used Oil
2)Revision of “Medium Speed Diesel Guideline”(CIMAC No.13)
3)Lubricants on Exotic Fuel
4)Impact of Emission Measurement on Lube Oil
図1 会議の行われた建物の前で(筆者)
その他、9月24日からハンブルグで開催されるSMMのCIMAC Dayでパネルディスカッション「Interaction between Engine Design, Cylinder Lube Oil and Cylinder Condition」が開催されるとの紹介があった。またCIMACのWeb SiteでTechnical Paper Databaseを作成中で、1951年からのPaperが検索できるようになるとの紹介があった。
次回会議は、2003年4月3日にDNVがホスト役となってノルウェーのオスロ近郊で開催される予定である。会議は15時前に終了した。
図2 会議風景
3. CIMAC潤滑油WG Sub−group会議
9月17日(火)のCEC“Marine and Large Engine Group”会議の後、昼食をはさんで、14時よりSub−group会議が開催された。所属するSub−group2の会議に出席した。主査のG. Fleischhack氏が空港でのトラブルのため未着であったので、W. Fabriek氏(ITS)を中心にOil Degradationの担当箇所について確認作業を行った。特に、TableNo.9について重点的に検討し、修正作業を行った。Coffee Breakをはさんだ会議は17時前に終了した。
4. CEC“Marine and Large Engine Group”会議
会議は、9月17日(火)の9時より議長のA.Dunn Journal of the JIME Vol.38、No.6 氏(Infineum)の挨拶で始まり、出席者は17名であった。最初にInfineum(添加剤のメーカーで、1999年1月にExxon MobilとShellの資本で設立された。)についての簡単な説明があり、その後議事に入った。
図3 夕食会(左手前が若月氏)
この“Marine and Large Engine Group”は、CECでSpecial Project Groupとして期限を切って設立されており、12月に来年以降も継続されるかどうかが決まる状況にある。今回の会議では、今後どのようにしていくか、すなわちCECの中で残っていく努力をしていくのか、CIMACの傘下に入って活動していくのかについて多くの時間を割いて議論がなされた。
現在下記の4つのSub−Groupに分かれて活動を行っており、それぞれのSub−Groupから報告があった。
1)Simulation of Lubricant Performance
2)High Oil Consumption
3)Effects and determination of raw fuel dilution
4)Analytical Methodologies
次回会議は、2003年4月2日にDNVがホスト役となってノルウェーのオスロ近郊で開催される予定である。最後にJ. F. Chapuy氏からA. Dunn氏に対して感謝の言葉が述べられて12時30分に会議は終了した。
最後になりましたが、今回WG会議に出席する貴重な機会を作って頂いた日本財団ならびに関係各位にこの場をお借りして厚くお礼申し上げます。
表1 CIMAC潤滑油WG会議出席者
Jean−Francois Chapuy(Chairman) |
: |
SEMT Pielstick
(フランス) |
K. C. Lim(Secretary)
|
: |
BP Marine
(イギリス) |
Adrian Dunn(Host) |
: |
Infineum
(イギリス) |
Soren Eriksson |
: |
Alfa Laval
(スウェーデン) |
Chris Van Geeteruyen(Deputy) |
: |
Chevron Texaco
(ベルギー) |
Wayne A. Mackwood |
: |
Crompton
(カナダ) |
Dag Olav Halle |
: |
DNV Petroleum Services
(シンガポール(ノルウェー)) |
Rosaline Corinthien |
: |
Fuchs Labo Auto
(フランス) |
Steffen Fischer |
: |
Germanischer Lloyd
(ドイツ) |
Wanda Fabriek |
: |
ITS Caleb Brett
(イギリス) |
Stephen J. Perkins(Deputy) |
: |
Lloyd's Register of Shipping
(イギリス) |
Stephen J. Cook |
: |
Lubrizol
(イギリス) |
Holger Gehring |
: |
MAN B&W Diese1
(ドイツ) |
Yuji Wakatsuki(Deputy) |
: |
Mitsubishi Heavy Industries
(ドイツ(日本)) |
Georg C. Fleischhack |
: |
OSC
(ドイツ) |
Julian R. Barnes |
: |
Shell Global Solutions
(オランダ) |
Tatsuro Tsukamoto |
: |
Tokyo Univ. of Mercantile Marine
(日本) |
Claude Ouvrier−Buffet |
: |
Total Fina Elf
(フランス) |
Michael Welsh |
: |
Wartsila Switzerland
(スイス) |
Kai Juoperi |
: |
Wartsila Technology
(フィンランド) |
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*原稿受付 平成15年3月27日
**正会員 東京商船大学(江東区越中島2−6)
(拡大画像:53KB) |
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