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4 チェーンオイル
 
(1)チェーンオイルは良質で新しいものを用いること。(指定されているものは、それを用いること。)
 
 ソーチェーンはガイドバーのレールの上を高速度で走る(1秒間に約20m)ので、ソーチェーンにオイルを十分に与え、チェーンとバーとの摩擦を軽減して、摩耗を防ぐ必要があります。
 このためには、オイルの浸透性、粘着性などが大切ですから、不純物のない良質なオイルを用います。廃油や再生油の使用は禁物です。
 
7−3 キックバックの防止
 
 走行中のソーチェーンが木材や障害物に当たってガイドバーが跳ね上げられることを、キックバック現象といいます。
 キックバックによる災害を防止するため、キックバックを起こしにくいソーチェーン(ドライブリンクをガード設計にしたものなど)が工夫されていたりチェーンブレーキが装着されていますが、キックバックを起こさないような操作が大切です。
 
キックバック
 
 そのため、次のことに心掛けましょう。
 
 ガイドバーの先端部上側だけでは、切らないこと。
 また、バーの先端が鋸断中の材の陰にある小丸太、末木枝条に触れないように注意をすること。
 
(1)ガイドバーの先端部分上側の円周部分がキックバックを起こしやすい箇所です。
 バーの先端の円周部分を走行するカッターのデプスゲージの部分が材に激しく当たり、その反動でチェーンソーが上方へはね上げられるのです。
 このため、突っ込み切りの場合、バーの先端部分下側で、まず切り口を作ります。
 
キックバック発生位置
 
(2)このほか、キックバックによる災害を防止するため、次のことに注意しましょう。
ア. キックバック防止のため工夫されたソーチェーンの使用
イ. チェーンブレーキ作動の点検
ウ. 前ハンドルの握り方(親指を下に回して、しっかり握ること。)
 
7−4 その他鋸断上の注意事項
 
(1)できるだけチェーンソーの自重を利用して鋸断することとし、無理に押しつけないこと。
 
 
 無理に押しつけて鋸断すると、クラッチ部などの損傷につながり、また、振動障害予防上もよくありません。
 押しつけないと切れないのは、目立てが正しく行われていない場合が多いので、正しい目立を行いましょう。
 
(2)ソーチェーンが材で締めつけられたとき、スロットルレバーを引いて無理にエンジンを回転させないこと。このような場合は、一旦エンジンを停止し、くさびなどを用いてのこみちを拡げ、はずすこと。
 
 挟まれたガイドバーを力づくではずそうとすると、バーやバーの取り付け部を破損します。
 
(3)曲って切り込んだ場合は、途中から無理に直さず、切り直しをすること。
 
 引き曲りは、鋸断の姿勢の悪いとき、ソーチェーンの目立ての不揃い、ガイドバーの変形などで起きます。原因をしらべ、まず引き曲がりを起こさないようにすることが大切です。
 
(4)運転中は、ソーチェーンに十分チェーンオイルが供給されていること。
 
 チェーンオイルの吐出量の確認と調整については、次章の「毎日点検」の項を参照して下さい。
 堅い材、樹脂の多い材などの鋸断の場合は、チェーンオイルが多めに供給されるよう、給油装置(オイル調整ネジ)を調整します。
 チェーンオイルがなくなったまま、切らないように、チェーンオイルが供給されていることを確認します。
 
ソーチェーンの目立ての方法等
 
1 正しい目立ての必要性
 
 チェーンソーを使っていて、切れ味が悪い、切り曲りがある、木口面が平滑でない、燃料を喰い過ぎる、振動が激しいということがあります。
 このようなときは、ソーチェーンをよく見れば、カッターの刃の長さが違う、左右のカッターの角度が違う、横刃の形が違う、上刃が丸いなどとなっている場合が多いのです。
 チェーンソーは、少々目立てが悪くても、エンジンの力で、時間をかければ切れます。しかし、これではソーチェーン、ガイドバー、スプロケット、さらにはエンジンに無理がかかるし、仕事の仕上りが悪いばかりでなく、疲れるし、振動が大きく、振動障害の予防の面でもよくありません。
 チェーンソーを使用して、安全で能率の良い仕事をするためには、正しい目立てが大切です。
 
正しくない目立て







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